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感情を扱うすべての専門家へ その概念は前提が間違っている可能性がある #032


■「感情の解消」の意味がわかっていない


ほぼ専門家向け。感情を扱う専門家。
ただ体の治療を扱う整体師などの職業にも同じ前提間違いは当てはまる。

今俺は旭川に住んでいて、吹雪と1メートルの積雪の中にいる。
買い物に出かける。寒いと感じる。キツイとも感じるし、早く暖かい屋内に入りたいと思う。と言って小走りになると滑って転ぶ可能性がある。そのためゆっくり踏み締め、それでいて極力急ぎめに歩く。つまり恐怖心と警戒心により、心身ともにストレスの状態にある。

カテゴライズするならこういうものは負の感情だ。心の大半をネガティブが占めている。
そこにカウンセラーやセッションを行う専門家が現れてじっくり話を聞いてくれる。そして彼らはこう言う。
「そのような悪感情を持つ必要はありません」
「毎日そんなマイナスの感情を持つのには原因があります」
「たとえば親との関係が原因です」
「今はもう持たなくていい感情です。感情を解放しましょう」
「そのための方法、ワークをやりましょう」
「どうですか?少し心が軽くなったんじゃないですか?」

おかしいばかりか、明白な過ちであることは誰が聞いてもわかる。

寒さ・キツさを感じることを忘れ、恐怖心や警戒心をなくし、寒くなく怖くないんだから小躍りして雪の中に出よう!・・・・相当頭がイカれている。


■ほとんどの専門家は雛形を守る人たちだという理解が必要


専門家というのは、私たちが至らないある限られた分野が必要になった時、手を差し伸べ、問題を解決してくれたり、有益な情報をくれたり、力になってくれる存在だ。
だが実際には全く違う。
彼らの9割は「習ったことをそのままやっているだけ」だ。キャリア数十年の人も同じ。向上心はもともとなく、実のところ専門分野の知識すら危うい。実践は習ったことの繰り返しのみ行う人がほとんどだ。医者、弁護士、車の修理工、料理人などほぼほぼどの分野でも、自分が学んだことは基礎から正しいという想定のもと、根本を顧みずに動き出す。

感情を扱う専門家も同じだ。
彼らは感情を解消し、ブロックを取り、心を癒すことが正しいと信じている。あるいは体の専門家なら、感情の不都合が体に悪影響を与えていることを排除しようとする。
この考え方は全否定できないが、掛け算として三流専門家が扱うとただの凶器になる。

「怒りの感情」にしろ、「自己卑下のメカニズム」「虚しい感覚」にしろ、結論、解消すればいい・・・・という一義的な答えで統一されている。
しかし上に書いたように、負の感情は取り除けば成功とはならない。むしろ弊害になることがある。それも思った以上にある。
もしあなたが今の俺と同じ立場にいるなら、嫌だけど買い物に行かなきゃね。行くならなるべく安全に手早く済ませよう、と思うことだ。誰が考えてもわかる。
寒いとか怖いとか、感じ方バグってるから治そう・・・・などと決してならない。

雛形専門家にとって怒りや虚しさは、教科書通り敵と決めつけた方が迷わずに済む。クライアントも「嫌な思い」をしていて「どうにかしたい」のだから、ここで共謀関係・・・・より正確には共依存の関係が作られる。
ところが怒りはすでに書いたように正当な怒りもあれば↓

場面によっては「当然感じるしょうがない怒り」もある。


■そりゃしょうがないでしょ、の怒り


場所や人を間違った時、人は簡単に怒ったり、悲しくなったり、虚しくなったりする。いくつも心当たりがあるだろう。
まずブラック企業に勤めてみてほしい。場所を間違えた。その場所を作ったトップやそんなところで辞められず働いている人も手本になるような人ではない。つまり人も間違っている。

このような状況で人は普通に、怒り、悲しみ、虚しさ、不信、自己卑下を行う。人として至極当たり前の反応だ。
つまり感情そのものに間違いはない。
間違いは、感情以前にある。選択ミス、判断ミス、継続しなければならないという思い込み、途中であっさり辞めてはいけないという自己圧。それらに問題があり、それらの問題を解決する必要がある。

