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夢の足跡

私がよく見る悪夢たちは、あまりにも非日常で、ファンタジックなものが大半である。だけどその中でも異常にリアルなものがあったりもする。これまで私が鬱と診断されてから見るようになった数々の(面白く見える)悪夢たちをご紹介しようと思う。いやほんと、目が覚めて冷静になると「なんやったわけ…」って笑えるものもあるんですよ。恐怖で固まるものもありますが。

軽い気持ちで読んでいただけたら幸いです。


先に言ってしまえば「そうなんだ」と私自身に固定概念を植え付けることになるから、医者が敢えて「副作用に悪夢がある」ことを伝えてこなかった睡眠薬がある。
効果が強く睡眠時間がしっかりと取れる反面、どうやら悪夢が見やすくなるらしい。あんまりにも悪夢を見ると伝えたところ「実は副作用に悪夢があるんだよね」と教えられ、今は服薬していない薬だ。薬ってなんでこんなに二面性があるんだろう。
睡眠時間は確保できるけど悪夢があるだの、悪夢は減るけど苦いだの、うまくいかんもんかね。

どうでもいいけど、今回も元気に前置きが長いですね。

その「悪夢の薬」を飲んでいたとき見ていた夢は、
①緑の部屋

②ピンクの部屋

③たまに現れる別の色の部屋


の3種類が圧倒的に多かった。もちろん他にもあるけど少し系統が違うのでまたあとで紹介します。
この3種類の夢に共通するのは、何かしらの「パスワード」を解かないと夢の世界から抜け出せない、ということだった。③に関しては特に厄介だった。

ここまで書いておいて①から紹介する。順当。


①緑の部屋
もう正直、「夢の中で目を覚ました」時点で最悪だと思っている。全部屋共通だが。
最近はめっきり見なくなったので忘れてしまったが、緑の部屋のときはスマートフォンのロックを解除しなければいけない。しかし手元にスマートフォンがない。私はパスワードを「知っている」。繰り返し見ていた頃はこのパスワードを現実世界でも覚えていて、眠る前に万一あの部屋だったら速攻起きてやる、といつも意気込んでいた。もう忘れた。
しかし手元にスマートフォンはないのだ。
緑の部屋の厄介なところは、スマートフォンを見つけ出さなければいけないということ。

緑の部屋はそんなに広さはなく、真四角の、あ、GANTZ部屋みたいなところ。大体あんな感じで、GANTZのあるところには緑のモニュメントが置かれている。正直よくわからない形をしている。ちなみに「緑の部屋」なので私以外のすべての床、壁、モニュメント、家具は真緑である。

スマートフォンは毎回必ず異なる場所に隠されていたり、そもそも緑の部屋の中にはなくて脱出手段を考えないと行けなかったりと、場合によって異なっていた。緑の部屋には住人はおらず、私は手当り次第にとにかく探す。あちこちの引き出しを開けまわったり、覗き込んだりする。手がかりの手紙を見つけたり、そこに嘘のパスワードが書いてあったりして、自分が記憶しているものが正しいのか、それとも今回から新しくなったのか混乱する。一度でもパスワードを間違えると、1からやり直しだからである。
そういうクソ迷惑な部屋なので、無事目が覚めたとて、もちろん疲れ果てている。寝た気もへったくれもありゃしなかった。まあこちらもこの先出てくる夢全部共通しているが。


②ピンクの部屋
こちらは緑と逆、つまりスマートフォンはあるがパスワードがない。
部屋はもっと広く、部屋というより「屋敷」だ。だから人もいる。色んな人がいろんなことを言ってくる。モニュメントは屋敷の大広間の真ん中にハートに近い形が複合したようなものがでかでかとおいてある。もちろん緑の部屋より数倍広い。あと、黄色とか青色の飾りもなされている。緑の部屋と違って、全てがピンク色というわけではない。

大広間の先には階段が2本あって、そのどちらもが同じ場所に繋がっている。こういう構造なんていうの?変な構造じゃなくてよくあるあれ。螺旋ではないけど、そういうやつ。その手すりにも黄色と青の飾りがしてある。
ここはパスワードを探している間にスマートフォンをなくしてしまったり、いいところまで行ったのに最後の1文字が異なっていてやり直しをくらったり(ちなみにその場合はパスワードはリセットされる)していた。緑の部屋の数倍厄介だった。やり直しは「ホームポイント」かのようにモニュメント前に転送される。絶望である。
そもそも夢の中がゴシックピンクなだけでも疲れるっつの。


③たまに現れる別の色の部屋
これが一番厄介だった。
青の部屋は緑の部屋と構造が似ている。黄色の部屋はピンクの部屋と構造が似ている。ちなみに似ているのは構造だけだ。この2つの部屋はランダムだからややこしい。「何が足りないのかわからない」のだ。
例えば、スマートフォンもパスワードも手元にあったりする。どっちも信用ならない。逆にどっちもなかったりもする。落胆する。持っているスマートフォンと瓜二つのものが別の場所から出てきたり、とにかく脱出方法がわからない。求められているものが何か、何を探せばいいのかわからない。
①や②みたいに明確にわかっていれば(まだなんとか)動きやすいが、この③の部屋に関しては本当に1から全部謎解きだった。地獄。これが1人のときもあれば誰かと一緒のときもあった。

ちなみに一番腹が立ったのは青の部屋からスマホ5台とパスワード5個が出てきたときだった。全部の組み合わせを間違えないようにするのが大変だった。
さらに言えば多いのが青と黄色なだけで、紫や白の部屋もあった。解決方法は、もう忘れた。


