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タンパク質がナノ材料を作る:新しいナノテクの世界

タンパク質(プロテイン)をいうと筋トレ好きな人が飲むあれですよね。

食に興味がある人はきっと皆さん知っていると思いますが、肉とか大豆がタンパク質を多く含みます。

そんなタンパク質が今ナノテクの世界でブームなんです!
今回はそんなタンパク質を使ったものづくりについて紹介したいと思います。


タンパク質でものづくり

もともとタンパク質は大昔からものづくりを行っています
なぜなら私たちの体もタンパク質の働きにより作り上げられているからです。

そしてタンパク質の分子はとても小さく目で見ることはできません。
そういう意味では、タンパク質は自然界に存在する天然のナノマシンです!

そんなタンパク質のメカニズムがわかるようになってきて、最近では工業・産業に応用しようという流れが来ています。

タンパク質の説明のわかりやすい動画



タンパク質でナノ粒子を作る

複雑な体を作ることができるタンパク質を使うといろんなことができます。
ここでは私の研究分野に少し近くて軽く説明できそうなところを紹介したと思います。

タンパク質の1つにフェリチンというものがあります。フェリチンは生体内でありふれたタンパク質のようです。

このフェリチンは殻状の形状をとり、鉄を吸収する特徴があります。

画像1

https://numon.pdbj.org/mom/35?lang=jaより引用

鉄を吸収するといっても、私たちが思っている鉄の塊を吸収するわけではありません。
私たちの体の中には、鉄がイオンとして水に溶けた状態で存在します。

フェリチンはこの水に溶けた鉄イオンを適度に吸収して、必要な時に放出する作用があるようです。

このフェリチンの特性を生かすと、この殻状のタンパク質の中に鉄を吸収し、その結果酸化鉄のナノ粒子を作ることができます。これをバイオミネラリゼーションと言ったりもします。

そんなことができて何がいいの?と思われるかもしれませんが、10nmも満たないようなナノ粒子を作るのは非常に骨が折れる作業です。

私も一度作ってみたことがありますが、サイズがバラバラになってしまい、いろんな大きさのナノ粒子ができてしまいます。

ここでフェリチンを使うと同じサイズのナノ粒子を量産することができます。一般的なフェリチンの殻の大きさ12nm、内部の空間は7nm程度と決まっています。その中でナノ粒子がつくられるとなると、少なくともサイズの上限が決まるわけです。

そういう点で、フェリチンはナノ粒子を作る上で今後も期待されるでしょう


最後に

まあ最近という風に書いていますが、タンパク質でのものづくりはかなり昔から研究されている分野になります。

とはいえ、いまだ人目に触れていないことを考えると一般利用は程遠いってことなんですよね

でも、そんな隠れた研究がいつか私たちの生活を一変することになるはずです。
そんな生き物や生体分子を使ったナノテクが普及することを願うばかりです。

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