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岡部えつ|エッセイ|Essay

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岡部えつ(小説家)のエッセイです。不定期に更新中。
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#コラム

妖怪"誤解"。口癖は「誤解させてすみません」

先日、小学校3年生の姪を連れて、『水木しげるの妖怪 百鬼夜行展 』に行ってきた。幼い頃か…

岡部えつ
2年前
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アンビエントな夜

荻窪ベルベットサンの、火曜日BARへ行く。 あっついあっついと言いながら入ると、先に来ていた…

岡部えつ
2年前
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新宿午後八時

新宿に、20年近いつき合いになる馴染みの店がある。 まん延防止とかのせいで、17時開店だとい…

岡部えつ
3年前
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Fire Waltz --- スガダイロートリオ+東保光 at アケタの店

 彼の演奏は、上澄みの清らかな水面を見せてしんとしているわたしの、底を叩いて水を濁らせる…

岡部えつ
3年前
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 いつの頃からか、季節とは、これまでの時間を五感から想起させるノスタルジアのことではない…

岡部えつ
4年前
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コロナと友達と世界とピンチ

世界がコロナウイルスですったもんだしているこのとき、発熱してしまった。37.8℃。 まず、家…

岡部えつ
4年前
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上を向いて歩こう、こんなときには。

新型コロナウイルスの英語表記は『novel coronavirus』だが、決して『小説・コロナウイルス』ではない。”novel” には、形容詞で ”新しい” ”奇抜な(original)” ”新種の” といった意味があるのである。 ところが気になることに、わたしの電子辞書にはその意味の前にカッコで ”(しばしばほめて)” とついている。”ほめて”とは、“いい意味で” ということであろう。つまりこのコロナは、いい意味で新しく独創的(original)なウイルスなのである。 ど

ピアノのこと

わたしがピアノを習い始めたのは、4歳のときである。 望んで習ったのではない。神戸から父の…

岡部えつ
4年前
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お弔い

父方の従妹が死んだ。死因は心不全ということだが、長年の持病の服薬と、少なくはなかったとい…

岡部えつ
4年前
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あきらめるな! あきらめろ!

嫌になって放り出そうとすると「簡単にあきらめるな」と叱咤され、手放すまいとしがみつくと「…

岡部えつ
4年前
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下手と努力と憧れと

バレエ教室の発表会を見てきた。6歳になる姪が出演したのである。 発表といっても、彼女が所属…

岡部えつ
4年前
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「恋多き」と「だらしない」

恋多き女と、男にだらしない女は違う。 同じように、恋多き男と、女にだらしない男も違う。……

岡部えつ
4年前
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嫉妬

勧められて、宮沢賢治の『土神と狐』を読んだ。綺麗な女の樺の木に恋をした無骨な泥地の土神が…

岡部えつ
4年前
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大御所

どんな世界にも、大御所と呼ばれる人がいる。 その世界で長く活躍し、貢献をして尊敬を集め、また確固たる人脈を築いて権力を持ち、第一人者となった人である。 彼のお陰で、その世界は脚光を浴びる。お金も集まる。埋もれていた先人にも箔がつく。その世界に憧れる人が増え、押し寄せ、世界を膨らませていく。 大御所には後光が射している。その威光をたくさん受けて輝けば、出世できる。だから才能のないたくさんの人たちが、成功を求め、彼に1ミリでも近づくことに血道を上げ、すり寄ってくる。 一度輝きだ