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【脂質ラフト】細胞膜に浮かぶ”いかだ”

私たちの細胞には”いかだ”が浮かんでいるといわれたら信じられるでしょうか?
脂質二重膜について調べるまでは、私も到底信じられませんでした。

今回は、細胞膜に浮かぶ”いかだ”こと脂質ラフトについて紹介したいと思います。

脂質ラフトとは

その名の通り、脂質二重膜(細胞膜)に浮かぶいかだのような構造です。とはいえ、本物のいかだのように浮かんでいるわけではないようです。

以前、紹介したように細胞膜としての役割を果たす脂質二重膜は液晶相と呼ばれる状態では流動性のある物質です。

脂質膜に関してはこちら↓

その脂質膜に乗っている膜タンパク質などは比喩として脂質の海を浮かんでいると表現してもよさそうです。

脂質ラフトとは、脂質二重膜の一部が塊(ドメイン)となり、そのドメインが流動性のある脂質の海を浮かんでいるということです。そのため、いかだを構成しているのは脂質分子であるため、どちらかというといかだというよりは流氷といった方が近いのかもしれません。

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この脂質ラフトですがどうやって作られるのでしょうか?

例えば流動性を失ったゲル相や結晶相のように固くなるためには、温度が低ければ起こりえます。しかし、温度が下がれば脂質の海は瞬く間に凍ってしまうので、ゆらゆらと浮かぶいかだにはなりません。

これには脂質分子の相互作用が重要になるそうです。

秩序液体相(Lo)

脂質二重膜には流動性のある液晶相と波打つ構造であるリップル相、さらに流動性を失って塊となったゲル相と結晶相(および指組ゲル相)があると紹介しました。しかし、脂質分子は奥が深く、もっと多彩な構造を作ることができるようです。

脂質ラフトを形成している脂質二重膜は秩序液体相と呼ばれています。液体というのは秩序がないものをいうので、秩序のある液体というのは意味不明な表現ですが、科学ではこう呼ばれているようです。

この秩序液体相とはゲル相のように固くなっているわけではないものの互いに引き寄せあってある領域(ドメイン)を形成しているようです。

この秩序液体相はコレステロール分子が多い時に発現します。コレステロール分子は脂質分子の間に挟まって、脂質分子の動きを止めます。

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つまり、コレステロール分子が挟まった脂質分子は互いに1つのドメインを形成しそれが脂質の海をふらふらと漂っているということになるそうです。これが脂質ラフトです。

この脂質ラフトというのはときに膜タンパク質を選択的に引き寄せる効果もあるようです。膜タンパク質は細胞膜に様々な機能をもたらすため、医学や生物学的にも重要とされています。

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ここから先は面白そうなところですが、私自身の専門家から遠く離れてしまうので深入りするのはやめておきましょう。少なくとも、脂質ラフトと呼ばれるものは私たちの体の中でとても重要な働きをしているのは確からしいですね。


最後に

今回は細胞膜の漂う”いかだ”脂質ラフトについて紹介しました。私たちの身近にこんな面白いものがあると思うと驚いですね。

ちなみに、脂質ラフトに関しては今でも議論が行われているようです。そのため、今回紹介したものが科学的に正しいかは今後の展開を見守るしかありませんね。

ちょっと専門から離れたところなので、違っている点などがあれば教えていただけると幸いです。

図は以下のサイトから引用



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