実行動でいうなら「ただちにその場所から離脱し、2度と関わらない」必要がある。ところが雛形カウンセラーは心の問題にすり替える。
カウンセラーであれ整体師であれ、本気で相手の心身を良くすることを考えるなら「今すぐ仕事を辞めろ」と、根本対応を具体的に勧めるべきだ。
この背景を維持しながら、1時間話したり体を触って「良くなる」などということなど絶対にない。

なぜ選び間違えたのか、多くの人が確率論で間違うように間違えただけか。それとも間違えるべく間違えたのか特定できる必要がある。
間違えるべく間違えたなら、それは感情の問題ではなく【構造】の問題だ。なら、構造にメスを入れる手立てを講じなければならない。そのための方法を知っており、相手ができるように運べる必要がある。

現在の状況からの離脱する必要がある。そのための方法は別にある。たとえば離婚することでしか解決できないとわかるなら、離婚のスムーズなやり方、その間の金銭問題の解決、などに通じていなければならない。
カウンセラーが、自分の専門職として、だ。
ブラック企業から足を洗うことも同じ。「そこは弁護士に行ってください」というなら、そもそもカウンセリングを受けに来る必要がなかった。相手が職場選びを間違えたように、専門家選びを間違えたのだ。間違えているのに「感情を解消しよう」など筋違いなことを言っていいわけがない。

あるいは雪の旭川のように、それは普通に耐える物事ですと判断できる必要がある。なら「防寒の情報」を提供できなければ話にならない。
場所と状況は離脱するかしないか、それとも当たりをどのようにつけるか。回数は何回か、などよく見極めることだ。
占いを扱う専門家はこれを星の位置だとかカードが示しているとか言い出す。イカれている。必要なことは防寒対策だ。星もカードも1ミリも役立たない。スピリチュアルも同じ。霊とかハイヤーセルフとか神様とか全くどうでもいい。大切なことは防寒対策だ。


■前提と個性、個性に合った方法の3点を見極める


感情を扱う専門家に必要なことは、相手の性質と状況を見極めることで、実のところ感情そのものに通じる必要はない。メタで正しい判断を下せることが、結局は感情の問題も解決させるからだ。(ないが、専門家である以上精通するのは当たり前のことだと思う)

たとえば俺は人の体の状態を治すことはできない。
しかし見方を変えると腕のいい整体師よりもはるかに治すことはできる。たとえばブラック企業を辞めさせることができると心身ともにたちまち健康に向かう。

専門家は自分が何の専門分野に通じていて、自分に何ができるか、そして「できないか」を正しく知ることだと思う。
だが、より重要なことは、専門家を頼る側で、このことを知っていれば雛形カウンセラーを避けられるだけでなく、なんなら自分で自分の物事を解決できる力を持つことができる。

話を「怒り」に戻すが、怒りの感情に長けている人という資質を持つ人がいる。こういう人は怒りを失うことイコールロボトミーになってしまうので、適切な対象に、適切な回数、適切な強度の怒りを存分に感じ、十全に正しく発揮する必要がある。
同じことは悲しみにも言えるし、恨みや憎しみにも言える。ただし虚しさには当てはまらない。このあたりの理屈は専門的なことになるので置く。


よく見てみると、その業界が正しいとしている根拠薄弱な理論をただ守っている。そういう専門家は真っ先に避けた方がいい。未熟な上伸び代もない。
その業界のトップと呼ばれる人も、実のところ雛形の上位にいるだけで、やっていることは同じ・・・・経験年数が多いだけにより悪い、ということがある。もちろん避ける。有名であるなどは信頼の理由にならない。

たとえば感情に対して働きかけをしたいなら、感情のことに精通しているだけでなく、人間のメカニズムや個性の判断に通じていて全体包括的に物事を把握できる人に話をした方がいい。
これは医者でも弁護士でも、どのような職業でも言える。
知らない分野は判断が難しい。だからといって、わからないから信じよう・・・はない。



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