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フィンランドで見た"平等"

フィンランド人にとっての"Equality = 平等"

家族から、「人間は平等であるべき」と教えられながら育つフィンランド人。教育も平等に受けることができ、男女平等の意識を持って育ちます。滞在中、「平等であるフィンランド」「平等に重きをおいていること」に対して、フィンランド人としてのプライドを持っている印象を受けました。というのも、会話の節々に”We are equal” “We live in an equal world”という言葉が出てくるのです。”平等”という価値観が染み付いている国民性をフィンランド人は持っています。

では、どのような面で"平等"を感じたか、ご紹介しますね。

男女平等

まず、驚くのが女性の議員の割合。なんと、46%が女性なんです!スウェーデンに続き、北欧2位。(200人中92人が女性、2019年4月の選挙結果)世界ランキングでも10位以内に入っています。


女性のCEOや管理職も多いとのこと。(インタビュー談)。実際に大学では管理職が女性なのは決して珍しいことではありませんでした。


男子校、女子校も以前は存在していたそうなんです。現在は全て共学になっているとのこと。これも、日本のように学生集めが理由ではなく、男女平等の教育を行うため、というのが理由なんです。(インタビュー談)


様々な面で男女同等の扱いという印象を受けましたが、一部、男女間における違いで私が発見したことは、男性は泣いてはいけない、と言われて育つこと。そして、徴兵制度は今も男性のみが義務となっています。


出会ったフィンランド人の女性に男女平等だと感じるか?と質問したところ、皆、「Yes」「It’s not 100 % equal, but I think yes」というような前向きな回答でした。労働環境も同じ、同じ評価を受ける、優秀な人が昇進する。家事、子育ても分担制。女性は今の環境にとても満足しているようでした。


そんなフィンランドでああっても、年収や管理職の割合など、男性の方が高くまだ男女平等でない点ももちろんあります。でも、ここで皆さんに伝えたいのはフィンランドは「男女平等を率先して意識しながら進めている国」ということ。フィンランドも決して昔から男女平等だった国ではありません。ただ、ここ100年の間に男女ともに国民がしっかり男女平等のために意識的に行動を起こしてきた国だと思うんです。「今のままではいけない」と多くの人が思っていても、変化を起こすことができなければ何も変わりません。今回の滞在でフィンランド人が国レベル、個人レベル、両方で変化を起こしてきたと感じ、とても感動しました。

人種差別のない国(?)

あくまでも私が出会ったフィンランド人に聞いた回答になりますが、フィンランドに人種差別はあると思う?と聞いたところ、皆、「No」との回答でした。ロシア、スウェーデンに隣り合わせで、多くの国の人が行き来する国なのに!なかなか「No」と言える国って少ないのではないでしょうか?

そもそも、ヘルシンキ以外はほとんど有色人種がいないため、国籍を判断することができない・・・というのは一つ、人種差別が起きにくい理由かもしれません。大学スタッフのような教養のある人は地球市民としての意識も強く、地球問題や社会問題にも強く関心を占めていて、オープンな考え方を持っていました。また、学生にもそのような人間になってほしいと考えているのが強く伝わってきました。
ヘルシンキ中心部では、貧しい人を見かけました。道端に座って、花を売っている人など。。その人たちは、有色人種で移民のようでした。
滞在した地方都市では、アジア人も珍しいのか、差別ではないけれど、目線を感じることは多々。小さい子は特に興味があるようでした(笑)。

上司と部下の対等な関係

大学とのミーティングに上司と部下が出席するケースが多かったですが、非常に対等な関係にあることが感じられました。非常にフランクな関係
。上司は部下にhappyでいてほしい、といつも考えているそうです。それこそが生産性を上げると信じているから。だから、休暇を取るように率先して促すし、無理して仕事しないように伝える。非常にサポーティブな上司を持っているという声が多かったです。また大学スタッフの間ではコーヒーブレイクは大切な時間。上司部下の関係を超えて、チームとしての信頼関係を築き、コミュニケーションを円滑にするための時間となっています。(大学スタッフへのインタビュー)

教育・医療を平等に受ける権利

全ての人が平等に権利を持つ、という理念が浸透しているのがフィンランド。「教育、医療などを平等に受けることができ、一定の水準の生活をすることができるべき」という考え方です。日本では、なかなかこの感覚はないですよね。中学校までは義務教育なので公立の学校に通えば教育費は無料ですが、それでも給食費や教材費は支払います。(フィンランドではこれらも無料なので安心して通うことができます。)また、日本には"私立"の学校があるため、経済状況等によって"公立"と"私立"の学校を選ぶため、あまり教育に対して"平等"という意識を持っていないように思えます。また、フィンランドは大学まで教育費が無料ですので、平等に高等教育を受けられます。医療費も同じですね。無償化が進んでいるとはいえ、まだまだ日本では医療はお金がかかるものです。人間が生きるために不可欠な教育や医療を平等に受けることができる権利がフィンランドにはあります。

"平等な権利"から得られる心の"余裕"

フィンランドを魅力的な国にしている理由として"平等"をあげ、私が感じた"平等"の例をいくつかあげさせてもらいました。

"平等"って良い響きだけど、結局"平等"だと何が良いんだろう??って考えました。私の結論は"平等"を得ることで生まれる"心の余裕"です。男女平等、人種差別がなく、みんなと対等の関係を築けるので、見下されていると感じ、心が卑屈になることがないし、逆に誰かを見下したり、差別するという感覚がありません。羨ましがることもあまりないのでは?と思います。これはあくまでも私の憶測ですが、男の子に生まれたかったな、とか、上司の方が良いな、とか、、、そういう気持ちにならないのかも。"自分らしく"いられる気がします。

また、教育・医療などという生活の最低限の部分が保証されているため、そのためにお金を稼がなければならないという過剰な責任感や教育や医療を受けられないかもしれないという不安もありません。

これって、すごいことだと思うんですよね。なかなかこんな風に生きることができる国ってないと思うんです。先進国はたくさんあるけれど、多くの民主主義国では、世の中は"平等"な社会として出来上がっていません。"平等"な先進国としての地位を確立したフィンランドから、日本人は学ぶことが多くあると思います。

明日からスウェーデン。フィンランドの紹介はまだまだ続きますが、北欧の国を比べられるのが楽しみです。


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