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アベンジャーズ / インフィニティー・ウォー

これは大変なモノに手を出してしまった感しかないですが、「アベンジャーズ」シリーズ一本も観ず、「アイアンマン」も「キャプテン・アメリカ」も「マイティ・ソー」も「ハルク」も全く知らないまま行って来ました「アベンジャーズ / インフィニティー・ウォー」の感想です。

ま、ということで、ほんとに詳しいことは分からないんですけど、それでも、この映画の持っている"何かとんでもないもの"感はビシビシ感じて来たので、それを話そうと思うんですが、だから、分からないままに「そこは言っちゃダメでしよ。」ってことをウッカリ書いてしまう場合もあるかと思いますので、そこら辺は皆さん自己責任でお願いしますね。えーと、まず、今までスルーして来たものを、なぜ、このタイミングで観ようと思ったのかってとこなんですが。上記した様に、最初の「アベンジャーズ」に至るまでの各作品を僕は全く観てなかったんですね。(まぁ、元々アメコミとかにもそれほど興味はなかったんですが、)では、この「アベンジャーズ」に繋がる最初の作品、「アイアンマン」の第一作が公開された年に僕は何を観ていたのかというとですね、2008年なんですけど、この年に最もハマった映画って「ノー・カントリー」なんですよ。(コーエン兄弟監督による、この年のアカデミー作品賞を獲った映画ですね。日常の裏側にある闇を描いた、割りと哲学的な、それまでのアカデミー賞だったら、まず、受賞しなかったであろうと言われている作品です。)で、この年はこういう年だったと思うんですね。P・T・アンダーソン監督の「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」とか、スティーブン・キング原作のトラウマ・エンディングで有名な「ミスト」とか、エンディングどころか全編に渡ってトラウマ必至の(「ファニー・ゲーム」のアメリカ版)「ファニー・ゲーム U.S.A」とかね。エンターテイメント作品にしても、ディズニーは「ウォーリー」でディストピアSFだし、ジブリは「崖の上のポニョ」っていう、ジブリきってのクレイジー作品が公開された年で。そういう、完全に人間の闇の部分に興味が行ってた年の中での「アイアンマン」だったので、(日本ではその前に「インクレディブル・ハルク」が公開されてるんですが、その公開月、僕は「片腕マシンガール」を観てましたね。)「アメコミ・ヒーロー物の映画化?スルースルー。」って感じだったと思うんですよ。(いや、「インフィニティー・ウォー」を観た今となっては、この頃の映画的流行の流れの中で出て来た作品だって分かるんですけど、この年に公開されたエンタメ作品「インディー・ジョーンズ / クリスタル・スカルの王国」がいまいちだったってことも影響して、エンタメよりアンダーグラウンドなものの方が面白いんだってモードになってたんですよね。きっと。)

で、最初にそうやってスルーしてしまったので、その後の「アイアンマン2」、「マイティ・ソー」、「キャプテン・アメリカ」なんかも当然スルーしてたら、2012年に、それらの作品内世界を統一させた、マーベルのヒーローたちが集結する映画「アベンジャーズ」が公開されるんです。つまり、ここまでがMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の一大事業のフェーズ1なんですけど、ここで、「なるほど、今まで個別にやってきた作品たちはこれをやる為の布石だったのか。」って気づくんですね。でも、その時も、まだ「映画のアトラクション化か~、なんかな~。」なんて思っていたので、そのお祭りみたいな波に自ら乗る気にはなれないでいたんです。で、まぁ、その後「アイアンマン3」、「マイティ・ソー / ダーク・ワールド」、「キャプテン・アメリカ / ウィンター・ソルジャー」と公開されていっても、もう、フェーズ1を全部見逃してるわけですから、(なんか色々評判なんかも聞いて興味はありつつも、)自分の中での"今更感"が増大していって「暇な時に一から観れたら観るか。」くらいの感じで納めていたんです。なんですけど、ここで転機が来るんです。2014年に、それまでのマーベル・ヒーローとは毛色の違う「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」が公開されるんですけど、かなりギャグ要素の強いSF活劇で、監督も、B級映画の最大手トロマ社出身で、「ドーン・オブ・ザ・デッド」のリメイクの脚本を書き、なんと言っても2010年に公開されたインディペンデント映画「スーパー!」の監督のジェームズ・ガンが担当するということで、これはかなり好きそうだぞと。で、観たら最高だったんですよ。ただ、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」は、今までのMCUのヒーロー物とは明らかに違うので、「アベンジャーズ」には参戦しないだろうと勝手に思っていたんですね。要するにマーベルが推して来たヒーロー物に対するカウンターの様な作品なんだと。だから、まだ、僕の中では「アベンジャーズ」とは直結していないんです。なんですけど、ここで、マーベル作品を観れないという呪縛が解かれてしまったので、その後の「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」、「スパイダーマン:ホームカミング」、「ブラックパンサー」と好きな監督が撮ってる作品は観る様になったんです。で、全部面白かったんですよね。そしたら、このタイミングで、今回の「アベンジャーズ / インフィニティー・ウォー」なんですよ。だから、これ、完全にフェーズ2の「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」から入った人用の、導入部としての「アベンジャーズ」になっていてると思うんです。

