見出し画像

男性の育休に、会社の未来がかかっている

『妻に言えない夫の本音』(朝日新聞出版)を読み、改めて会社は男性の育休取得を推進しなければならないなと感じました。

前回、男性の育休取得を採用活動と絡めた記事を書きました。しかし、今回はESGやSDGsといった事業継続性の問題として捉えてみたいと思います。

男性の育休は、いまだ7%ほどしかありません。本書でも書かれている通り、「イクメン」という言葉が誕生して10年ほど経過していながら、です。しかし、男性の育休を推進しないと、会社――ひいては日本経済そのものが立ち行かないと考えています。

というのも、1990年までは人口ボーナスで経済成長していた一方、2000年代は人口オーナスに入って労働力が減少し、その穴埋めのように女性活躍が叫ばれているからです。

しかし、戦後の経済成長期に、サザエさん家庭、あるいはシンちゃん家庭のような専業主婦モデル(いわゆる「男性は仕事、女性は家庭」)のままで、女性の社会進出をしようとしていますが、これには無理があります。

これまでの家庭労働を女性に押し付けたまま、仕事の役割も押し付けるのは、どう考えても無理です。

男性の家庭進出は避けては通れない問題と言えるでしょう。その最たる問題が「男性の育休取得」です。

■男性の育休取得が進まない理由

男性の育休取得には3つの課題があります。

(1)家庭内での役割分担
(2)会社の風土・文化
(3)社会の「当たり前」

(1)について、ここでは触れません。(2)について重点的に話を進めたいと思います。

日本の育休制度は世界でも充実している一方、取得できない理由は「取得しづらい空気がある」からです。上司世代(50代・60代)が子育てに参加していない世代であったり、取得すると昇進や給与といった査定に響くのではないか、周囲に迷惑をかけるのではないかなど、空気の中身はさまざま。

ですが、空気に支配されていては、いつまで経っても男性の育休は推進されず、同時に女性の社会進出もままなりません。

(1)若い上司世代(30代・40代)が積極的に取得する
(2)会社が率先してロールモデルをつくる
(3)(中小企業の場合)社長の一声で動かす

上記のように、会社側が動かない限り、男性育休問題は変わりません。

特に問題なのは経営陣や50代60代の上司世代の意識です。自分たちができたから部下もできるだろうは暴論です。社会背景が異なっているのに、同じことをさせることに無理があります。

■企業の持続可能性の鍵を握る

また、会社の持続可能性(サステナビリティ)からも、男性の育休に真剣に取り組まない企業の未来はないと言えます。

例えば、昨年話題になったカネカの男性育休取得からの転勤辞令問題です。ニュースとして話題になっただけでなく、株価も大きく下がりました。また、新卒採用などにも大きな影響を与えています。

これが10年まであれば問題にはなったものの、ニュースに取り上げられておしまい、ではなかったでしょうか。株価まで反応した理由として、ESGやSDGsなど、社内のガバナンス・ジェンダー平等・公平性といったことが企業にも求められているからです。

会社は業績を上げていればいいわけではありません。社会的な役割にもフォーカスされる時代になっているのです。

つまり、男性の育休には少なくとも2つの課題解決に寄与できるのです。

(1)女性の社会進出
(2)企業の持続可能性

社員のためだけでなく、会社の未来のためにもなっている男性の育休を、どうして企業は推し進めないのでしょうか。

はっきり言えば、自分で自分の首を絞めているとしか言いようがありません。

よろしければ、サポートをしていただけると嬉しいです。サポートが今後の活動の励みになります。今後、求職者・人事担当などに有益な情報を提供していきたいと考えています。