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はるかと幽霊の不思議な日々

〜プロローグ〜

 位置について、よーいドン。その瞬間ピストルがパンと反響する。同時に応援する声 「がんばれー、がんばれー」。

 そして選手達は疾走する。

 リレーは嫌だ。とにかく嫌だ。そう考えながら私は走った。

「赤組のはるかさん、頑張ってください」

 泣きそうだ。

 なんでこんなに、なんでこんなに何もかも才能ないんだ。

 なんで上手くいかないんだ?

 「あっ」と声が出たと同時にグサッと足を捻るはるか。

 その瞬間走馬灯が見えた気がした。


第1章

「なーんにも上手くいかない」

 大谷はるか。

 JC1です。

 あっ、中学一年生の女子の略です。

 冒頭はすみません。

 口癖で、、、

 なんか上手くいかないんです。

 勉強も、運動も。

 正直、頑張る気力すら無くなりました。

 そういえば今、中学校にいます。

 帰るところだけど。

 ちょうど今日中学入学したんです。

 ねね突然だけど私、頻尿なんです。

 だから入学式で漏らさないか不安で不安で。

 いわゆる祝辞って言うんですかね、、、

 偉い人がお祝いの言葉言うやつ。

 早く終われって思ってました汗

 そんなこと思う私酷いですよね。

 それにしても横浜中学校は大きいなぁ。

 横浜より都会の東京に行ったら学校の大きさに驚くのかなぁ。

 そそ、学校の年間予定表をもらったの。

 そこにね体育大会って書いてありました。

 実は私小学六年生の運動会で足を捻って盛大に転んだんです。

 運動音痴で、、、

 それがトラウマ。

 体育大会怖いなぁ。

 なんで義務教育で争わせるのだろう。

 あと勉強も出来ない。

 辛い、辛すぎます。

 得意なことがない。

 誰か教えてください。

 私が得意なこと。

 知らないかぁ。


 4月○日、土曜日。

 横浜中学校の入学式である。

 新入生は105人。

 今年は女子が多い。

 在校生は220人いる。

 そこにはるかの姿があった。

 ポニーテールで童顔である。

 そんなはるかは陰気なオーラを全面に出している。

 学校に遅刻せず通えるのだろうか。


 ちちち、遅刻するー。

 私、今日寝坊しました。

 入学してから1日目はちゃんと通えたけど2日目はギリギリセーフそして3日目。

 まさかの私、三日坊主か?!

 ダッシュで走ろう!

 信号を守って。

 私頑張れ、頑張れ。

 予鈴が鳴始めた。

 それと同時にギリギリ間に合った生徒が昇降口に向かって走っていく。

 急に騒がしくなるが、そこにはるかの姿はない。

 そして先生達が昇降口の扉を閉めた。

 これから来る生徒は遅刻となる。

 そうはるかは遅刻となったのである。


 廊下にはるかが立たされている。

 昇降口がしまった15分後、はるかが登校した。

 前日、遅刻ギリギリだったはるかは担任の先生に怒られた。

「なんではるか、遅刻したんだ?」

「すみません、走るの遅くて。」

「それは歩くと言うんだよ。」

 そう言われ今廊下に立っているのである。

 目から涙がこぼれ落ちていた。


 最悪。

 遅刻した。

 なんでこんなに私は上手くいかないんだぁー。

 なんで私は、なんで、、、

 辛い。

 先生酷い。

 運動音痴って言葉知らないのでは?

 でも実際遅い。

 どうすればいいの?

 もう学校なんて行かない。

 上手くいかないのに行く意味がない。

 クラスだって馴染めてないし先生に嫌われるし怒られるし。

 そんなんだったらいなくなった方がまし。

 こんな人生もう嫌だあああああああああ。

 絶望の淵に立たされたはるか。

 三日目にしてギリギリ遅刻。

 惜しすぎる。

 それは周りから見てもわかるのである。

 しかし彼女には自己肯定感が全くなくなっていたのである。

 しかし救世主が現れるのである。

 それは後の話だが。

 三日目の給食はチリコンカン。

 何とか時間内に食べきる事が出来たはるか。


 時間ギリギリ食べ終わった。

 恥ずかしい。

 三日目にして恥をさらしまくるとは。

 ただ一つ救われたことがある。

 クラスメイトはあまり気にしていない。

 有難い、、、、、、、、

 けれどその分、仲の良い人もいないということだ。

 寂しい。

 とりあえず最後まで学校で何とか過ごして帰ろう。

 そう思い午後の授業を受けよう。


 そう心に決め午後の授業へと意識を移したはるかだったが給食のおかげか強烈な眠気に襲われる。

 そして挙句の果てにはトイレで寝てしまった。

 大きないびきをかきながら。


  • ううう。
    ねたぁ。



    って放課後?
    やばい誰もいないじゃん。
    学校にトイレで寝たから気づかれなかったんだ。
    どうしよ、、、
    スマホもない。

 はるかがそう嘆いた瞬間、「やあ」と声がした。

  • え、誰かいる。
    誰?

