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【読書note/人文】『親切人間論』

今日ご紹介するのは、水野しず著『親切人間論』(講談社刊)です。

本書は、水野しずさんのnote「水野しずのおしゃべりダイダロス」(2019年11月~2021年12月)の一部を再構成し、新たな書きおろしを加えたものです。

こちらは、
・有料noteが動かなくて途方に暮れている人
・「紙の本」という物体が大好きな人
・ダイエットやかたづけなどで迷子になってる人
 におすすめです。

もちろん、人によって刺さるところはかなり異なると思いますが、私にとってはこれらの考えごとにズームイン、みたいな本でした。

■抉るし、刺すし、グーパンするし

この本、特に初めの方の文章が、容赦なく抉ってくるし、突き刺してきます。それがまた、グーパンを零射程で加速して遠慮なくぶちこんでくる勢いで、なかなかに痛いところを、絶妙に痛く感じる強さで超的確に攻めてきます。

でも、その刺された箇所に在るのは。
たとえば、ダイエットとか。
たとえば、かたづけとか。

そういった、そこにある原理や原因を顧みることを一切せず、「そういう風潮だから」「そうしないと後ろ指差されそうな気がするから」という理由だけで流されていることがほとんどで。

ほんとは自分だって、それにどこかで苦しさを感じているのに、その苦しさは見ないフリして、ひたすら「はみ出さない」ために続けていただけのモノゴトたちで。

筆者である水野しずさんは、そこをスルドクきびしく掘り散らかして、容赦なく言語化して、土台から作り直して。読んでる側の認識を根底から崩しにかかるんです。

それはもういっそ清々しいほどの破壊と創造で。おかげで、この本を読んでるとものっそいスピードで思考が走り始めてました。

なかでも、いちばん抉ってきたのはコチラでした。

端的に言えば

「それをやっている本人の中に、動機がある」

状態を「実力」としている。したがって、世間一般的に需要があるかどうかではなく自分の内心に物事を行なったり金銭を支払ったりする動機を見出せる人物のことを私は「実力者」と呼んでいる。

〈実力〉=「自分のせい」でやる力/52頁

需要があるとか、ないとか、そんなことはどうでもよくて。己のなかに、その動機があるかどうか。その動機を行動原理にして動いてるかどうか。

もうね、刺さりまくりました。痛すぎて涙出るかと思いました。

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