【第7回コラーゲンの世界】身体づくりに欠かせないコラーゲンを吸収する方法
皮膚や骨など私たちの体のいたるところに存在し生きる上で欠かせないコラーゲンですが、どうやって体の中で作り出すのでしょうか。
これまで身近なコラーゲンや動物が作り出すコラーゲンについて紹介してきましたが、今回はコラーゲンの代謝について考えてみたいと思います。
コラーゲンはどこで生まれるのか?
まずコラーゲン分子の原料であるα鎖(ポリペプチド鎖)は細胞内のリボソームによって作られます。
細胞内では遺伝子を担っているDNAがmRNAに転写されます。それをリボソームが読み解き、原料であるアミノ酸をつなげてα鎖を作り出します。
要はリボソームというタンパク質がもともとDNAに刻まれていた情報を使ってコラーゲンのもとになるα鎖をつくりだすということですね。
生まれたα鎖は、いくつかの種類のアミノ酸がひとつなぎになったものですが、そこに含まれるプロリンやリシンが水酸化され、ヒドロキシリシンやヒドロキシプロリンになります。このときビタミンCが欠かせないため、ビタミンC不足はいろんな方面で重大な問題といえるわけです。
そして水酸基(-OH)がくっつくと、α鎖は互いに集まってくることができます。これが水素結合のおかげです。
こうして集まって互いに結合したα鎖は3重らせんを作ります。どうやらα鎖が3重らせんを作る工程は順々に起きているわけではなく、同時並行して起きているようです。
α鎖が3重らせんを組むと、α鎖の末端部分ではうまくらせんが組めません。このように末端以外がらせんを組んでいる状態なのでコラーゲン分子になる1歩手前の構造として、プロコラーゲンと呼ばれます。
このプロコラーゲンはなんらかの方法で細胞の外に出ます。ここで"なんらか"といっているのは、現在もまだわかっていないようなんです。プロコラーゲンは非常に巨大な分子なので、そのような分子がいかにして細胞の外に出るのかは仮説の段階を出ず、今も継続して研究されているそうです。
何はともあれ、細胞の外にでると、プロコラーゲンの末端が切断されて、そこで正式にコラーゲン分子となります。
コラーゲンはどのように分解されるのか
皮膚や骨、筋肉といった様々な部位に使われているコラーゲンですが、私たちの体は常に作っては壊してを繰り返し、成長(or 老化)していきます。
ということは、当然コラーゲンの分解も行われているわけです。ここでは、体を作るコラーゲンの分解について見ていきましょう。
皮膚の主成分であるI型コラーゲンの分解において、コラゲナーゼという酵素が重要な役割を果たします。
まず、コラゲナーゼは3重らせんの切断部位に結合します。そこで局所的にらせん構造を解きます。
らせんが解かれたα鎖ではアミノ酸がペプチド結合でつながっているわけですが、そこを加水分解することでコラーゲン自体を切断するということになります。
また、カテプシンという細胞内で働く酵素もあるようです。このカテプシンの働きは破骨細胞が関わる反応で骨粗鬆症とも関係するといわれています。
コラーゲンはどのように吸収されるのか
胃の中でコラーゲンは酸加水分解されます。これまでは膵液や小腸で分解されて、完全にバラバラのアミノ酸になってから体内に吸収されると考えられてきましたが、近年その定説が変わろうとしています。
というのも、最近の研究で私たちはコラーゲンを一部ペプチドの形のまま吸収していると思われるデータが採られています。当然、コラーゲンという巨大分子のまま吸収することはできませんが、ある程度分解してアミノ酸が複数つながったペプチドの形でならば吸収できるということです。
そのように聞くと、吸収されたペプチドが再びコラーゲンになるようにも思えますが、そうではありません。最初にも説明したようにα鎖を生み出すリボソームはあくまでアミノ酸をつなげてくれるだけです。そのためペプチドがそのままコラーゲンの原料になるわけではないんですね。
しかし、現在の研究では吸収されたペプチドは何かしらの生理活性を発現し、役に立っていると考えられています。
最後に
今回はコラーゲンの代謝について見てきました。生成、分解、吸収と私たちの体を作るうえでどれも重要な要素ですよね。
そして、まだまだ分かっていないことも多いというのは驚きでした。これからも研究が進んでいくと、コラーゲンの正しい採り方みたいな考えも変わってくるのかもしれませんね。
次回は少し様子変わって、太古の昔から人間がどのようにコラーゲンを利用してきたのかという点について見ていこうともいます。
参考文献
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