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【映画感想文】オオカミ狩り

『メタモルフォーゼ/変身』『共謀者』のキム・ホンソン監督が日本でもファンの多いソ・イングクを主演(?)にしたバイオレンス・アクション(?)映画『オオカミ狩り』の感想です。

しばらく忙しくて映画館にも行けてなかったので、仕事前の時間を使って何かスカッとするようなのが観たいなと思って、『犯罪都市』みたいな韓国犯罪モノを想像して行ったんですが、超絶スプラッター映画でした(まぁ、スカッとはしたんですが。)。しかも、死体も血の量もこれまで観た映画の中で最多。更に、何の躊躇もなく重要そうなキャラクターを次々と殺していくので「え、ちょっと待って。これ何の話?」と思いながら観て(というか映画館の座席に縛り付けられて無理やり見せられ続けているような気分)いると、「お前誰だよ?!」ってやつが颯爽と現れて、登場人物どころか映画のジャンル自体亡きものにしていくみたいな、そういう映画なんですよね。ただ、これが、快感だったんですよ。

えー、何の話か全然分からないと思いますので、少しストーリーを説明しますね(うまく説明出来るか自信ないですが。)。フィリピンに逃亡していた極悪犯罪者集団を貨物船に乗せて韓国まで護送することになるんですが、途中で犯人たちの反乱にあい、船内で警察と犯人との血みどろの銃撃戦(またはナイフで刺し殺されるなど)が行われることになると。で、ここまでなら、船で凶悪犯を護送するという設定を密室でのシチュエーション・ホラーとして描くってことで(にしてもその描き方はそうとうエクストリームなのでやりすぎ感ムンムンではあるんですが。)予想の範囲内ではあるんですよ。予想内の惨劇といいますか。で、おー、やってんなって感じで観てるこっちにもまだ多少の余裕があるんです。そしたらですね、ここで、ほんとにふいになんですけど人外のものが現れるんですよ。改造人間とゾンビの間みたいなものが。だから、ここまで普通に観てた人からしたら「え、何言ってんの?」って映画に対してツッコミ入れたくなるんですけど、そのツッコミが入るか入らないかのうちに今度はその怪物の有無を言わせない惨殺ショーが始まるんです。

なので、そのあとはもうただただ惨殺惨殺惨殺。これまで撃つ、刺す、殴るだったバイオレンスシーンに、潰すとか、引きちぎるとか、投げつける(でかいハンマーで顔がなくなるくらい潰すとかね。)などが加わって一味変わったゴア描写のオンパレード(意識高い系のラーメン屋とかである味変みたいなものですかね。)。で、「え、なんなのこの映画?」って思ってると、犯罪者集団のひとりが「ここは地獄だ…。」って言うんですよ。ああ、そうだ。これはまさしく地獄だ。中川信夫監督の『地獄』以来の地獄の映像化を見せられてるんだって気分になるんです(しかも、もの凄いハイテンションで。)。で、これがですね、なぜだか非常に気持ちいいんですよね。物(ていうか人ですけど。)が破壊される気持ち良さってあるじゃないですか?そういう破壊衝動みたいなものをかなり満足させてくれるんです(破壊される度に血がブシャーって凄い勢いで噴き出しますしね。あ、この映画、ちゃんと汚いところを汚く描いてるのがいいんですよね。船内の極悪犯たちが監禁されてるところとか。そういうところが血まみれになっていくのが嫌でいいんですよ。映画館の中にまで血の匂いが漂ってくる様で。その嫌な感じとキレイな顔の俳優たちの対比もこの映画の魅力のひとつですね。)。もう、警察 vs 凶悪犯の時点でサイコパス vs サイコパスなのに、そのうえで理解不能の怪物が現れるんですよね。で、皆殺しみたいな…ハハハハハハハハハ…ね。

ということで、最近、イライラしててストレス解消したいとか、たまには理屈抜きでクレイジーなもの観たいってひとには超オススメです。僕はかなり楽しめました(しかし、きれいな顔のアイドル的な人気もある俳優さんが多数出て来て、みんな血まみれのゴア描写をここまでやるって。韓国映画の底知れなさをまたまた感じた一作でした。)。


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