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おまじない小学生。【ユーモアエッセイ📖ショート】

 小学校高学年のころ、おまじないがマイブームの時代があった。

 私は、デパートの本屋で、前々から目につけていた本がいくつかあった。占い本コーナーに並ぶ幼顔の『おまじない本』だ。

 ある日、やっと決心がつき、お小遣いを握りしめ、書店に足を運んではおまじないの本を片っ端から探索していった。

 速読術師のようにサラサラと雰囲気だけを目で追い、直感的に買った本は、
「絶対叶う!簡単おまじない100選」みたいな、子供しかワクワクしないような安っぽい謳い文句の、コミック装丁の本だった。


 幼心は無邪気。

 だが私は、黒魔女のような優越感にも溺れていた。


これで恋とか勉強とか人気者になれるんだから、人生勝ったもの同然じゃないか!
皆んなには内緒にしなきゃな!ヘッヘッヘ。



 私は1から順を追ってやってやろうと、揚々と意気込んでいた。

 しかし、堂々と『簡単』と書いているわりに、ちょっとした小道具が必要なおまじないが多く、それらはすっ飛ばした。

 最低限、紙とペンのみでできるような楽な方法を漁った。

 すると、100あるおまじないは、たったの10くらいしか残らなかった。


「詐欺本じゃないか」チッ。と、文句をたれた私は、「本当に叶うのかねぇ、こんなんで」と、続いて邪気だらけとなった言葉をボソボソと噛んだのだった。

「1000円を返して欲しいものだ」
 本当は980円だった。20円は過大広告による罰則金。安いものだ。


 勝手すぎる文句たれお子様となった私は、それでも本を、小脇に挟み、家の中で持ち歩き、おまじないに必要な小道具はないかと親や妹のパーソナルエリアを侵蝕したりした。

「無いな…」


 結局、100あるおまじないを、3個ほどやって飽きた。

 現金なもので、簡単にできないことにヤル気が失せてしまったのだ。


 そして、『このおまじないは毎日行いましょう』とか『毎朝やると効果大』とかのアドバイスがご丁寧に小さく書いてあり、『簡単』をへらへらと素通りしてくれた気分になった。さらに慰謝料を請求したいと思った。



 大枚をはたいて買ったおまじない本は、のちにどこかに消えた。


 大人になった今、おまじないは信じている。
 子供騙しのようなおまじないは信じていないが、私は、何度か叶ったことがある。

 しかしおまじないというのは、人に言ってしまったら、その効果が無くなるものだと思う。
 自分だけのおまじないを持っておくと良いのかもしれない。


最後までお読みいただきありがとうございます💖またきてね💖


✨おまけ✨
私はこれでイヤな職場を辞めれました、おまじない
仕事辞めらたので(会社都合)伝授します。
とても簡単です。
どんな物でも良いので職場にカレンダーを持っていき、仕事のスケジュールを書き込まないこと。それを毎日眺めるだけ。
スケジュール帳でも良いです。
注意①:現実のスケジュールは忘れないように別に書くこと!
注意②:どのような形で退職に至るのかは責任負えません。そして、叶わないかもしれません。


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