つまり、今回の「アベンジャーズ」が何をしてるかというと、推しが増えてきて、その推しが大舞台で活躍しているとこを観たい。でも、フェーズ1のことなんか全く分かりませんて人に、世界観を理解させながら推しのいいところも見せるっていうのをやらなきゃいけないわけなんですけど、そのめちゃくちゃ我がままな要求をですね、もの凄いバランスでやってるんですよ。例えば、ひとつ例をあげますと、映画冒頭は、恐らく前回の続きから始まってるんですね。(観てないので分かりませんけど。)今回の悪役(だけど実質的に主役)のサノスがいかに横暴で、そして、圧倒的に強いかっていうのをやりながら、一通りレギュラー陣を紹介していって、(「あ、この人知ってる。」とか、「こいつはこういう超能力があるのか。」みたいなこともやりつつ、「こことここは繋がってます。」とか、「ここは初対面です。」みたいなのももの凄いスマートに紹介して行くんです。その上で、「今回、かなりヤバイです。このサノスっていうのがマジでヤバイんです。」っていうのもすっごい言ってくるんですよ。で、)かなーり深刻な感じが漂って来たところでの、あのノーテンキさが売りのチーム「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」が登場するっていう。ね。(もちろん、ご機嫌な70年代ポップスと共にです。)もう、ここでね、その前までのシリアスな雰囲気が吹き飛んで、要するにこれなんですよ、僕が「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」を好きなのはってことになるんですよ。で、(もう、周知の事実なんで、これは言ってもいいと思うんですけど、)この「インフィニティー・ウォー」って、最終章のうちの前編になるんですね。(だから、もちろん、めっちゃ途中で終わるんですけど、)この前編は、ご新規さんに花を持たせました的なね。そういう作りになっているわけなんです。(今回、バトルの舞台が宇宙ユニットと地球ユニットに別れてるんですが、宇宙の舞台は「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」で、地球のバトル部分のいいところで「ブラックパンサー」のワカンダ王国が出てくるんですよ。「ブラックパンサー」の面白さのひとつにワカンダの作り込みの凄さというのがあったわけなので、そういう各々の売りの部分をきちんとチョイスしてくれてるっていう、これやってくれたらアガるっていうのをね、ちゃんと押さえてるんですよね。)だから、そうやって、新人の「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のホームにマイティ・ソーとかがやって来て、ちゃんと、「ガーディアンズ」の雰囲気でやってくれると「マイティ・ソー、凄いいいやつじゃん」とか、「ソーパイセン凄い。さすがキャリアある。」ってなるんですよね。映画本編とは関係ないですけどね。(あと、ロケットの立ち位置分かってるとか、グルートの扱い分かってるとかいろいろあるわけです。)で、つまりは、そういう虚実入り混じるというか、自分を含むこの物語を形成する世界がどんどん拡がっていく感じっていうのが、この「アベンジャーズ」という祭りなんだなと感じるわけです。

だからですね、今回のサノスっていう敵がもの凄いアホみたいに強いんですけど、その敵役の方の人間性というか、キャラの作り込みみたいなのが感情移入出来るくらいに練られているのも、この世界にサノスが存在する意味っていうのを伝える為だと思うんですね。そうやって、10年前の「アイアンマン」の時からちょっとづつちょっとづつ作り上げてきたディテールが完成に近づいていってるというのを感じてきて、"何かとんでもないもの"になってるなというのを実感出来ると同時に、「これ、この後どうなっちゃうの?」っていう、もう、今後追っていくしかないじゃんってとこにも見事にハマッた(これ、果たして映画なんだろうかという気さえしてくる)映画でした。

で、ひとつ難点があるとすれば、今回のを観たら満足してしまって、もう充分なので、今までの作品を一から観直そうって気にならないとこでしょうかね。(あと、髪とか切ってると、ほんとに誰だか分からないから。)

http://cpn.disney.co.jp/avengers-iw/

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