「俺だよ」

「だから誰?」

「幽霊」

「えええ」

「はるか殿を救いに来ました」

 救いに来た、、、って殿wwwww

「さん付けがいい?」

「じゃあ、呼び捨てで」

「分かった」

 じゃあ始めよう。

 はるかの訓練を。。。

 どどどどどどど。

 まぶしい。

 誰かああああああああ。

 突然現れた自称幽霊。

 そして訓練を始めるという。

 はるかの目の前には閃光が走ったのある。

 これからはるかの身に何が起きるのであろうか。


「まずはランニングだ」

「えええ、初めて会ったばかりなのになんで運動神経悪い事知ってるの
?」

 それは透明になってはるかの活躍を見ていたからだ。

 はるかはあまりにも持久力がなさすぎる。

 ランニングしてつけるのだ。

「えええ」

 文句は後で。

 まずは走れ。

「なんでこんなことに」

「というか幽霊がなんで前にいるの?」

 とりあえず走る、、、、

 嫌だあああああ。

 幽霊と出会い何故かランニングをさせられることとなったはるか。

 ポニーテールがバサッバサッっと音を立てながら走っている。

  • ポニーテール邪魔だなぁ。
    でも訓練したら持久力つくかも知れない。
    がんばろう。

「はぁ、はぁ」

 苦しみながらはるかは走っている。

 一周、二周。

 そのうち数えきれないぐらい走る事が出来ていた。

  • よく走れた。
    こんなに走れたの初めてかも。
    嬉しい。
    もっと頑張ろう。
    過去の失敗を消すために。

 そのうち一キロ走れていた。

 おめでとう。

 一キロだよ。

  • 嬉しい。
    やった。
    次は何をするんだろう。
    筋トレだ。
    腹筋、背筋、レッグプレス、チェストプレス。
    努力していくの楽しい。

 幽霊のおかげで自己肯定感が少しづつ上がってきている気がする。

 そんなはるかだが夜が明けようとしていた。

  • はるか、もう朝だ。
    俺は帰らないとならない。
    今日はこれで終わりだ。
    次もあるからな。

「ああ」

 ガチャ。

 鍵の開く音。

 先生が出勤してきた。

  • 「はるか!」

 なんで学校内にいるんだ。

「寝てたら朝で」

「はっは、はるからしいな。ってご飯食べてないの?」

「あっ、お腹すいた」

 ぎゅるるるる。

 その瞬間お腹がすいてきたのである。

「とりあえずパン食べな。あるから」

「ありがとうございます。」

 美味しい。

 努力した後のご褒美がこんなに贅沢なものだったとは。

 私とは無縁の世界だった。

 今夜は勉強頑張ってみようかな。

 はるかにとって自己肯定感という存在はこれまで無縁だった。

 しかし不思議な幽霊によって運命が変わっていく。

  • 今日は学校の授業に寝ずに出てみよう。
    そうしたらなにか変わるかも。
    いい事起きたらいいなあ。
    あっ、でも体育の授業ある。。。
    嫌だな。
    でも昨日の成果を発揮できるチャンス。
    がんばろう。

 4時間目。

 持久走。

 そこではるかは実力を発揮できるのだろうか。


 よーいドン。

 ザクッザクッ。

 土を蹴る音があたまの中に響く。

 あと一周がんばれば終わる。

 そして終わったのである。

 タイム、自己肯定感共に上がる事が出来た。

  • やったあ。
    終わった。
    これで給食だ。
    今日はカレー。
    沢山食べるぞ。

 幽霊から訓練を受けた後はるかは健康になっていった。

 しかし幽霊とはいつ会えるのか分からない。

 とりあえず学校が終わった瞬間クラスメイトが沢山声を書けていたのである。

 はるかさん、凄い‼と。

  • 学校から帰ろう。

「はるかさん! 持久走すごかったです‼」

「そんなwww」

「友達になって下さい」

「いいですよ」

 やったああああ。

 そうしてはるかは友達が沢山出来たのである。

 そして友達となった女の子と勉強をすることとなる。

  • 「一緒に勉強しよ」

「いいよ」

 わーい。

「数学は因数分解でいい?」

「うん」

 じゃあ放課後ね。


~放課後~

「難しいけど楽しいね」

「んね」

 そうして放課後に。

  • はっはっはっはっは。
    あっ、幽霊さん。
    自信がついて来たようだな。
    今日は因数分解したのか。
    偉いじゃないか。

「上から目線」

 ww

 幽霊と信頼関係を築けてきたはるか。

 今日は何をするのだろうか。

  • 今日は苦手な所頑張って行くぞ。

「オー」

 因数分解の応用、英単語。

 沢山あるからな。

 そうやっていくうち時間は過ぎていった。

 じゃあ今日はここんところで。

 さらばだ。

 はっはっはっはっは。

 閃光が走っていった。

 時間は過ぎ体育祭の練習が始まった。

  • リレーの選手を発表します。

    まずはるか‼

    おおお。

 そうはるかが選ばれたのである。

 その瞬間会場がどよめいた。

 よかったなはるか。

 そうクラスメイトが声をかけている。

 そして定期試験も始まった。

 最初は勉強に遅れていたはるかだ。

 どうなるのだろうか。

  • 定期テスト一科目目開始。
    かっかっか。
    シャーペンがこすれる音が聞こえる。
    え、どんどん解ける。
    嬉しい。
    頑張って努力した成果が出てる。
    どうしよう嬉しい。

 はるかは何と98点とることができた。
 テスト結果はあす公開だ。


~次の日~

 テストクラス一位は、、、

 はるか!

 その瞬間に拍手が。

 はるかは自慢げだ。

  • やったあ。
    これまでこんなに上手くいったことない。
    生きててよかった。
    そして体育祭も近づいてきた。

「はるかがんばれ」

 そんな声をかけられることも増えた。

 なんだか緊張する。

 しかしはるかにはゆるぎない自信と自己肯定感があった。

 これまでには持ったことのないような。


~体育祭前日~

 はるかのお母さんはカツカレーを作ってくれた。

 こんな食べれないよと言いつつもペロッと完食することが出来た。

 そして幽霊だがはるかに自己肯定感が沢山あと見えなくなってしまった。

 そうして体育祭前日を終えたのである。

 体育祭は優勝して終える事が出来た。

 幽霊。

 その存在によりはるかは良い未来に進んでいけた。




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