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【ピープルウェア】チームを殺す7つの習慣

”チーム殺し”というと何とも恐ろしい言い回しですが、私たちの身の回りにはチームを殺すおぞましい習慣があります。

そんなものないよ!と思われる方が大半かとおもいますが、実際に見てみると多くの会社や組織に蔓延っている悪い習慣というものがあるんです。

ソフトウェア開発で有名なデマルコとリスターはこのチーム殺しを引き起こす習慣についてピープルウェアという本で述べています。

今回はそんなチームを殺す7つの習慣について見ていきたいと思います。

チーム殺しの7つの習慣

チームを殺す7つの秘訣として以下のキーワードが挙げられています。

  • 守りのマネジメント

  • 官僚主義

  • 作業場所の分散

  • 時間の分散

  • 製品の品質削減

  • はったりの納期

  • チーム解体の方針

今回はこの中でも私自身が体験したことのあるポイントについて述べていこうと思います。全部詳細に知りたいという方は是非書籍を読んでみてください。

官僚主義

頭を使わないペーパーワークを知的労働者にさせることは能力の浪費だと言っています。世の中には単純労働をしたい人と知的労働をしたい人がいるはずです。

どちらが良くてどちらが悪いという議論をするつもりはありませんが、どちらかというと知的労働をしたいというエンジニアに向けて書かれたこの本では、そんなエンジニアに単純作業をさせてはいけないといいます。

そんなことは言われなくてもわかっているよと思われそうですが、あなたの身の回りには単純労働はないと言えるでしょうか?おそらくほとんどの職場で単純労働が蔓延っているはずです。

それは昔ながらの慣習なのか、どうにもデジタル化が進まないからなのかわかりませんが、無駄な書類を量産し、無駄にハンコを押し続ける、そんな現場はいまだに多くあります。私の職場でもそんな頭を使わないペーパーワークはたくさんありますね。

そうはいっても仕方がないじゃないか、という意見も聞こえてきます。それは著者も認めていますが、やはりチーム形成には皆がそろった目標を信じることが必要です。いくら目標といってもペーパーワークを3割もしろと言うのは目標を信じようにも信じられないといっています。本当にその通りですよね。

作業場所の分散

こう見ると今のリモート時代にそぐわないじゃないかと思われるかもしれません。残念ながらこの本が書かれた当時リモートワークといった技術はありませんでした。

しかし、現在でもこの本質は変わらないと思います。社会的にコロナが明けたことにより、旧来の日系製造業ではリモートワークから出社に戻り、やっぱりオフラインが良いよねという空気が流れています。だから、オンラインは良くないといいたいわけではありません。

より戻しが起きているのは、リモートワークに慣れていない人達が無理やり順応しようとしたけれどうまくいかなかっただけとも言えます。たしかにオンライン業務に慣れていないチームからしたら、場所を共有しないで仕事をするのは難しいのかもしれません。ここでの問題はオンラインで仕事をする空気感を醸成できなかったからと考えられます。

実際に、出社に戻す企業は日系に限らず世界的にも起きている話ですが、今でもオンラインで仕事をしている人たちがそれなりにいる現実を考えると正しい環境が整えばできないことでもないと思います。

一方で、中途半端に作業場所が分散されるケースがあります。それがリモートワークをほぼ廃止し現場に来ることを是としているのに、仕事場が物理的に離れているケースです。

実際私自身そのような環境で多くの人と働いていますが、やはりプロジェクトの進むスピードが遅くなります。手軽にコミュニケーションをとれるのがオフラインの良いところのはずなのに、実際はそれができない。だからと言って、リモートワークにも慣れていないので、オンラインによるコミュニケーションも取りにくいというのが現実ですね。

時間の分散

これは簡単に言えばプロジェクトの分散です。1人の社員に1つの仕事を与えれば、その1つの仕事に取り組んでくれます。逆に1つの仕事にしかアサインされていない場合、その仕事のリードタイムではただ待ち続けるしかありません。それはもったいないということで、複数の仕事にアサインして、掛け持ちにさせるという手があります。

加えて1人が複数の仕事を知っていればある種のリスクヘッジにもなります。2つの仕事に2人の社員を当てれば、1人欠けても残った1人がフォローできます。そういった意味でもマネジャーは人材リソースを上手に配分する必要があります。

しかし、この状態が悪化すると逆効果になります。1人の社員に5つものプロジェクトを任せた場合、その人が1週間のうちに使える時間は1日(8時間)しかありません。プロジェクトは長引くほど余計なリスクを引き起こすため、なるべく短くコンパクトに終わらせたいものですが、時間の分散が極端になると、ただただ期間が間延びしてしまいます。

これではせっかくのリスクヘッジが台無しです。人材リスクを解消しようとして、別のリスクを引き起こしていることになりますからね。

最後に

今回はピープルウェアを読んで、チームを殺す7つの秘訣から実際に身に覚えのあることを書いてみました。ずっと昔から言われているのに、それに気づいているのかいないのか、全く是正されていない世の中というのは不思議なものです。

何事もバランスが必要なので、必ずしもピープルウェアの内容が正しいかはわかりませんが、多少は取り入れてみるのも改善につながるかもしれません。

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