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ビジネスマンがハーバードケネディスクールで学ぶワケ

安全保障、気候変動対策、官民連携などを学際的(複合的)に学び、自身の今後の糧とすることを求めて、ケネディスクールの門を叩きましたが、主な狙いは以下の通りです。


狙い① ビジネスに必要なインテリジェンス


ビジネスパーソンが市場経済の中でビジネスだけを考えていれば良い時代は過ぎ去り、異なる価値観が共存する世界の中で安全保障を含めた複合的な視点を持つ必要性が過去に無いほど高まっている。これが今ケネディスクールに行くことを決めた最大の理由です。

総合商社はかねてより日本と世界を繋ぐビジネスをしており、戦前には外務省のインテリジェンス機能の一部も担っていましたが、1990年代以降、冷戦終結に伴いグローバリズムが進展し、市場経済を前提としたゲームの中でビジネスの世界においては地政学リスクにあまり重きが置かれない状況にありました。

しかし、近年では米中対立の激化、ロシアによるウクライナ侵攻、イスラエル・パレスチナ問題、気候変動、グローバルサウスの影響力の高まりなど、米国を中心とするグローバライゼーションが終焉を迎え、多極化が進展し、中国やロシアでは安全保障が経済よりも優先され、市場経済を中心に回る世界観からの脱却が求められています。自分が専門とするエネルギー分野では、ウクライナ侵攻後のロシアによるサハリンプロジェクトの接収や再生可能エネルギーバリューチェーンにおける資器材の中国依存など、地政学リスクの顕在化は挙げればキリが無いほどです。

そのような外部環境の変化を受けて、今後は再びインテリジェンス機能を高め、地政学や各国の政策動向を見極めながら、自社の資源(ヒト・モノ・カネ)を戦略的に世界に張っていく必要性が非常に高まっているとの危機感から、それを可能にする足腰を鍛え、ネットワークを築きたいと考えました。

加えて、ビジネスは自社の利益を追求するものなのでどうしても近視眼的になりますが、そもそも如何なる社会的便益の為に政治や政策があり、どのように世界のゲームのルールが作られるのかということに昔から興味があり、より広く深い視座を持ちたいとずっと考えていました。実際に、自分が直近取り組んでいた米国の電力ビジネスにおいても、IRA(Inflation Reduction Act)により大きくドライブがかかっていることや、自由化された電力市場は石油ガスと異なり極めて人工的な市場で、規制当局の作る市場のルールが大きな影響を及ぼすこと等、政策がビジネスに与える影響は極めて大きいと感じてきましたし、日本の成長戦略により直接的な貢献をするにも、政策に関し集中的に学びたいと思っていました。

狙い② リーダーシップ教育

ゲームのルールは世界のリーダーが形作るものですが、世界最高峰の教育機関であるハーバードケネディスクールが謳うリーダーシップ教育を体感したいとも考えていました。筆者はニューヨーク大学でMBAを取得しており、ニューヨーク大学は素晴らしい教育機関であることは間違いないものの、どちらかというとビジネス実務者のスキルアップという側面が強かったように思います。世界のリーダー達を多く輩出するハーバードのリーダー養成とは何かに非常に興味がありました。

結び

今回の留学は短期的なキャリアアップを目的とした投資ではなく、長期目線での自己投資なので、いつ投資効果が現れるかはわかりませんが(笑)、ハーバードは上記の興味関心を満たしてくれる刺激的な場です。具体的な学びや経験については今後アップしていく記事にて書いていきたいと思いますので、お付き合いいただければ嬉しいです!

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