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2023年4月の記事一覧

摂州合邦辻

摂州合邦辻

大阪生まれの私にとっての俊徳丸伝説はずっと引っかかっている話だ。
たぶん、大阪は聖徳太子が創建した四天王寺を中心にした寄る辺なき人々の作った町だからなんだと思う。だから、わざわざ上演されるのを知り、文楽の摂州合邦の辻を見に行った。

俊徳丸は説経節という鎌倉時代からの語り物だ。四天王寺の功徳を歌ったもので、色々な亜流がある。室町にまとめられたものでは、富豪の息子で美貌でうたわれた俊徳丸が継母が跡取

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大塚ひかりを読む

大塚ひかりを読む

なんかSNSで大塚ひかりという人が罵倒されているようだ。
平安時代を描いた「あさはかな夢みし」を描いた瀧波ユカリさんが擁護していたので読んでみた。
私はちょっとした源氏オタクなのでこの漫画を楽しく読んだんだけど、彼女が参考にしたのならと興味が出た。

読んでみるとですよね。私が歴史でうっすらそうなんだろうな思っていることをしっかりと文章にしている。

元々源氏物語の研究から入った方らしく、源氏が当

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吾妻鏡と多様性

吾妻鏡と多様性

鎌倉殿の13人の影響で吾妻鏡を読みすすめている。
全16巻、御成敗式目の成立の前で挫折しそうである。

なぜなら、面白くない。和田合戦と承久の乱で御家人たちが族滅され、とっぴな出来事が起こらなくなるからである。
過剰な期待があったためだろう。北条泰時の息子たちと娘の早死が淡々と記述されていて陰々滅々な気分になる。
あ、なるほど、殺しすぎた反省から御成敗式目ができたんだって思った。
その理念が実行さ

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沖縄文化論 アートがゆさぶるもの

沖縄文化論 アートがゆさぶるもの

今、松岡茉優主演のwowwowのドラマであるフェンスに夢中になっていて。
それで本屋さんで見つけた岡本太郎の沖縄文化論を読みました。

この本は知っていたけど、ちょっと警戒してたのですね。沖縄のエキゾチズムを煽る元になってる気がして。

立ち読みしてみると、冒頭に柳田国男の飢餓に陥った父と兄弟たちの話がありました。同じことを感じていたのか。
これって、山田太一の文章のアンソロジーである、生きる悲し

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恋愛と反社会「たそがれたかこ」

恋愛と反社会「たそがれたかこ」

最終巻を読まなかった入江喜和のマンガたそがれたかこを読んでいる。
この漫画は離婚した主人公のたかこが中年期の自分に悩みながら、離婚した夫が引き取った娘の不登校に悩みながら生きていく話だ。

ネタバレになるが、彼女は同じアパートに住む少年が同じラジオを聞いていて、同じバンドに引かれていると知る。
そのうち、その14歳の少年に恋愛感情を持っていく。
ここで大抵の人は抵抗感を持つ。

しかし、最終巻を読

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