詩「画面」
人並みの正義感を持つ私は
時より、平和を願う当時の元日本兵のインタビューの動画を観る
風呂に入り、THE TIMERSの曲を聴き
野球速報を見て、明日のバイトに億劫になりながら
また動画を開く
午前中にも観たはずの画面にはまだ微かに温もりがあった
わずかだけど、確かに受け取れる温度で
悲惨な事だとは知っていた
だがそれは、対岸の火事という意識の中で生きている感情であろう
私はその画面がその瞬間だけ、オールを漕いでくれていたこと
顔も知らない私たちの平和を願っていたことを胸に留め
いつもより2秒早く布団の中にくるまり
いつもより5秒遅く寝る
やはり億劫なバイトに行く最中
腰が曲がっていたあなた、歯のないあなたが
「戦争反対」と駅前で今日も元気に声を出している
この人たちは、戦禍を生き抜いたことがない人なのかもしれない
「私と同じだね」と言いたくなったから
少しだけ考える
少しだけ正義感が強くなった私は
ながらスマホを決め込み、無言で通り過ぎた