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地域活性化、自治体関連ニュースまとめ(2021/8/30~9/5)

毎週600~800本に近く配信される地域活性化、自治体関連のニュース(複数メディアから配信される同じ内容のニュース含む)に目を通し、個人的に「これは!」と思ったニュースを要約&解説しています。日々多忙な地域、自治体に関わる皆様の情報収集の一助になれば幸いです。

9/1にデジタル庁が発足。スマホを使った迅速な行政手続きの実現やクラウドファースト等を掲げ、ようやく日本でも本腰をいれてDXを推進する土壌ができました。今週は関連して、地域、自治体が注目すべきデジタル関連ニュースをピックアップします。

カバー画像は雲仙市田代原キャンプ場のヤマボウシ。

■欲しい情報に合わせた情報発信やアンケートをLINE上で。那覇市のLINE公式アカウント活用を支援(コモン・クリエーション✕T&Cテクノロジーズ)

最近多くの自治体等でLINE公式アカウントが開設され、地域自治体は市民とより近い距離で情報発信等ができるようになってきました。市民にとっても従来はホームページに自発的に情報を取りに行かなければならなかったものが、LINEを友だち登録しておくだけで受動的に情報が入ってくるようになったのですごく便利です。

そんなLINEですが、機能開発によって更に便利な機能を追加できるのはご存知でしょうか。

LINE Fukuokaは自治体ニーズが高い機能のテンプレート(ソースコード)を無償公開する 「LINE SMART CITY GovTechプログラム」を提供しています。これらを活用して追加開発を行うことで、従来の公式LINEの機能を飛躍的に向上させることが可能です。主な機能は以下の通り。

情報のセグメント別配信
「防災情報」、「子育て情報」、「イベント情報」、「市政だより」等、あらかじめ欲しい情報を選択しておくことで、それに適した情報を受信することが可能

帳票作成(受付フォームの作成)
市民から申請を受けたり、市民へアンケートを取ったりする際の受付フォームを管理画面上で作成できる

チャットボット作成
トークルーム上で質問に回答したりするための「シナリオ」を作成可能。まちの不具合を発見したらその場でLINEから通報するような仕組みや、ごみの名称を入力すると分別方法がわかる機能等を作成可能。

防災(防災機能の設定)
現在地から一番近い避難場所の検索等、万一の災害時に、市民の適切な避難行動を促すための案内や、避難所の登録が可能。

カレンダー上での予約
施設予約、窓口予約などをLINEから受け付けるために、カテゴリーごとにカレンダーを作成可能。

管理・統計機能
システム管理者が運用担当者に権限を付与したり、友だちの増加数などの統計情報を閲覧できる機能

上記の機能が気になる方は、下記ページからデモアカウントを友達追加することでこれらの機能の利便性を実感できます。

私も実際にデモアカウントを利用してみました。下記はごみの分別方法を教えてくれる機能の実際の画面。やりとりが多くなってしまうので割愛しましたが、「損傷報告」や、現在地から近くの避難所情報を教えてくれる「防災情報」の機能が直感的ですごく使いやすかったです。

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開発が必要ではありますが、予め機能として提供されているテンプレートを活用するので、0から開発するよりぐっとコストや期間を抑えて開発可能。従来メールマガジン等で情報配信していたものより、より利便性の高く、市民にとって馴染みのあるLINE上にて、行政 ⇔ 市民の多様なコミュニケーションが可能になります。

今やホームページや広報誌、メルマガ、各種SNS(LINE, Facebook, Instagram, Twitter, note等)情報発信ができるチャネルは溢れかえっています。ターゲットや目的を設定せずに、闇雲に多くのチャネルに手を出すと運用負荷等がかかり、現場が疲弊してしまいます。

国内8600万人を超えるユーザーを抱えるLINEはもはや国民のインフラです。「情報発信、コミュニケーションの手段は思い切ってLINEをメインに据え、機能を充実させていく」というのも有効な手段だと思いました。

ニュースに取り上げている那覇市の例では『LINE SMART CITY GovTechプログラム』の開発、導入支援を行うコモン・クリエーション合同会社と、システム開発を業務とするT&Cテクノロジーズ株式会社が業務提携し、那覇市の公式LINEに実装します。

■SNS上で検知された災害・事故等のリスク情報を3D都市モデル上に可視化する実証実験が開始

JX通信社は、SNS上で検知、蓄積した災害・事故・事件などのリスク情報データを3D都市モデル上で可視化する実証実験を開始しました。

JX通信社は報道機関、行政、BCP導入民間企業向けにリスク情報を迅速に提供する「FAST ALERT」を提供しており、SNSを中心に複数の情報ソースの中からAIを用いて、自然災害・事件・事故・情報漏洩・SNS炎上・新型コロナウイルス情報等、100分野を超える様々なリスク情報を提供しています。

