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父と娘の日々

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認知症が進行していく、憎たらしく愛おしい父との、尊い日々の記録。
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2022年6月の記事一覧

手強い記憶。

手強い記憶。

今日は久しぶりの
父のリハビリマッサージの日。

ほんとうは毎週お願いしてるのだけど
寝てしまってる日と重なりがちで
なんだかんだで月に一度くらいに
なってしまっている。

綾瀬はるかにそっくりな上に
ちいちゃくて純朴なマッサージ師さんは
とてもかわいらしく
父もまんざらでもなさそうで
マッサージ自体は億劫そうだけど
マッサージ師さんを目の前にすると
いつも流されてやってもらっている。

前もって

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忘れないように忘れる。

忘れないように忘れる。

一昨日のテレビで
芸能人がレビー小体型認知症の
親の介護をしているのを観ていて
うちとは全然違うなーと思ったけど
芸能人の人が言っていたことで
そこは同じだな
と思ったことがあって。

それは
自分の親が変化していくのを
なかなか受け入れられないということ。

そのひとは「親が崩壊していくのを」
と言っていた気がするけど
確かに正常ではなくなっていく
個性とか言えるレベルではなくなっていくのを

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逃げ場を探す。

逃げ場を探す。

テレビでやってた芸能人の
レビーの親の介護生活は
確かに壮絶そうだったけど
それはやっぱり
ひとりで抱え込んでいたのが
原因のように見えた。

やむおえず
そういう状況になってしまうひとも
たくさんいるのだと思うけど
そうやって介護してるひとが
うつやパニックになってしまうケースは
少なくなさそうだ。

私が呑気でいられるのは
ケンチャンがいてくれるし
時々私の代わりをしてくれるからだと
こういう

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夢の飲酒運転。

夢の飲酒運転。

草がどんどん生い茂っていく中
梅雨が始まるそうで。

そこらじゅうがあっという間に
ジャングル状態になる。

人目線では困ったりするけど
動物目線だと安心感が増して
居心地良く感じたりするのかな。

毎週来てくれる看護師さん。
プロの神業で
眠り込んでる父を
ゴロンゴロンと動かしながら
着替えとシーツ替えまでしてくれた。

父は全然起きないのだけど
時々表情を変えたり
着替えのときは
からだをちょ

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食べたいという気持ち。

食べたいという気持ち。

父が寝てる間にこっそり抜け出して
どうしても食べたくなった甘い物を
買って帰ってきたら
弟家族が全員でワイワイしていた。

みんなで食べれるほどは
買ってきてないし
こういうときに
子供達に捧げてしまうほどの
寛容さは私には全くない。

今みたいに
こっそり抜け出さないと
出かけられないような生活をしていたら
なおさら食べたいものを食べれるって
癒しや息抜きのひとときになる。


いろいろ言い訳

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みんなと同じ、からの脱却。

みんなと同じ、からの脱却。

外はすごい雨。

家の中に
大量のアリが逃げ込んできた。

洗濯物は乾かず。

うんうん
梅雨ってそんな感じだった。

山の家もジメジメして
カビがのびのび育っているかな。

山では洗濯物が乾かないのは
いつものことだったよな。

ジメジメしてても
空気が気持ち良いんだよな。

父もこんな天気だとグズグス。

認知症と低気圧の関係について
インターネットで検索してみたら
いろんな質疑応答が出てきた

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しっかり遊ぶ。

しっかり遊ぶ。

昨日はケンチャンが
代わってくれる日だったので
朝8時に意気込んで出発。

まずは新百合ヶ丘まで
お友達太鼓判のイタリア映画を観に。

もう20年も前
ヨーロッパを旅していたとき
イタリアのアッシジ駅からの景色に
ググッとこころが動き
ふらりと途中下車して
何も知らず思うままに歩いていたら
ぐるぐると回るように登っていく小さな町が
なんとも言えずかわいらしくなぜか懐かしく
登り切ってたどり着いたの

