「教職員のメンタルヘルス」講座を担当しています。
初任者研修から中堅教諭の研修、もしくはそれ以上の経験のある先生対象の研修まで、多くの研修でメンタルヘルスの講座があり、それを担当しています。講座の流れのままに内容をご紹介します。
メンタルヘルスの実情
Pointとしてお伝えしていること
職場が変わった時はメンタルヘルス崩しやすいので要注意
精神疾患で休職している割合は30代・40代が多い
一旦精神疾患で休職すると長引く&復職できているのはわずか4割
この辺りをデータとともにお伝えして、いかに未然防止が大切かを一緒に確認します。
ストレスへの気づき
「出来事→ストレス反応→メンタルヘルスの不調」という流れなので、やはりストレス反応にどれだけ早く気づくかが鍵です。
ここで、ストレスチェックテストを行なってもらっています。
4つ以内なら安心ですが、4つ以上は要注意、11個以上が不良状態、16個以上だと危険水域です。
援助希求力
援助希求力とは、「助けて」と言える力のこと。
皆さんは、職場でどれだけ「助けて」とか「手伝って」と言えていますか?そう言える相手(援助資源)は身近にいますか?援助希求力が高い人=自己管理能力の高い人、だそうです。
ここでも援助希求力チェックを行なってもらっています。
援助希求が苦手な人は、真面目すぎたり責任感が強すぎたりして、例えば仕事でミスをしても「自分一人でなんとかしなければ」という思い込んでしまいがちです。
そこには「仕事は一人で完璧にできてこそ一人前!」というような「認知の歪み」があります。
「認知の歪み」への気づき
講座では以下6種類の認知の歪みを紹介しています。
・思い込み・決めつけ
=根拠が不十分なのに、自分の考えを疑わず、相手の意見を聞かなくなってしまうような思考
・白黒思考
=限られた情報からでは判断できないような出来事に対しても曖昧な状態に耐えられずに、AかBかはっきりさせようとしてしまう思考
・べき思考
=「常に整理整頓しておくべき」などと、ルールを強く意識したり、「こうすべきだった」などと、過去について考えたりする思考
・自己批判
=あらゆる出来事に対して、自分に責任があると考えてしまう思考
・深読み
=根拠もないのに、相手の気持ちを一方的に決めつけてしまうような思考
・先読み
=将来に悲観的になり、勝手に自分の行動や考えに制限してしまう思考
これまでの自分を振り返って、当てはまるな〜とか近いな〜というものはありましたか?もしかしたら複数当てはまった方もいるかも知れません。
でも皆さん、安心してください!(はいてますよ、ではなく😄)認知の歪みは変換することができるんです!そこで次に、その変換の練習に必要なABC理論を紹介しています。
ABC理論
これは認知行動療法における、論理療法というものです。
同じ出来事でも受け取り方によってその後が変わるという考え方です。よくある、コップに半分水が入っているのを「半分しかない」と受け取るか「まだ半分もある」と受け取るか、というものです。
ここではBを変換する演習を行います。
こんな事例です。
皆さんならどんなふうにBを変換し、どんなCになると考えますか?
これをグループで共有してもらうと、いろんなBがあることを知れて、とっても心が楽になります。いろんなBがある中で「あ、そうだな」と納得できるものを取り入れましょう。そのためにも普段から周囲とコミュニケーションをとることが大切ですね。
ちなみに、上の演習で、私は「完璧な授業なんてないさ」→「だからいつも通り自分なりの授業をしよう」というメンバーの意見を聞いて心が軽くなりました。
ストレスコーピングと呼吸法・動作法
講座の終わりに、ストレス解消・コントロール法を10個ぐらい出してシェアしてもらったり(ストレスコーピングについてちょっと触れます)、スキマ時間に簡単にリフレッシュ&リラックスできる呼吸法や動作法を体験してもらったりしています。
ストレス解消法、10個ぐらいすぐに思いつきそうですが、意外に10個書けない人も多いので、そういう他愛のない話をシェアできるいい時間でもあります。自分以外の人のストレス解消法を聞くのもけっこう面白いです。
思いと講座デザイン
以前、私自身も論理療法で救われた経験があります。「べき思考」が強いと言われ、それ以来、ちょっと苦しくなってきたな〜と思った時は一旦立ち止まって「あ、今また”べき思考”出てるな」と気づけて修正できるようになりました。そんな経験もあり、特に中堅以上の先生方にはこの論理療法をお伝えしています。
そして講座のデザインとしては、なるべく多く演習やシェアリングを入れてデザインするようにしています。何よりも、同じ研修を受けている仲間とのネットワーク作りが大切だなぁと思っているからです。
また、私が説明するよりもずっと素敵な気づきを研修者の先生方は語ってくださいます。そういった研修者の言葉で講座を作っていけるよう、もっともっとスキルアップしたいと思います。