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#69 -雪とける森の中で白樺の樹液を飲もう!

自然の流れにしたがって生きていくと
その季節その季節にしかできないことが楽しめるようになる。

ベリー類の採集・キノコ狩り・かまくらづくり・
凍った湖でスケート・凍ってない湖で泳いだり、ボートを漕いだり・
サウナから出てきてに雪の上を裸でころげまわったり・・・

おかげで毎年それぞれの季節のおとずれが楽しみでしかたない。

早く雪が降らないかな?

早く春が来ないかな?

早くイチゴが熟れないかな?

早く泳げるくらい暑くならないかな?

早くリンゴジュース飲めないかな?

早く薪ストーブ使えないかな?

四季の中にはたくさんの小さな楽しみがつまっている。

雪が解け始めるこの時期にはまたひとつの楽しみがある。

それはこの雪解け時期限定白樺の樹液を飲むこと。

昆虫かお前は。

と思われた方、しばしお待ちを。

樹液とは書きましたが、白樺の樹液はほぼ水のようなもので、
英語ではBirch water, Birch juice とも呼ばれています。
ちなみにエストニア語でも Kase mahl と言って、
白樺ジュースとして親しまれています。

遠い昔からこの時期になるとエストニアの人は森にいき、
白樺の木からこの白樺ジュースを採集してきたのです。

英語ではTappingと言い、普段は「こんこん・こつこつ叩く」という意味で知られている言葉ですが、木から樹液などを採る時にもTapが使われます。

樹液をTapできる時期は雪解けから木の蕾が開く前までの4週間ほど。
なので、1年の内でも僅かな期間しか採取できない貴重なものなのです。

採り方としてはドリルで木に小さな穴を開け、
そこにチューブなどを入れ込み、ボトルなどの容器に繋げて採集する。
という比較的シンプルな方法ですが、

穴の角度・深さ
穴の高さ・方角
正しい木の選択
採取後の穴の塞ぎ方

などなど当たり前といってはなんですが、奥は深いです。

以前、南エストニアの伝統的なスモークサウナをやる友人がいることを書いたのですが、その友達はこの樹液の採集もベテランなので、いろいろアドバイスをもらって今年、ついに初挑戦してみたのでした!


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セットアップ完了!

セットアップ(穴をあけるところはないですが)から採集までの動画をまとめてみました。(初の動画編集)ただ、ひとつのビデオが撮影中にバグり、映像が途切れ途切れになってしまいました。ちょっとお見苦しいかもしれませんが、お許しを!

注・娘が喋っているのはエストニア語です。
娘→ボク・エストニア語
ボク→娘・日本語
という変わった会話のスタイルです。


残念ながら大きな容器の所は設置の仕方が悪かったのか、
水が溜まってませんでした。

でも他の所はしっかりたまっていたので、
3リットル近くの白樺ジュースが手に入りました。

娘も「おーいしぃーいー!」

と、喜んで飲んでました。

この樹液にはさまざまミネラルが含まれていて、
健康飲料としても注目されているます。
またお肌や髪の毛にもよいという情報があり、
飲む以外にもいろんな活用方がある万能なお水です。

採取したあとは冷蔵保存だと5日程度はもつとのこと。

常温で保存するとすぐに発酵し始めて、
透き通った透明な状態から濁った状態になるので、
そうならないうちに採れたてを飲んでしまうのがイチバンです。

ほんわりした甘さがあり、ちょっと木の実っぽいナッツ系の風味があってなかなか美味しいのです。最近存在するらしい水ソムリエに飲ませたら5分くらいは語ってくれそうな味です。

冬の間の長い眠りから覚め、
木が大地から吸い上げた養分や水分を
根から先端まで送っているところを少し頂戴する。

ナウシカが腐海の底に落ちたあと、巨大な木に耳をあて、
「枯れても水は通している」
と言ったシーンが蘇りました。

(あ、でもこの白樺の場合は木は枯れてないのですが・・)



こうしてひとつひとつ、
現地の人の習慣を知っていけるのは楽しい。

そして自分もその習慣のひとつひとつを
学んで実践していくのはもっと楽しい。

少しずつではあるけれど、自然のリズムに沿った生活ができるようになった気がする。


誰かが、この白樺ジュースでコーヒーを淹れると美味しいよ!
と、言っていた。


ほう・・・


画像2

淹れてみた。


う・・・・

美味い!!!(気がする)

先入観・主観が入りまくっている可能性大ですが、
こう、なんていうか、まろやかさが増して
さらに、角が柔らかくなったような味でした。


うーん。贅沢だ。


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