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鉄人には、鉄人らしくいてほしい。

鉄人には、鉄人らしくいてほしい。

梅雨に入ってから父は
ほとんどずーっと寝ている。

幻視もそんなに強く出ないまま
ちょっと夜更かししたくらいで
また眠り込んでしまう。

まあでも、普通のひとだって
一晩徹夜したら次の日はフラフラだ。

若い頃の父は
鉄人と言われていたくらい
タフだったみたいだし
ケンチャンも平気で36時間起きてるし
ケンチャンのおとうさんも
今でも徹夜で作業するらしい。

若い頃は3日徹夜したことがあると
こな

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ジプシーの父。

ジプシーの父。

今日は父の日。

父はずっと眠っていたので
何もできなかったけど
多分記憶の上では
父の日に何かをしたことはない。

世のひと達は
父の日に何をしてあげてるのだろう。

母の日も何もしていなかった。

中学生くらいの頃、一度母に
カーネーションをあげた記憶があるけど
全然うれしそうじゃなかったことが
強く記憶に残っている。

いつも母の期待に応えたくて
いろいろやってみるも
ことごとく喜んでもらえ

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やっぱりプロが良い父。

やっぱりプロが良い父。

梅雨に入って
ずっと元気が出ない父だけど
今日は週に一度の
看護師さんが来てくれる日。

やっぱりプロにかかると
全然違う。

2週間お風呂に入れてません
と伝えると
「じゃあシャワー浴びちゃいましょうか
私が手伝うから!」と看護師さん。

するとすんなり「やっちゃおうか!」と父。
全然ゴネなくて驚いた。

サラッとお風呂に入れてもらって
ヒゲも剃ってもらって
キレイサッパリ。

やっぱり元気がな

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野生に還る。

野生に還る。

看護師さんにお風呂に入れてもらったはずの父から
動物みたいなにおいがしている。

北海道に住んでたときの
屋根裏からにおってくるにおいとか
山の家の風に乗ってくるにおいとかと
同じようなにおい。

一年半前
一緒に住み始めた頃はもうすでに
なかなかお風呂に入ってくれなくなっていたけど
その頃は家中が
おじさんのにおいになっていた。

そのにおいも変化していって
今は野生動物みたいなにおい。

たく

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人ではなく、行為。

人ではなく、行為。

朝5時半にトイレに行くと
父が2階のケンチャンの部屋で
ちょこんと座っていた。

前の父の部屋は隣だよと言うと
行くぞーとばかりに軽やかに腕を振って
自分の部屋に入っていった。

今日は元気なんだな
と思っていたら
朝ごはんを食べたら眠り始めた。

昨日の夜
あんまり眠れなかったようなので
このまま寝てしまうかな
とも思ったんだけど
ぎりぎり起きてそうな気もしたので
3週間ぶりのマッサージに来ても

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あっちもこっちもやさしい。

あっちもこっちもやさしい。

明日から山に帰ることに。

あっという間に半年ぶりだ。

のんびりしたいけど
今回もやることがいっぱい。
会いたいひともいっぱい。

山の中に
会いたいひとが凝縮。
いつも同じひと達に会って終わってしまう。
今回もそうなりそう。

父の京都移住計画の偵察も
しっかりやってこなければ。

無理に動かすつもりはあまりないけど
スムースに行くのならがんばりたい。

だってほんとうは帰りたい。
この生活が

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こころの湿度。

こころの湿度。

湘南は梅雨らしくなってきた。

半年ぶりに帰った山は
カラッと乾いていて
湧き水もちょろちょろと少ない。

家の中も
管理してくださっている家族が
上手に空気を動かしてくれているおかげで
サラリとしていて快適だった。

今頃山にも雨がざんざん振って
一気にシットリしているかしら。

京都方面から9号線を左折して
見慣れた景色の中を走っていると
まるで鎌倉にいた時間が
スポッと消えてしまうかのような

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