見出し画像

無駄な努力をするな

若いうちはその結果がわからないので無駄な努力をしがちです。若い人の参考になればと、今まで生きてきてこれは無駄だったなと思うことを列挙してみます。

1. 受験勉強
私が通っていた地方の県立高校は、東大に進学するのは毎年数人、私の卒業した年は私だけ、と言うくらいのレベルの学校です。今は知りません。東大だけが大学ではないし、学力の物差しにはならないし、難関大学卒が人の価値を決めるわけではないことを十分承知の上で、私がどんな環境にいたかを想像してもらうためにあえて書いてます。

今にして無謀だったなと思うのは、教えを請うている教師にちょっと変わった東大卒が、数学教師でしたが、一人しかいなかったこと。東大出て地方の高校の数学教師をしているくらいですからその人から東大に行くとはどう言う意味があってどんな努力をすべきなのか等々の教えを請うて意味あるかは定かではないですが。

ともかく東大を目指す、卒業することの意義とか入試の心得とか勉強のコツや心構えとかを聞く人がいない。そこで参考書を書いまくり、毎日寝る時間を惜しんで勉強勉強するわけです。短期記憶を長期記憶に定着させるには十分寝ないといけないことを知ったのは40代過ぎてからです。そんなことはさておき。

なんとか奮闘努力が実って入学するわけですが、そこで悟りましたね。ほとんど何の努力もしてない(ように見える)同級生が毎年3000人も入学してくる大学なんですよ。高校時代にヒーヒー言ってカツカツレベルで入れるような人間が行くべきではないって。大学のリソースを使い倒して、しっかり勉強して成果を上げて、大学生活を意味あるものにしたいなら、入試なんかスイスイ通れるような人じゃないとダメなんですよ。

これは私に限った話かもしれないですが、コンピュータやりたくて大学に進んだのに関連の授業があんまりないんですよ。そう言う学科に進めばいいんでしょうけどそこに入るにも進振りって言って成績がいいもの順に希望が通る制度なもので。やりたくもない学科を勉強しないとやりたい勉強ができないのって変じゃないです?

その後大学院に進んだり、そのあと研究生活に入ったり、などとても想像がつかない。とんでもなく頭のいい連中とやり合える気がしない。とにかく早く卒業したくてたまりませんでした。なんとか4年で卒業できたのは奇跡的です。

会社に入っても誇れる専門がないし、唯一言えるのは「東大工学部卒」だけ。本当のこと言って全然誇らしくないですよ。他の大学で専門を磨いてきた同僚に比べて専門性が低くて情けないだけ。

と言うわけでこの項の結論は

「必死にならないと入れない大学に入ると一生劣等感に苛まれる」。

でした。

2. 異動を期待しながら働いてはいけない
プロフィールに書いてますが、私はマイクロプロセッサが好きで、早くからそれに取り組んでいたNECに憧れ入社しました。今にして思えば最初からマイクロプロセッサの部署に配属希望すればいいものを、当時会社としては主流と言われた大型計算機の部隊に入ってしまったんですね。計算機メーカからしたらマイコンなんておもちゃ同然の扱いですから。

専門がなくて希望をはっきり言わない(わからないから言えない)新卒は、今まさに利益を上げている部署に配属されます。そりゃそうですよ。これからどうなるか誰もわからない、赤字を垂れ流しているような部門に、しかもどこの馬の骨、なんて人間を放り込む訳が無い。世間知らずというのは恐ろしいですね。

コンピュータやってればそのうちやりたいことがはっきりしてくるし、もともとやりたかったマイクロプロセッサもビジネスになって希望も通るだろう、そうでなくてもその部署で偉くなればいいんだし。なんてしょうもない期待は10年しないうちに崩れます。大型計算機の将来がいよいよ危うくなりその部署自体の存続も危ぶまれるのはペーペーでもわかりますから。

部署が沈む前に逃げ出すのもどうかと逡巡しましたが、部署を変わるのも転職するのもそうは変わらない、と意を決して地方の会社に転職します。

この項の結論は

「会社組織とは、会社も自分も今まさにこの瞬間を最大限に利用するところ。将来いいことがあるかもなどと期待して頑張り過ぎないこと」

3. 二兎を追う者は一兎をも得ず
せっかく転職するのなら、とあれこれ薔薇色の未来を想像しました。

やりたい仕事ができる←自分を納得させるため
一軒家を建てる←家族を説得するための大義名分
2つ目は実現しました。だから二兎を追ったけどなんとか一兎は捕まえられた。

しかし1つ目は妥協に妥協を重ねました。プロフィールに書きましたが、コンピュータ本体をやっていた人間が周辺機器をやる、と言うのは相当な勇気がいるものです。情報処理の主流から外れると言うことですから。

私の場合は1つ手に入ったんだから良しとするべきでしょう。

でもまだもう少し時間がある。本来やりたかった仕事、を絞り込んで集中したいと考えています。

4. 会社はやりたいことをする場所ではない
会社と言うものには存在意義、将来の方向性、と言うものがあります。それを決めるのは従業員ではありません。株主です。社長含む経営幹部も株主に仕えていることには変わりなく、ただ日々の事業オペレーションをまかされているので入ってくる情報が豊富だと言うだけです。株主総会で事業報告をし方向性の承認をもらいます。

若いと言うか世間知らずは怖いですね。従業員の分際で会社を変えられると本気で思ってたんだから。株主総会で話し合われ決まったことは従業員には覆すことはできません。従業員とは将棋の駒です。

「どうしても来てくれ」と言う人事の言葉を信じたのがバカでした。入社してみると人事、面接してくれた人、配属された部署の上司とその上司、みんな考えていることが違うことに気づくのは数年後でした。

会社と言うのはやりたいことをやれる場所ではありません。入社して欲しいなら会社は「やりたいことを思い切りやってくれ」と言うでしょう。無理やり押しかける際には「なんでもやります」と言うでしょう。それじゃダメなんですよ。

会社で仕事のやり方を覚えたら、留まって駒として過ごすのか、やりたいことができなくなって飛び出すか、選択する時期がきます。

もう一度書きます。「会社はやりたいことをする場所ではない」

ここまで

サポートを頂けると望外の喜び。コンテンツ制作の励みになります。よろしくお願いします。