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19歳の私へ―10年後の私が今思うこと

10年前、19歳だった私は、海外へ自分探しの旅へ行くことにした。
バイトをして1年で100万円ちょっと貯め、親を説得し、大学を休学した。
今振り返ると、それはそれは大きな決断。
この決断は人生で唯一「自分の意志だけ」で遂行したものかもしれない。

中学受験も家族や周りが勧めてくれた学校を結局は選んだ。
部活も仲の良い友人が入るということだったので一緒に入った。
大学も推薦で運良く入学ができた。
就職も父の勧めてくれた会社へ入った。
結婚も夫がプロポーズをしてくれた。

なんというか、人生の大きな決断って人生振り返るといくつかあって、
その時その時決めたのは最終的には自分であるのだけれど、
最終判断を後押ししてくれた誰かの存在はいつも大きいものだった。

けれども、19歳の時の決断は、周りの誰が薦めたわけでもなく、むしろ、
反対の声もある中自分で決断をした。

あの時の私は、ただ、自分が今いる小さな世界を抜け出してみたくて、
自分は何ができるのか試してみたくて、ワクワクしてキラキラした瞬間がこれからの将来沢山待っていてくれるような気がしてとても豊かな気持ちで胸がいっぱいだった。

海外での1年間の生活は、毎日が非常に充実していた。
旅行にも沢山行ったし、大学にも通ってみた。
企業でインターンをしてみたり、老人ホームでの本の読み聞かせや保育園の先生のサポート的なボランティアをしてみたり。ピアノやダンスも習った。
自分の住む場所も点々として、目の前に現れた新しい世界に何の躊躇もなく踏み込んだ。

自分の将来は無限に可能性が広がっていて、
自分は何でもできる気がしていた。
英語も大して喋れなくて、悔しい思いも多分辛い思いもしたけれど、
それでも10年後の今ではネガティブな思いをした記憶が全くないほどだから、多分相当毎日生き生きとしていたのだと思う。

***

打って変って、29歳の今の私はエネルギーが枯渇している状態だ。
いまいち根っこの原因が分かっていないのだけれども、病気になってしまって、自分なりに頑張って毎日をもがきながらも生きている。

社会人になってからの私はというと、入社して数年は仕事よりも遊びに無意識に力を入れていたと思う。アフター5なのかアフター6なのか、仕事後に会社の人たちと美味しいご飯を食べに行ったりスポーツを楽しんだり、それはそれでとても楽しかった。その後、気が付けば仕事で役職に就き、The 仕事人間と化した。平日は人に会ったり美味しいご飯を食べに行ったりスポーツをする時間なんて全く無いと思っていた。ただただ仕事に打ち込む数年間を過ごした。

プライベートも人並みに色々なことがあった。
その時はあまり感じなかったけれど、辛いことも苦しいことも経験をした。

そして、気が付けば、私は潰れてしまった。
体も心もボロボロになってしまったのだ。

でも、今思うことは、体を壊したことは「ある意味」よい事なのかもしれない。よい事と言うと少々語弊がありそうだが、体を壊さなければ自分の生き方を変えることができなかったのかもしれない。

19歳の決断からちょうど10年が経った私は、あの頃のキラキラやワクワクを忘れかけていた。毎日自分に圧し掛かるやるべきことをただ淡々とこなし、頭を120%動かし続け、喜びに跳ねたり燥いだりする感覚を失っていた。
明日になることに何の嬉しさも抱いていなかった。

今私が思うことは、またあの時のように自分探しの旅に出たいということ。結婚もしたし、コロナ禍でもあるので、10年前のように海外に行くことは難しい。でも、海外に行かなくとも、新しい世界に足を踏み入れて、自分をワクワクドキドキ希望に満ちた日々の中で生かせてあげたい。

19歳の私へ伝えたい。
あの時冒険をしてくれてありがとう。あなたのお陰で、私は自分探しの旅に出られる勇気がある人間だということを知っているよ。そして、自分探しの旅がとっても素敵なものだということも知っている。冒険に出たら、きっと辛いこともあるけれども、それ以上に自分の世界が広がって、かけがえのない経験をすることができることも知っている。
そして何より私は冒険をすること自体を楽しめる人間だということも知っている。

『LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略』では、100年時代といわれる人生において、エクスプローラーと呼ばれるステージがいかに人生を豊かに生きるために重要かを説いている。

エクスプローラーは、周囲の世界を探査し、そこになにがあり、その世界がどのように動いているか、そして自分がなにをすることを好み、なにが得意かを発見していく。
(中略)
現状を再確認し、自分のもっている選択肢についての理解を深め、みずからの信念と価値観について深く考える時間にできるのだ。

『LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略』P231-233

「良い歳になっていつまで自分探しの旅とか言っているのだ」と批判する人もいるかもしれない。だが、考えようによっては、いつまでも「自分探しの旅」は終わらないのだと思う。だって、時代は目くるめく速さで変化している。自分探しの旅に出て、自分がある程度掴めても、また新たな時代が来れば、それに敵った新たな自分を見つける必要があるのだと私は思う。

定期的に自分探しの旅に出る、このエクスプローラーのステージが私も非常に重要だと思っている。

だから、一旦今のいる世界から離れて、新しい仕事に就くのでもいいし、
病気が完治するまで勉強をしてみるのもいいし、
会いたい人にとことん会ってみるのもいい。

自分がワクワクできることに力を注いでみようではないか。
19歳からちょうど10年。
私は10年ごとに大きな変化のタイミングが来るのかもしれない。

今仕事も休んで家事も最低限にして色んなことを考えられているこの時は「自分探しの旅」のはじまりなんだと思う。
これからの人生をより豊かにキラキラとしたものしたいから、
10年前のあの時の感覚を取り戻せたら、それはそれはとても幸せなことだ。

おわり


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