山口絵理子 Eriko Yamaguchi

株式会社マザーハウスCEO兼デザイナー / ERIKO YAMAGUCHIデザイナー …

山口絵理子 Eriko Yamaguchi

株式会社マザーハウスCEO兼デザイナー / ERIKO YAMAGUCHIデザイナー / insta: erikoyamaguchi_official

マガジン

  • 米国挑戦日記

    山口絵理子の米国を舞台とする新たな挑戦を綴ったストーリー。 日本から世界へと一歩を踏み出して体験したリアルをお伝えします。

  • My Little Essay

    ファッションやデザインについて、山口絵理子が日々想うことを綴るショートエッセイ。 ファッションアイテムを通じて年齢・性別・国籍などの差異を越えた世界観を表現する「ERIKO YAMAGUCHI」(2022年9月リリース)にまつわるストーリーもお届けします。

最近の記事

意外な気付きと、世界は繋がっている?

「NORDSTROMの後は、Bergdorf Goodmanに行きましょう。」 最高ランクの百貨店だ。 ウィンドウも素晴らしかった。 世界観へのお金の掛け方が違うなと思ったし、とても独創的で遊び心がある。 一階に入ると、まずジュエリーがあった。 しかも日本のように1cmくらいのジュエリーではなく、大体30カラット以上で、大きさは5cmくらいはあるんじゃないかと思えるものばかり。 プライスの表示はない。 「美術館みたいだな」と思ったがこれは売り場だ。 奥に進むと、バッ

    • 久しぶりの米国出張で食らったパンチ

      どうなるかわからないけど、こんなnoteコラムをスタートした。 なぜなら「なんだか人生で貴重な経験を今している!」と感じていて、単純にそれを自分だけじゃなく、スタッフや、大好きなお客さんたちとも共有したいからです。 さて、5ヶ月前、私は10年ぶりくらいにアメリカに行った。 ニューヨークとロサンゼルスだ。 ロサンゼルスは初めてになる。 「途上国から世界に通用する」という言葉をこの17年間で何万回発したかわからない。 「世界に」という意味を私は「東京・ニューヨーク・パリ」

      • 「Inspired by MONET」色彩の重なりをレザーへ。

        「山口さん、モネ好きだよね?」 副社長の山崎からそう聞かれたのは1年くらい前。 「え?睡蓮の。大好きだよ。パリでも何回も見てたよ。」 「コラボの話があるんだけど。」 「え?なに?モネと?」 「モネが上野の美術館にくるらしくて、主催者がマザーハウスにグッズを一緒に作ってもらえないかって依頼が来たんだ。」 「えええ!!!!Inspired by MONET?!!! 絶対やりたい!!」 後からB-Bを担当するスタッフに聞いたのは、私たちがずっと販売してきたグラデーション

        • スリランカで新しい挑戦がはじまりました。

          スリランカでの活動が始まったのは2016年。お客さんの一人が 「スリランカってすっごく綺麗な石が採れるんですよ」 って教えてもらったんです。   それを聞いて私はすぐに「へえ、行ってみたいなあ」と思い、実行!   コロンボで一週間くらい手仕事の産業を見て周りましたが、やっぱり採掘場から採れるカラフルな石と、それを加工する技術を持った職人さんたちの可能性に最も惹かれ、今では工房を持ちながら職人さんとブライダルリングをはじめ、たくさんのファッションジュエリーを生産しています。

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        • My Little Essay
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        記事

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          「ファッションショー」を終えて。

          倒れるように寝て、朝娘の声で目覚めた時、なんだか全部が夢だったんじゃないかって思った。 昨日は自分のブランドの秋冬のファッションショーをした。 東京国際フォーラムで、朝から夕方まで合計260名のお客様が来てくださり、ショーを楽しんでくれ、実際にお洋服もたくさん予約を頂けた、夢のような一日だった。 「デザイナーです」と自己紹介をするのだが、私は今でも、その言葉にフィット感がない。それはショーに出てくるお洋服たちに使われている「糸」から、最後のお洋服が作られるまでを、全て「

          「ファッションショー」を終えて。

          ソーシャルアクション!子どもたちとSOZOWする。

          昨日、小・中学生が全国から参加できるオンライン授業「SOZOW FES」に参加しました。このイベントにマザーハウスとして協賛して、企画から授業まで「SOZOW」の素敵なスタッフのみなさんと準備してきました。 「せっかくだから、バングラデシュと中継したいね」 「モノづくりのおもしろさが少しでも伝わるようにパターン(型紙)を準備しよう」 などなど、アイディアはたくさん。 いざ本番の昨日。司会のリッキーさん(赤いTシャツの方)がマザーハウスの商品と出会って、カッコよく変身すると

          ソーシャルアクション!子どもたちとSOZOWする。

          17周年。

          今日3月9日は、マザーハウスを創業した日だ。 17周年を迎えられた。 全てのマザーハウスユーザーのみなさんと、これまで多くの学びを与えてくれたみなさんに感謝しています。 一昨日、「セブンルール」というテレビに出させて頂いたのでその反響が嬉しくもとてもあり、少し慌ただしくしているんだけれど、それでも毎年のように、創業記念日は個人的に朝、第一号店をひっそり訪れる。 台東区入谷。 現在私たちの倉庫になっている8坪の小さな空間の前に、1時間ほど立っていた。 現在45店舗、

