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海外にいるとやはり孤独感が強くなる

 日本外務省は海外在住日本人5万5420人からの調査回答の結果、「孤独を感じる」人が45%に達していると6月3日に発表しました。海外在住の孤独感調査と呼ばれるもの。「孤独を感じる」には「しばしばある・常にある」、「時々ある」、「たまにある」の回答が含まれますが、かなり多い結果となりました。
 
 この件について、僕は前に少し書いたのですが、やはり僕が感じていたとおりなのだと思います。

 調査結果によると、欧米で孤独感があると答えた人が最も多く、アジア、中東、アフリカではそれほど多くないという結果に。中でも興味深いのは孤独感が「ほとんどない」と「決していない」が最多だったのはアジア地域だったのです。これを意味するところは何なのでしょうか。人との接触が濃厚だからかもしれません。
 
 世界全体で孤独を感じる世代は16~19歳と20~29歳が多く、年代が高くなるにつれて孤独感は和らいでいるという結果にもなりました。男女別では女性の単身者のほうが多いとの結果も出ました。
  
 さらに、孤独感に影響を与えたと思われる出来事については「言語上のもの」が31.6%で、次に「文化的に起因するもの」が27.9%と高い。

 現地語の能力別に「孤独感がある」と回答した人の割合は、「片言での意思疎通が可能」な層が47.9%で最も高く、「流ちょう」な層が39.1%と最も低い。また、英語の能力から孤独感をみると、「全く解さない」層が51.5%で最も高く、「流ちょう」な層が39.7%と最も低かったのです。

 これらをどう解釈するかは人によると思うのですが、欧米で生活する日本人のほうが孤独感が多いというのが意外でした。欧米は日本に比べて自由度が高いと思うのですが、個人主義が強いためなのでしょうか、単身だったり、家族がいっしょにいなかったり、さらに言葉ができないとどうしても孤独度が高くなるのでしょう。

 また、言葉の面では現地語・英語問わず「流ちょう」な人のほうが孤独を感じる人が少ないと言う結果がでていますが、これは友人を作ってよく遊んだりしているからでしょう。コミュニケーションが成り立たなければ、なかなか友人は作れないと思いますが、これはこれで至極当然な結果だと思います。

 日本国内でも日本語だけの生活をしていても孤独を感じる人は多いと思いますが、やはりそれを海外にまでもってきてはいけません。

 海外に来るのであれば、性格を変えるぐらいのマインドセットでいかないとなかなか太刀打ちできない。日本よりも孤立・孤独しやすい環境なので、よほど誰かと密にしていないと自然と孤立・孤独になっていきます。

 前にも書きましたが、海外に来ると基本的に生活基盤をゼロから作る必要があります。この基盤構築には結構時間がかかって疲れるのですが、そこに言葉の壁があったり、人間関係の問題があったりすると相当のストレスになります。

 さらに家族や友人がいなければ、孤独感が増してストレスも溜まる。タイなど文字が異なるところに住んだりすると、看板の文字さえ読めない状況になって、なかなかすんなりいくところも行かなかったりする。

 僕はこれまで海外で何度も新しい都市に来ては生活基盤を築いてきましたが、安定するまでには1年ぐらいはかかりました。つまり、どこに住み、どこで買い物をし、どこで誰と遊ぶかといった類のことです。
 
 日本では子どもの頃から知っていたり、また友人がいたりして、異なる都市に引っ越したとしても日本語がどこでも通じるから基盤構築にはそれほど時間はかかりません。今はいろんなアプリがあるので、日本だとより簡単に誰かと会ったりできますが、それが海外になると途端に言葉の壁が出てくるので、さらに難しくなる。

 そういったさまざまな穴を一つずつ埋めていかないといけないわけですが、そこでいろいろと苦労される方もおられるでしょう。なので、「海外移住」というのは華やかで楽しそうなイメージが日本ではありますが、決してそんなことはなく、まったく環境が異なるゆえに苦労することのほうが多いのです。

 今、海外移住を考えられている方はこのあたりも十分に考慮してほしい。海外移住は楽しいことももちろんありますが、その反面、人によってはホームシックになったり、寂しさ・孤独・孤立に陥ったりして、そこから抜け出せなくなってしまう人もいます。それは実際に住んでみないとわからないのですが、そういったことも発生する可能性も大きいと考えて移住するようにしてください。

 人間は一人では生きていけません。困ったときに少しでも対面で話せる人が一人でも二人でもいると孤独感は和らぎます。見知らぬ外国の土地に行ったら、まずは友人と呼べる人を作るようにしましょう。人間はハッピーになるために生きているのですから。

参考 外務省の調査についてはこちら。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/pressit_000001_00752.html

 


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