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■大河ドラマ『光る君へ』第10話を深掘りしたい人のための参考本

えりたです。
先週の大河ドラマ『光る君へ』第10話では、とうとう花山天皇がご退位になってしまいました…「引きおろし奉る」事変…なかなかにパワーワードです。

花山天皇……正確には、花山法皇ですね……のうるわしいご出家姿と、道兼どんの超ドヤぁな笑み。存外、記憶に残る絵面でございました。

さて、そんな第10話の感想はこちらです。

相変わらず、大きく物語の動いた主人公をほったらかして、中関白家に萌え散らかしております(/ω\)イヤン

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のちに「中関白家」と呼ばれる流れの祖である、藤原道隆さまは今回神器を運ぶ役目をお果たしになりました。感想では、なぜ神器を移動させる必要があったのかについて言及しましたが、そのとき参考にした本がこちらです。

■『天皇の歴史3 天皇と摂政・関白』
■佐々木恵介著
■講談社学術文庫
■2018年2月
■1180円+tax

講談社学術文庫から出ている「天皇の歴史」シリーズの3巻目です。「天皇と歴史」シリーズは「『天皇』と日本史を問い直す」内容で全10巻刊行されています。

「学術文庫」というと、とても敷居の高いイメージがあります。が、読んでみるととても面白いですし、やはり学ぶところが多いです。

九世紀後半、幼帝清和の外祖父・藤原良房から、摂関政治は始まった。菅原道真の怨霊問題、醍醐・村上天皇の「延喜・天暦の治」、そして道長の栄華。王権をめぐる姻戚関係を藤原氏が支配するなかで、天皇のみがなしえたこととは何か。「摂関による政治の私物化」という見方を超えて、天皇が「生身の権力者」から「制度」へと変貌していく二百年を描く。

私たちは日本史の授業で「摂関政治」を習います。が、その内容はどうしても藤原道長のやり方を規準とした見方に偏ってしまいがちです。

でも、「歴史」というのは「点」ではなく「線」、もっと言えば「面」・「立体」・「四次元」で見るべきものです。本書は私たちが持つ「摂関政治」という「点」のイメージを、「線」にして詳しく描き、あの頃の歴史をより具体的に想像させてくれます。

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第10話では、溢れる恋心を和歌にして贈った道長が、返事として、志を説く漢詩をもらい困惑する場面がありました。そうして、道長はF4の末っ子である行成に相談します。

このとき、行成が道長に説いた和歌の本質は『古今和歌集』序に書かれた内容でした。

■『100分de名著 古今和歌集』について
■渡部泰明 著
■NHK出版
■2023年11月発行
■600円(tax in)

「和歌」というと、どうしても国語のテストで技法を答えさせられた(だから苦手)、背景の説明なしに口語訳しただけではわかりにくい(だから苦手)、みたいな感想を持ちがちです。

ですから、直接『古今和歌集』を読もうとはなかなか思えません。ですが、こちらの100分で名著シリーズのテキストでは、『古今集』の面白さや奥深さを的確に教えてくれます。

『古今和歌集』の扉を開くにはちょうどよい本です。しかも、それが1000円以内で手に入るお手ごろさ! 本屋さんのNHKテキストコーナーで見てみてくださいね。

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また、第10話で忘れちゃいけないのがこちら。

■角川ソフィア文庫
■ビギナーズ・クラシックス日本の古典シリーズ
■武田友宏編
■800円+tax

ワタクシ大好き『大鏡』です。第10話の大河紀行でも取り上げられていました。

今回の花山天皇の出家のお話は、『大鏡』の逸話をベースに描かれていました。そのお話は、この角川ソフィア文庫にも収録されていますし、多くの方が高校の授業で習っていると思います。

そんな懐かしさも踏まえて、改めて読んでみるととても楽しい時間になるのではないでしょうか。


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第11話もご一緒に楽しめたらうれしいです。んじゃ、また。


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