          お尻の痛いインド列車旅。

          私は今コルカタにいる。 この国の手仕事、手織りの布(カディ)、ガンジーさんが作った「Freedom of fabric」自由を纏う布、というスローガンに心から共感して、2018年に飛び込んでいった。 まだまだこの国をわかっていないなあと思いながら、ちょこちょこ出張をしては、新しい気づきをくれる国だ。 コルカタは「ウェストベンガル」に入るが、南インド、北インド、州によって言語も肌の色も文化も根付く手仕事も違うから、おばあちゃんになる前に色々な探検ができればなあ、くらいに構

          お尻の痛いインド列車旅。

          2022-2023

          今年は挑戦できたこともあったけれど、その裏でやり抜けなかったこともあったなあ。 挑戦という意味では銀座に自分の名前のお店を出したこと。 「1年契約」でオープンできた銀座東急プラザ入ってすぐの場所。 この前「契約延長をしたい」って言ってくださり、本気で嬉しかった。 あまりにも夢中で服作りをしている裏で、それは達成感も充実感もあったんだけれど、経営者としてはできなかったことも多い。 少しずつ何かが変わっていっているのを見抜けなかった。 それでもなんとか利益が出たのはス

          縄文からのインスピレーション

          新しいバッグを私のファッションライン<ERIKO YAMAGUCHI>のために作りました。名前は「JOMON cross bag」です。   ユニークな名前の由来は縄文時代です。 「紐から、立体へ。」    縄文時代はさまざまな素材と、それを生かそうとする人の知恵が多く生まれ、開花した時代です。まだ「ろくろ」を知らなかった人たちは、土器を粘土の「紐」や「帯」を利用して作っていました。紐を巻き上げる方法で、最初に底を作り、紐を積み上げていき、段差を滑らかに指で平らにしたり、そ

          縄文からのインスピレーション

          出会いと別れと、前進 from コルカタ

          今回、インドはコロナが明けて初めて来ることができた。 コルカタ(カルカッタという人も多い)という東インドの街に、私たちのお洋服を作っている工房がある。 「この地で工房を作る」そう決めたのは2018年の自分自身だった。 ガンジーがこの国を建国した時代から、世界でコットンと言えばインドだ。 そして大量生産のコットン生地が出回る中で、カタンカタンと綿花から糸に、糸から布にしている人たちを見たときに、「これは未来に残すべき」そう思った。 インドでも手織り人口は激減、コロナ禍

          出会いと別れと、前進 from コルカタ

          山本さんと安藤さん。

          今日、小田急百貨店にあるマザーハウスの店舗に立っていた。 理由は、2008年から続けてきたこのお店が小田急百貨店の閉店により幕を閉じ、10月にできる小田急ハルクと京王百貨店の2店舗にバトンを継ぐことになっているから、思い出の場所で最後の接客をしたかったからだ。 (写真はマザーハウス小田急新宿店) (写真は最新のマザーハウス京王百貨店。ハルクはメンズ館となり10月にオープン予定。) 2008年私たちは入谷と戸越銀座というニッチすぎる場所にしかお店がなかった。(*現在両店

          山本さんと安藤さん。

          “伝統工芸”って。

          京都には店舗があり、たびたび、地場の職人さんを紹介して頂いたり、私自身もいつか住んでみたいなあと思う街でもあり、休暇を過ごすことも多い。 京都には47の(指定されている)伝統工芸があり、そのほとんどが“絶滅危惧種”だといわれている。後継者が不在、需要が激減、現代に合わずに衰退の一途であることも聞いていた。 そんな京都で、先日伝統工芸に従事される方々とお話しをする機会があり衝撃を受けた事実があった。 初めて知ったのだが、京都市が定義する「伝統工芸」とは「100年間変わらない技

          “伝統工芸”って。

          41歳。

          今日41歳になった。 なかなかこんな年齢になると、こんな風に数字を出す女性はいないのかしら?笑。そろそろやめた方がいいのかな。わからん笑。 まあ、でも、毎年なんらかの自分への記録をnoteに書いていてその習慣は好きなんで今年も。 駆け抜けた40歳という1年間。 旦那に「40歳の目標って私、何て言っていたかな?」って昨夜聞いたら 「“自分の世界観を確立したいな”って言っていたよ」とすぐに教えてくれた。 「その目標なら、まじ100点だな、私」って言った。 40歳の誕生

          モノトーンの世界。

          「ミニマリズム」という言葉について、省くとか削ぎ落とすという意味だと認識されているけれど、厳密に「シンプル」とどう違うのかは、割と曖昧に捉えられている。数年前、ミラノの展示会に出かけた際に、工業製品のデザイナーを志すイタリア人とその話題になった。 私は彼とともにたどり着いた結論にすごくしっくりきている。 「ミニマリズムってさ、意志なんだよね。シンプルって雰囲気。」 厳密な差を明文化している訳じゃないんだけど、この感覚が作り手としてフィットするし、多分、買う人にとってもな

          モノトーンの世界。

          服の変わり目。

          E.(イードット)のお洋服を愛してくれているみなさこんにちは。 初めて聞く名前だなあとお感じの方もいらっしゃるかと思いますが、マザーハウスのアパレルブランドE.(イードット)というブランドが誕生してもう早4年が経とうとしています。 インドのカディという天然素材に魅了されて、コルカタに自社工場をつくったのが2018年。38人のテイラーのみんなが自国の素材と自分たちの技術を使って、服をつくってくれています。それらを届けるお店も徐々に増えていきました。 本当にお洋服って鞄と違