上に書いたのがよく見ていた夢だった。
これを悪夢と取るかはその人次第だろうが、私にとっては貴重な睡眠時間を奪われて、現実で目が覚めても苛立っているし寝た気がしないしで十分に悪夢だった。本当に、夢であのカラフルな部屋にいたときの絶望感を皆様にお伝えしたい。もう目を覚ますのをやめようかと思うくらい、絶望するから。

これら以外にも様々な映画のような夢を見ていた。
特に記憶に深いものを紹介して、私の悪夢紹介は終わろうと思う(まだ中間地点です)。


私は殺された。
いやもう開幕から終わっているわけだが、私はその時目を覚ました。何がどうなって死んだのか、あやふやだった。ただ、何かしらの「裏切り」を食らって、誰かに意図を持って殺された。夢の中で死ぬことはないとよく言うが、私が「終わった」と思った時点を死んだこととすると、私はあのとき、誰かによって殺されたのだ。

時間を見ると眠って数分だったのでもう一度眠った。

そしてまた殺された。

また数分しか経っていない事実に驚き、今晩はほとんど寝られないんだろうなと思った。実際そうだった。私はこのあと、3回殺され、その方法は毎度同じで、そしてその都度目を覚ました。なにかギミックがあるはずだと考えて、夢の中でもこれまでに見た夢を反芻して注意した。これまでに殺された計4回は全て別世界の話で、本当に転生パロのようなものだった。

4回の「殺される場面」を振り返り、私は犯人に特徴するものを見つけた。
右手の甲から手首に沿って残ったかすかな傷。なんとも表現し難い、なにかのマークのような傷。そして私を殺してくる「誰か」は、その傷を何かしらの方法でいつも隠していた。だから殺されるときまで気が付かない。

5回目に眠るとき「もう起きてたほうがいいんじゃないか」と頭では思ったが、体が勝手に眠っていた。これが悪夢の嫌なところだった。私の夢は自分で操作できず、睡眠も操作できなかった。勝手に眠りに落とされて、こちらもあたかも「さ、あとは自分でなんとかしなさい」と言われるような感じだった。

5回目は大学生だった。なぜか冬だった。
通っていた大学とは全く別の大学で、全く顔の知らない人たちと親しくしていた。みんなが「友達」であること、「名前」があることも分かっていた。そしてそれらの「友達」と「仲間」が実はここ4回の夢と共通していることもなんとなく察していた。どこかにまた「あいつ」がいることも。

たまたま隣りに座ったのは私と一番仲がいい友達だった。
彼は寒がりで、いつも袖の長い長袖のニットを着ていた。いわゆる萌え袖ができるようなブカブカの長袖のニット。私たちは他の友達たちよりもバカみたいなことで盛り上がったり、趣味があったり、異性の意味でなく互いにとても信頼を置いていた。
都合がいいことに、例の「手のマーク」に関して覚えているのは「現実世界」の私だけで、夢の中の私は「何かしらの情報が足りない、忘れさせられていること」だけが分かっていた。

夢が進むうち、2人でまた趣味の話で盛り上がり、学内の隅っこで笑い合っていたときに、ふと彼の右手が見えた。

その時に、私はようやく手のマークのことを思い出す。

「ずっと、全部、お前だったわけだ」と私は心根で思いながら、どうしようもない裏切られ感と虚しさを持った。同時に、こいつさえ叩いてしまえば、もうこの悪夢は連鎖しないだろうとも思った。それでも、異常に虚しく、信用することの愚かさを、ぼんやり感じていた。

そして彼が「ああ、見えちゃった。バレたから、ここで終わりだね」と言って、これまでのどの夢よりも穏やかに私は殺された。

私は飛び起きる。汗だくで、時計を見て、そろそろ本当に起きなければいけない時間だと認識した。そして私がそのまま寝かされることもなかった。
どうやら今回の夢の「解除条件」を満たしたらしい。犯人を殺される前に見つけること。仲間がみんな殺されてしまう前に、犯人を発見すること。どうやらこれが解除条件だったようで、それを満たしたので無事に目が覚めた。

それでも夢の中で感じた裏切られ感と虚しさは現実世界でも変わらず私にぶつけられ、しばらくベッドから出ることはできなかった。信用していた。誰かは知らないけれど、それでも、すべての世界で私は彼を信用していた。最後の世界以外で殺されるとき、犯人はフードを目深にかぶり、顔が見えなかった。最後だけ、平気な顔をして私を殺す彼の顔を、間近で見た。

これが私の、一番覚えている大悪夢である。


他にも様々な夢を見ているので書きたいところではあるが、いかんせん私の文章にはまとまりがなく、どうしたって長くなってしまうのでここで終わろうと思う。短編小説を大量に見たこと(合間合間は現実の私も一時的に目を覚ましている)、何度目を覚まして、何度繰り返したって、夢の中が「8月6日の17時50分」であったこと、美しいものもあれば恐怖に満ち足りたものもあったこと。自分でも「すげえな」と思う創造の世界に、もはや感心すら覚える。


さて、私がよく見る夢のお話を少しおすそわけさせていただきました。興味深いもの。くだらないもの。経験したくないもの。何かしらの感情が動いていたら幸いです(なにが?)。

とりあえず頼むから誰か私の、特に①から③の部屋に入ってみてもらいたい。
最初の何回かは楽しくRPGを解いているみたいだったから。

最初の何回かだけ!ね!


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