これらで収集した情報を国土交通省が提供する「Project PLATEAU(プラトー)」が提供する実世界を忠実に再現した3D都市モデル上で可視化。オープンデータとして公開することで、あらゆる人が、警察、消防、自治体等の当局よりも迅速に、地域におけるリスク情報の把握や、初動対応が可能になります。

このように現実の世界から収集した様々なデータを、まるで双子であるかのように、コンピュータ上で再現する技術を「デジタルツイン」と呼び、収集、統合された膨大なデータを元に、限りなく現実に近い物理的なシミュレーションが可能になります。

「PLATEAU」は様々な企業が所有するデータを、デジタルツインに反映させることで、災害リスクの予測&分析の他にも都市計画の立案やドローン配送、エンタメ分野の活用等あらゆるシミュレーションが3D空間上で可能になっていきます(下記は各ユースケースの動画)

統合されるデータ量や質に応じて、可能性が無限に広がる「デジタルツイン」。近い将来、「こんなことやってみたらどうなるのかな?」「この町でこんなことが起きたらどうなるのだろう....」等、いままでは妄想の域を出なかったアイデアを、現実に忠実な仮想空間において、誰でも試せるようになる日がくるかもしれません。

■静岡県、ドローンを遠隔操作できる体験イベントで訪日旅行のリベンジ消費獲得を目指す

静岡県が、シンガポール市場向けにドローンの遠隔操作体験ができるバーチャルイベント「Mt. Fuji Drone Challenge in Asagiri」を2021年9月9日に開催。コロナ禍で日本に行けない見込み観光客に対して提供するオンラインツアープログラムの中で、富士山麓でのドローン撮影体験を実施します。インターネットを介した遠隔操作により、約5000km程離れたシンガポールからドローンを操作します。

その他にもポストコロナの ”リベンジ消費” 獲得を目指し、実際に静岡茶のブレンドティーや日本酒を試飲しながら解説を聞くことができる体験や、酒蔵ツアー等、オンライン上で提供可能できる限りの体験がてんこ盛りです。

担当者の気持ちを考えると、イベント終了までとてもひやひやだと思うのですが(笑)、事前に遠隔操作の実験を繰り返し、入念に準備しているようで、ドローンの観光分野への利活用に向けた新たなモデルとなりそうです。
__成功をただただ願うばかりです。

■役所窓口をスマートフォンからWeb予約「Graffer 窓口予約」の提供を開始

行政サービスのデジタル化を支援する、株式会社グラファーが、スマートフォンから役所の窓口予約ができる「Graffer 窓口予約」の提供を開始しました。

直感的に操作できる画面から、24時間いつでもどこからでもスマートフォンから役所窓口の予約が可能です。長い場合には数十分から数時間かかる自治体窓口の待合時間を庁内の混雑緩和を促します。

利用シーンは、マイナンバーカードの交付、法律相談、教育関係の相談、納税相談、相続相談等。市役所内での所要時間が異なる複数の手続きを一元的に管理することができます。

Grafferはこの他にも以下のようなサービスを提供しており、既に67以上の政府機関で導入実績があります。

Graffer手続きガイド
スマートフォンやウェブから、質問に答えていくだけで自分に必要な手続きが分かる、市民向けの手続き案内サービスです。考えうる手続きとその条件を記載したエクセルシート1枚を入稿するだけでシステムが動作。以下は千葉県柏市の例。
https://ttzk.graffer.jp/city-kashiwa

Grafferスマート申請

あらゆる行政手続をスマートフォンで完結できるサービス。マイナンバーカードを使った本人確認、クレジットカード等のキャッシュレス手段で手数料支払いが可能。以下は神奈川県横浜市の例。
https://ttzk.graffer.jp/city-yokohama/smart-apply
※動画はこちらから
https://www.youtube.com/watch?v=OrKQmYpONVs&t=38s

従来こういった窓口予約、手続きフロー、電子申請等のサービスを実装する場合は各地自体ごとに多額の開発費用や保守、運用機能がかかっていました。Graffer や xID ✕ LoGoフォーム に代表されるような外部のサービスを使って費用や運用の手間を抑えて実装してしまうのも、スピード感を持ってデジタル化を進めるためには重要なことではないでしょうか。

「使えるものはとことん使う」そのためにはそもそも市場に出ているサービスや事例を知らなければなりません。日々の情報のインプットにこの ”地域活性化、自治体関連ニュースまとめ" が役立っていればと思います。


【注意】
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