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世界でもっとも難しい〈強さ〉を手に入れる。―近藤康太郎『百冊で耕す』

私はなぜ本を読み続けているのか。

活字を追いかけるのが楽しいから。
物語に揺さぶられる感覚が快いから。
知識や視点が増えるのが面白いから。

考えるたび、こんな風に言葉にしてみます。

もちろん、これらだって正解の一端ではあります。でも、逆に言えば、これらはあくまでも「一端」でしかなくて。核心を突くものではない。「なんでそんなにいつも読んでるの?」そう訊かれて、明快な笑顔で答えられる回答を私は未だに手にしていないのです。

そのことが、どうしてもさみしくて。読書家のみなさんが、「こういう理由で、私は読んでいるんです!」とはっきり口にされるのがうらやましくて。

もちろん、そんな答えなどなくとも、本は読めますし、読書時間を有意義なものにすることはできます。むしろ、その答えのあることが自分の思考を縛り付けることになり、世界が狭くなってしまう可能性だってあるわけです。

でも。それでも。私は、今の自分の核心にあるものを力づくで掴んで、引っ張り出し、白日の下に晒したい。そこをスタートラインとしたい。

そんなことを願って、いつもあれこれと言葉を、思考をこねくり回しては、何とか答えを捻り出そうとするのですが、相変わらず隔靴掻痒な言葉が吐き出されるばかりで。そんな自分に落胆しては、思考を閉じるのが常なのです。

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