粒子の大渋滞~砂時計と泡とガラスの共通点~
みなさんは砂時計の砂山をよく観察したことがあるでしょうか?
砂山の表面で、砂はサラサラと流れていきますが、山の中心部の砂は流れずに固まっています。
つまり、砂山の表面では砂は流動性をもっていますが、砂山の内部では塊として砂山の形を保っているわけです。
このような流動性のある粉や粒の現象にジャミングというものがあります。
このジャミングは様々な物理に関係する上、最近では柔らかいソフトロボットにも応用されています。今回はそんなジャミングについて紹介します。
ジャミングとは
砂や小麦粉のような粉体のみならず、目には見えない微粒子や原子は流れるときに渋滞を起こし、動かなくなります。これをジャミングといいます。
実はこのジャミングとは粉体と呼ばれる砂のような物質だけでなく、泡やガラスなどの現象の説明にも使われる非常に複雑な物理現象なのです。
この粒子の渋滞ジャミングとはいったいどうやって起こるのでしょうか?
簡単には、以下の3つが原因と知られています。
・粒子がぎゅうぎゅうに詰まっている(高密度)
・外から力がかからない(せん断応力がかからない)
・温度が低い(低温・高い引力)
※()の中が科学的な表現
上記の条件がいずれかクリアされると、粒子は渋滞を起こし塊になります。
実際のところ、ジャミングはとても複雑な現象なので最近でも新しい研究結果が出ているようです。
どんなことに役立つの?
身近にはあるけど、あんまり役に立つ印象のないジャミングですが、実は最先端のロボット研究に使われています。
ジャミングは粉の状態に応じて流れたり固まったりする現象です。
例えば袋に粉をパンパンに詰めるとジャミング(渋滞)が起こり硬くなりますが、そこに空気を入れて粒の渋滞を解消すると粉は動けるようになり柔らかくなります。
柔らかい・硬いを自由に制御できるようになることで、柔らかいロボットアームなんかに応用できます。
こんな風につかんだり
https://www.youtube.com/watch?v=bFW7VQpY-Ik
こんなロボットアームも
https://www.youtube.com/watch?v=0DNJwM8lyBo&feature=emb_logo
こちらのサイトで詳しく解説されています。
このような柔らかいロボットをソフトロボットといいますが、今後も応用研究が期待される分野です。おそらくジャミングの知名度ももう少し上がるのではないでしょうか
最後に
以前に紹介したコーヒーリング効果とか今回紹介したジャミングといった微粒子(コロイド)の現象は、私たちの身近にありながら、最先端の技術に使われているって面白いですよね。
私は研究でコロイド粒子を扱っているので、その中で、このジャミングという現象に遭遇しました。
結晶の研究をしていると不思議な感覚になるのですが、コロイド物理の中ではよく知られた面白い現象です。
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