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エクソシスト信じる者(2023) ポリコレ以前の問題です。

 中学生くらいだったかな。初めてエクソシストを観た時の衝撃たるや…文字通り開いた口が塞がらなかった。私はホラー映画デビューでいきなり最高傑作を鑑賞してしまうという、幸せか不幸せかよく分からない女である。いわば初体験の相手がオールマイベストで、その後誰に抱かれても満たされないみたいな生き方をしている。

 だから本作の公開を知ったときはめちゃくちゃテンション上がった。「またあの快感を味わえるんだわ」ってね。でも蓋を開けばゴールデンラズベリー賞ノミネートとか聞こえてくるではないか。すっかり冷めた私は今日まで鑑賞するのを躊躇していた。でも観たの。観たのよ…。結局自分から抱かれにいったの。女って本当にバカね。

〈あらすじ〉

ビクターは12年前に妻を亡くし、娘のアンジェラを1人で育てている。ある日、アンジェラが親友キャサリンと一緒に森へ出かけたまま行方不明になってしまう。3日後、2人は無事に保護されるがその様子はどこかおかしく、突然暴れたり叫んだりと常軌を逸した行動を繰り返す。ビクターは50年前に同じような経験から愛娘を守り抜いた過去を持つクリス・マクニールに助けを求め、悪魔祓いの儀式を始めるが……。

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〈感想〉

※以下ネタバレあります※

 まず本作のハードルは尋常じゃないくらい上がっていたことに触れておきたい。世界中の期待を背負ってでも引き受けたい人がいるんだと感心するくらいだ。個人的にはJAWSやエクソシストやオーメンを「超えよう」と思った時点ですでに負けていると思っている。

 悪魔憑きの映画の場合、完全に人格が崩壊する前の「潜伏期」みたいな時期がある。少し言動がおかしくなったり怯えている様子だったり、周囲が異変に気づき始めるころだ。私は割とその辺が好きなので、森から帰った後のアンジェラ&キャサリンの奇行シーンは怖くて良かったと思う。でもそこが本作の山場と言えるだろう。

 せっかく二人同時に取り憑かれているのに(厳密にはそれぞれ違う悪魔でないと成立しないのだが)、その設定を生かしきれていないのが残念でならない。どちらかを選べというのは悪魔の罠で、まんまと我が子を選んだ父親の過ちによってキャサリンは地獄へ引きずり込まれてしまう。あまりに救いのない展開だし、そのためだけに二人にしたの?と思ってしまう。黒人と白人の少女であることから「ポリコレエクソシスト」なんてレビューも見かけたが、そんなのは微々たる問題。それ以前のプロットに大いに問題がある。

 そもそも素人集団でも悪魔祓いができるという流れが、この伝統ある儀式を舐めているし、それこそ一作目のカラス神父の尊い犠牲を侮辱しているようにさえ感じる。同じく素人が見よう見まねで悪魔祓いをする映画なら、こっちの方が断然面白かった。


 アンジェラの父親であるビクターがあまり熱心に儀式に参加していないところや、話題作りのために出演したとしか考えられないクリス&リーガン親子etc。ツッコミ始めたらキリがない。とにかく人間臭い深みが足りないのだ。12年前ビクターが助けて欲しいと言ったのはお腹の子アンジェラではなく妻だったという美味しすぎるエピソードがあるのだから、例えばそのことを悪魔から聞かされたアンジェラが心を閉ざしてしまうとか、ビクターは妻にしか愛情がなく実は仕方なくアンジェラを育ててきたとか。もっとうわーっとなる捻りが欲しかった。

 看護師役の女優さん、鑑賞中ずーっと既視感があったのだが、調べたらヘレディタリーのスピおばさんだった笑。そうだそうだ。あーすっきり。

 ホラー映画、特に悪魔系映画を見慣れていない方は普通に楽しめるエンターテインメント作品ではないかなと思う。「悪魔に憑かれているキャサリンが教会に入れるのはおかしいだろ!!」と声高に叫んでしまう、私のような方には肩透かしな作品と思われる。

 低評価レビューをするのは好きではないのだが、堪えきれなかったので吐き出してしまった。以上アラサー女のワンナイトラブのお話でした。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 


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