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【1分で読めるミニ記事】物質とウイルスの間の存在:ウイロイドとは

私たちの身の回りに存在し、病気の原因になったりするウイルスや細菌はよく聞くと思います。一方で、みなさんはウイルスと細菌の違いをご存知でしょうか。

最新の研究における観点は厳密に定義されていると思いますが、ざっくりと知るのであれば、ウイルスは遺伝情報を持った物質(非生物)で、細菌は細胞を持った生物です。

ウイルスは生物と無生物の間の存在と言われたりもしますが、それ自身が生きているわけではなく、他の生物の細胞に侵入して初めて増殖します。そういった意味では無生物でしょう。

ウイルスの構造(内部のひものようなものが遺伝子情報)引用元

とはいえ、タンパク質の殻の中に遺伝子を持ったウイルスをただの物質というのは(感覚的に)少し違和感がありますよね。

そこで今回紹介するのはウイロイドです。ウイルスよりもさらに物質に近い存在として知られていますが、その知名度はとても低いでしょう。私もこの前知りました。

ということで、おそらくほとんどの人が聞いたことのないウイロイドについて紹介してみたいと思います。

ウイロイドとは

ウイロイドは一本鎖RNAのみで構成され、維管束を持つ植物に感染することができるようです。と言われてもいきなりなんのことやらとなりますよね。

通常、生物の体の設計図はDNAの中に含まれるA,T,C,Gの4種類の塩基を使ってコーディングされています。つまりDNAの観点から見ると、私たちの体の設計図は4文字の組み合わせからできているというわけです。

RNAは文字が少し異なりA,U,C,Gの4文字なんですが、簡単に言えばDNAの親戚ぐらいの位置づけです。

ウイルスやウイロイドはこのDNAとよく似た遺伝情報を持った物質というわけですね。

ウイルスは生物と少し似ていてタンパク質の殻でこのRNAを覆っています。
一方、ウイロイドはその中身のRNAだけであると言えます。

紐のようなRNAだけなので、もはや生物とは呼べず物質と呼ぶのが良さそうに感じますね。

この遺伝情報を持ったRNAのみの物質であるウイロイドは植物に感染することができます。これはまるでウイルスと同じような特徴ですよね。

いまなおウイロイドには不明な点が多くあります。現状、動物細胞からウイロイドは見つかっておらず、感染できるのは被子植物のみであると考えられています。しかし、本当に被子植物にしか感染できないのか、それとも見つかっていないだけで存在しているのかは今のところ不明のようです。


最後に

今回はウイロイドについて簡単に紹介してみました。世の中にはいろいろな物質が存在するという点でも驚きですが、ウイルス周辺の生物学というのは非常に興味深いですね。

現在、細菌の特性を使った生体模倣技術やDNAを使ったものづくりDNAナノテクノロジーと呼ばれるものが注目を浴びています。もしかすると、このウイロイドを利用したモノづくりなんかも実現するかもしれませんね。

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