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30日間の革命 #革命編 67日目
「生徒会側のスパイではないのか」
加賀の疑念を聞いた棚橋は大きく笑った。
「ちょっと待って、私がスパイだって? あははっ。それめっちゃ面白いじゃん! 何で? 何でそう思うの?」
棚橋は加賀に対して興味津々に質問をした。
「え? い、いや……。なんでって言われてもね……」
棚橋が見せた予想外の反応に加賀は戸惑った。
「えー、何々? 気になる気になる! どこら辺がスパイっぽいの?」
棚橋は変わらずハイテンションのまま加賀へ質問を続ける。
「いや、どの辺がっていうか……。ほら、タイミング的にさ。文化祭実行委員長がこんなタイミング良く俺たちに協力してくれるって、何か怪しいなって思ってさ」
「そっか! 確かに怪しいかもね。何か罠っぽいもんね! 他には他には?」
「いや、ほら、小春のファンだってこともそうだよ。明らかに俺たちに好条件過ぎるもん。俺たちが、文化祭をきっかけに革命を起こそうとしていて、そのタイミングで文化祭実行委員長がたまたま小春のファンだったって。ちょっと話が出来過ぎてないかな?」
加賀は棚橋に対して思っていることを、素直にそのまま話した。
「……なるほどねぇ。改めてそう聞くと、確かに怪しいねぇ」
棚橋は腕を組みながら、険しい顔をしてつぶやいた。
「だから棚橋さんがスパイじゃないってことを確信してからじゃないと俺は次に進めない。だから、もし本当に棚橋さんが俺たちの味方になってくれるって言うなら、何かそれを信じさせてもらえるものがほしい」
「うーん。信じられるものねぇ。……難しいなぁ。あ、そうだ! 私のLINEとか見る? もし私がスパイだったとしたら、馬場君たちと連絡をとっているはずでしょ? 自慢じゃないけど、連絡はおろか、連絡先すら知らないから!」
と棚橋は堂々とスマホを加賀の前に差し出した。加賀は坂本と顔を見合わせ、差し出されたスマホを手にとった。
「これ、中身とか見てもいいの?」
と加賀がたずねると、
「もちろん! 私に見られてまずいものなんてないからね! スパイはおりか、浮気も不倫もしてませんよ!」
と自信たっぷりに棚橋は答えた。
「ははっ。なんだそれ」
棚橋の返答に思わず加賀は笑ってしまった。そして、そのまま棚橋に言われる通り、LINEのトーク履歴や、メール、連絡先まで全て目を通した。そして、棚橋の言う通り、馬場の連絡先やトーク履歴もちろんなく、仙波などの生徒会メンバーとの連絡も一切見当たらなかった。
「さぁどう? これで私は白だって認めてくれる?」
棚橋は胸をはって加賀へと問いかけた。
「うーん。確かに連絡は一切とってないみたいだね」
加賀はスマホを棚橋に返しながらそう答えた。ただ、まだ全てに納得がいっているようではなかった。そんな様子を見た坂本は、
「まだ何か疑わしいことでもあるの?」
と加賀へと問いかける。
「……いや、俺もここまでくると性格悪いなって思うんだけど、連絡先とかトーク履歴って消すことも出来るじゃん? 棚橋さんがっていうより、馬場だったらそこまで徹底してやりそうだなって思っちゃうんだよね」
と頭を掻きながら加賀は答えた。
「何々? 馬場君ってそんな性格なの? あんな可愛い顔した1年生がそこまでやるって考えにくいけど、まあそう思うならしょうがないか……」
棚橋は再び腕を組んで考えはじめた。すると、坂本が
「確かにその疑念は晴れないと思うけど、でも棚橋さんは協力してくれるって言ってるんだし、これ以上追及するのも失礼なんじゃない? むしろここまでして味方をしてくれるって言ってるんだから、もうこの辺でいいんじゃないの?」
と口をはさんだ。
「……まあ確かにそれもそうなんだけどさ。うーん、でもなぁ」
と加賀は頭を再びかきむしる。そのやりとりをみた棚橋から、
「わかった! ならこうしよう! お試し期間を設けようよ! 私は一週間革命運動に参加してみて、観察してみて! 何か怪しいことがあるかどうかは実際にそこで見てみてよ」
という提案があった。
「それいいじゃない。ねぇセト、せっかく棚橋さんがここまで言ってくれてるんだから、そうしてみようよ。私は棚橋さんのことを信じているから、全く問題ないよ」
坂本は加賀へ向かって諭した。
「……わかった。俺も今日棚橋さんと話してみて、悪い人じゃないって分かったから、そうしてみよう」
加賀も棚橋の提案を受け入れることにした。そうして、お試しではあるが、棚橋が革命運動に加わることが決まった。
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