#6|思っているほど強くもないし、弱くもない
僕は極めてポジティブな人間である。
同時に、極めてネガティブな人間でもある。
調子の良い時は「世界よ、俺を見ろ!」と心の中で叫び散らかし、それが身体にまで溢れ出し、手足が勝手に動き出してしまう。
一方で調子の悪い時は「誰も僕に構わないでくれ」と心の中で呟き、六畳一間に縮こまり、全くといっていいほど身動きが取れなくなる。
この1週間ネガティブに犯され、SNSすらろくに開けなかった。
が、引きこもり生活と"Ethan Grusuka"のEPのおかげで、スーパーへ買い物に行けるくらいには回復した。
ようやくポジティブへと移り変わる兆しが見えてきたので、コレを書き始めたわけだ。
思うように動かない身体、「このままでは駄目だ」と募る焦り、分かってはいても動かない身体、そしてまた怠惰な自分を責め立てる。堂々巡りだった。
これが、年に数回起きてしまうのである。
季節の変わり目のせいか、知らない土地へ移住し取り巻く環境がガラリと変わったせいか、兎にも角にもネガティブになる原因と対処法を考えなければ、この先大変だだろう、ということで過去を振り返ってみた。
高校生になった僕は好きな子に釣られてバスケ部に入部した。周りの子達は皆んな中学からの経験者ばかりで、普通に練習していたのでは一向に追いつける気がしなかった。
それでも、好きな子にカッコ良いとこを見せたい!という少年ならではの熱い想いと、中々にバスケが面白くなってきたということもあり、誰よりも早く朝練を始め、誰よりも遅くまで居残り練習をする日々を送るようになった。
ある日、いつものように居残り練習をしていると、ふくらはぎに異様な違和感を覚えた。柔らかい石が詰まっているような感覚。しかし、こんなことで根を上げていては皆んなに追いつけない、と焦っていた僕は、自分を戒めるかのように構わず練習を続けた。
そして、ジャンプする時にだけ感じられた違和感は、次第に激痛へと変わり、遂には走れなくなってしまった。
それからというもの、楽しそうに試合をするチームメイトを前に、僕はひとりコートの外側に座りボールと戯れるだけのポンコツになってしまったのである。
最短ルートを全速力で駆け抜けようとして、崖から落っこちてしまったような気分であった。
程なくして、僕はバスケ部を退部した。
今なら分かる。
頑張りすぎだった。
あの頃の自分に一言かけるとしたら「たまには休め」だ。
夢中になり過ぎて身体を壊してしまった、という話を例にあげたが、きっとそれは心にも言えることだろう。
身体も心も、自分が思っているほど強くはない。
だから、たまに「休め」って言ってあげないと、「休め」って声に耳を傾けてあげないと、いつか壊れてしまう。
そう考えてみると、ネガティブになる時期というのは、壊れかけた心からの警告なのかもしれない。
この世には、常に全速力で走り続けることができる超人や、バランス良く休みながら走り続けられる人もいるだろう。
そんな人たちが羨ましい。
しかし、自分は、全速力で突っ走って、疲れ切って、全力で休むのが性らしい。
休んでいる時、つまりネガティブ中は本当に生きている心地がしないし、絶望的なのだが、幾度とない経験の中で、静かな時間と優しい音楽があれば再び歩けるようになることを知った。
どうやら、自分は自分が思っているほど弱くもないらしい。
皆んな、死なない程度に頑張ろうな。
P.S.
"Wet" の曲にも救われた。ありがとう。
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