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「DXを推進する組織は、なくなったほうがいい」 本部長 髙相知郎さんの真意は?

こちらは、社内報アワード2023 [Web/アプリ社内報部門 企画単体]でグランプリを受賞した社内報記事の転載です。
※記載内容は2022年7月公開時点のものです


2021年4月より、DX推進本部をけん引する立場となった髙相知郎さん。着任以降、組織や職位によって “バラバラ” なとらえられ方をしていた「DX」が指し示す言葉の意味の定義や、それらを基にしたエプソンの「DXマップ」の策定にも着手。試行錯誤を繰り返し、交通整備を行い、具体的な課題も見えてきたように思えますが、本インタビューではこんな言葉も飛び出しました。

DXを推進する組織は、なくなったほうがいい

その真意はどこにあるのでしょうか。DX推進本部長 髙相さんからのメッセージをお伝えしたいと思います。



そもそも「DX」ってなんだ?

まず私の中の大前提として「DX教育」や「DXリテラシー向上」のように、一方向でDXとはなんぞや?の座学のようにDXを浸透させていきたいという考えはありません。私自身もともと半導体事業を担当していて、DX推進本部に着任した当初は「DXってなんだ?」ということを学び直すところからスタートしました。

DXに関して社内に目を向けたとき、業務のデジタル化のことを指す人もいれば、サブスクリプションサービスやEC(ネットショッピングのような電子商取引)を指す人、はたまたデータビジネスのことを指す人など、事業の役割や規模、個人のキャリアや世代などによって、あまりにも多くの認識があることに気づかされました。

国内外さまざまな企業のDX事例なども参考にしたのですが、私たちエプソンには80年という歴史と優れたハードウェアがある。だからこそそのまま転用するのではなく、私たちなりのDXをとらえていく必要があると考えました。

その「DX」視点は、
顧客か 、社員か

では「私たちなりのDX」とはどんなものなのか。私自身、当初はDXをお客様とのビジネス視点でのみとらえていました。しかしそれを実現するためには “私たち自身”、つまり日々の業務の仕方や考え方、ひいては組織風土までも変えていく必要があるだろうと考えるようになりました。

会社の歴史が長いからこそ、これまでの成功体験に固執してしまったり、必要だと分かっていてもなかなか業務プロセスが変革できなかったり、過去のしがらみにとらわれていたり——これらをDXの観点からしっかり見極める必要があるはずです。

以下の図が、顧客視点と社員視点でそれぞれ整理した「DXマップ」です。
それぞれをDXレベル0〜2の3つでとらえ「エプソンの取り組み」と「目指す姿」で、具体的にイメージできるようにしました。


なかには「レベル0のデジタル化なんて当然だろう」という方もいるかもしれませんが、冒頭で話した「DXの認識をバラバラにしない」ために作成しています。

既に出来ていることであればそのまま継続していきたいと思いますし「今進めているプロジェクトはレベル2のところだよね」や「いったんレベル0から整理しようか」など、事業や役割が異なる社員であっても認識できる共通言語にすることを目指しています。最近は様々な場面でレベルに言及頂けることも増え、うれしく思っています(笑)。

DX推進本部が、実現したいこと

上記のようにDXに対する認識や言語を揃えた上で、これまで取り組んできたこと、今後どうしていきたいのかもお話させてください。それは、大きく3つです。

① 事業におけるDX活動の「見える化」
② 全社視点で「DX基盤」を整備
③ 社員みなさんに「DX」に興味を持ってもらう

まず① 事業におけるDX活動の「見える化」。についてですが、現在は事業部ごと、それぞれでDXの活動を進めています。しかし、どの事業部でどのような活動をしているのか?が見えるようになっておらず、DX推進本部がどのような連携をしていく必要があるのか?も見えていませんでした。そこで、まず各事業部のDXの活動をDXマップに則って整理し、見える化を進めました。この活動を通じ、各事業との連携で何が必要か?を明確にし、当本部の活動に落とし込みました。

② 全社視点で「DX基盤」を整備。については、前述の ① を通じて当本部の活動を定義、全社視点でデジタルプラットフォーム(デジタルデータをやり取りする場)を整備して、顧客接点や機体管理、データ活用の整備をさらに進めていくことです。ここでは、お客様へお届けする提供価値だけでなく、社員視点での活用も含め、一貫して活用できる環境を作っていきます。

そして③ 社員みなさんに「DX」に興味を持ってもらう。は、言葉通り、社員のみなさんにぜひDXに興味を持ってもらい、自分たちの働き方をデザインして、幸福に働けるような道を一緒に模索していけたらと思っています。わたしたちエプソンが壮大な実験をすることで、他社にも情報提供していけるような仕組みを作っていけたら良いと考えています。

DXを推進する組織は、
なくなったほうがいい

ここまで読んでいただけた方であれば、すでにお気づきかもしれませんが、「DX」はあくまでも手段であり目的ではありません。

自分たちの変革を恐れず、デジタルを活用しながら内外に新たな提供価値を生み出し、皆が幸福に働いていけること。

そう考えると、そういった組織風土や意識が根付けば、わざわざ「DX推進本部」が推進せずとも、DXは自然に進んでいくと思うんです。

私自身もまだまだ勉強中です。もしかしたら今日ご説明した資料だって、必要があればスピーディにアップデートしていくかもしれません。従来の日本企業が苦手としてきた「変化を前向きにとらえ、やってみるマインド」を持つこと、それがDXの本質なのではないでしょうか。


執行役員/DX推進本部長  髙相知郎(たかそう ともお)さん
入社後、半導体事業に配属。以来、半導体プロセス、デバイスの開発や、シリコンファンドリ(受託製造)ビジネスに従事してきました。子供のころから釣りが趣味でしたが、ここ数年はゴルフを楽しんでいます。ただ、なかなか上手くなりません。アウトドア全般も好きですが、最近はキャンプ等に行けないので、密かに「ヒロシのぼっちキャンプ」を観て癒やされています。。


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