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サービスコラム 第1~4章

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第1章 サービスの本質 第2章 サービスの勘違い 第3章 マーケティングされたサービス 第4章 2種類のコンセプトを作る
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2020年10月の記事一覧

07.サービスは顧客満足を不要にする

07.サービスは顧客満足を不要にする



完全なサービスはお客に喜んでもらおうとしなくてもお客が喜んでくれる、というと大きな反発があるかもしれない。

その証拠にリッツ・カールトンなどのラグジュアリーホテルでは、お客に満足してもらうための心配りが優れているなどという具体的な反論も出るかもしれない。
しかしそれでも完全なサービスは、完全なマーケティングが販売促進を必要としないように、顧客満足を呼び起こす行為を必要としなくなる。

それは

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06.サービスと接客の根本的な違い

06.サービスと接客の根本的な違い



サービスと接客の違いは、マーケティングと販売促進の違いに似ている。
どちらも理論的な説明がなければ何が違うか見分けにくいというところも似ているし、仕事や業務が重複するところがあるということも似ている。

サービスは提供すると決めたものを提供する。
接客はサービスとお客の間を取り持つ。
サービスは提供すると決めたことの約束を守り、
接客は両者の間を取り持つ中立の立場で、ニーズを一致させる。
した

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05.良いサービスだと思われているすばらしい接客

05.良いサービスだと思われているすばらしい接客



「最近満足や感動したサービスを3つ思い出してください」

この質問をすると、ほとんど決まった傾向の答えが出る。
たとえば「どこどこの旅館で大変親切にしてもらった」や「有名レストランでドッキリ誕生日ケーキを振る舞ってくれた」など、必ず接客が関わる答えが出る。
そういった答えが出るように質問をアレンジしているので、結果は当然このような答えになる。

そして次に、「身近にある必要不可欠なサービスを3

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04.マーケティングは販売促進を不要にする

04.マーケティングは販売促進を不要にする



マーケティングは、はじめからお客に支持されるものを用意する。
しかもお客が買いやすいように工夫する。

販売促進ではお客の支持云々は関係なく、売るために工夫を凝らす。
そのためにお客に売りやすいように努力する。
お客の支持は売るために必要な時だけ考えられる。

つまり、マーケティングが成功していれば、売る努力を行わなくてもお客が買ってくれるので、販売促進活動は不要ということになる。

多くの人

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03.ウーロン茶と麦茶の違い?

03.ウーロン茶と麦茶の違い?



マーケティングはお客が主体になる。
これに対して、販売促進は事業が主体である。
だからマーケティングは買ってもらい、
販売促進は売る。
具体的に何が違うのだろうか。

マーケティングはお客が買ってくれるように、買いやすいように働きかけをする。

そのためにはお客の声に耳を傾け、お客たちを見るということをしなければならない。
お客のことを知らなければ、お客が進んで買ってくれるように何かを作ること

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02.マーケティングだと思われている販売促進

02.マーケティングだと思われている販売促進



今ここに、グラスに入ったお茶がある。
お茶は茶色で、それをある人がウーロン茶だと言ったとする。
そこでまた別のある人が、ウーロン茶を飲んだことがあり、色を見てウーロン茶だと断言する。そして、ウーロン茶を飲んだことがない人に「飲んでみろ」と勧める。

はじめてウーロン茶を飲んだその人は、こんなに香ばしいお茶があったのかと驚き、また別の人に勧める。
そしてそのウーロン茶は多くの人に支持され、ウーロ

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01.マーケティングされたサービス

01.マーケティングされたサービス



事業でサービスを生み出すとき、必ずうまくいく方法があります。

それが、

を生み出すことで、マーケティングされたサービスというのは、サービスを作ってから販売促進活動を行うのではなく、マーケティングが完了してからサービスを作ることをいいます。

販売促進とマーケティングの勘違い、
接客とサービスの勘違いを見てから、
マーケティングとサービスが相乗効果を発揮するために必要な方法を明らかにしていき

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18.商売で取り入れるサービス

18.商売で取り入れるサービス



サービスと商売は、もともと持っているものが少し違う。

サービスが共生するのに対して、商売は競争する。
サービスが効用を基準にするのに対して、商売は価値を高めようとする。
サービスが提供者主体なら、商売はお客主体で、サービスが社会に対して働きかけるのに対して、商売は人に対して働きかける。

サービスを商売に取り入れるときに大切なのは、どの個性のサービスを取り入れれば、商売上うまくいくのかという

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「サービスとは一体何か?」

「サービスとは一体何か?」

はじめまして。松之助です。

サービスのプロで長年従事している人にも、ビジネス特にマーケティングのプロにも「サービスの本質が何か?」をちゃんと説明できる人がいないことに驚きを隠せません。
コラムにも書きますが接客がサービスだと勘違いしている人も少なくありません。
不愉快な思いをすればサービスが悪いと感じる人も多いと思います。
接客をしている人の中には、誇りとプライドがあれば良いサービスが作られると

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17.安全は何よりも優先される

17.安全は何よりも優先される



サービスは、「提供の約束を守る」ことが役割であるし、それがなければサービスは成り立たないけれども、サービスの提供よりも優先されることが実はひとつだけある。

それはサービスの責任でもある、

ということである。

たとえば八百屋は、残留農薬が人体に悪影響を与える野菜や果物を売ってはならないし、水泳のインストラクターは溺れる生徒を無視してレッスンを続けるわけにはいかない。

鉄道会社のサービスは

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16.サービスは競争しない

16.サービスは競争しない



サービスは収益目的で活動したことがなく、商売は収益性を目的に活動してきた。だからサービスには競争がなく、商売には競争はがある。

サービスははるか昔から競争するものではなく、そこに在るものだった。
社会のシステムそのものだった。

たとえば道路がひとつできると、それは単に以前より便利になったというだけのことだった。
その道路は他の道路と競争しなかった。どちらの方が、よりサービスが優れているかを

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15.サービスは価値で測らない

15.サービスは価値で測らない



サービスは、提供すると決めたものを必ず提供する活動のことである。
乱暴に言い切ってしまうと、決めたものが支持されるかどうかは関係ない。
もう少し正確に表現すれば、サービス継続提供のために「支持」は少なからず必要な場合があるが、「不支持」は全く必要とされない。

サービスは「価値」という主体的なもので判断せず、

という相対的な視点で判断する。

たとえば、国が提供する障害者補助は公共サービスだ

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14.サービスに共通する3つの特徴

14.サービスに共通する3つの特徴



サービスの3つの本質、現代サービスの5つの本質の他にも、サービスに共通する特徴が3つある。

サービスは規模の大きいものも、小さいものも、システムを継続運営するという意味で、資本を必要とするという特徴がある。
道路の場合も上下水道も、軍隊の場合も奴隷も、飲食の場合もフットケアを提供する場合も資本が必要になる。

特に公共サービスは大資本を必要とすぐことが多く、それを国が税金によって運営してきた

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13.現代サービスの本質

13.現代サービスの本質



工業の発展を利用したサービスは、商売を通じて社会貢献を行うようになった。
そして工業の応用である鉄道を使って、社会の新しい不備を解消した最初の現代サービスが旅行代理店である。

鉄道は大量輸送、スピード化、コスト削減の3つを一気に行った。
これら3つの革新によって便利を提供すると、新しい問題が生み出された。

たとえば、ロンドンで1851年に開かれた第一回万国博覧会では、ホテルが圧倒的に不足し

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