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2023年3月の記事一覧

夜店の思い出

夜店の思い出

大阪に住んでた子供のころ、月になんどかある夜店の日の夕方に自転車をひきずった男が現れた。
彼は「夜店でっせ。いきまひょか~」と町内を歌うように移動していった。

遠くからしか見たことがない。
どんな人か怖いように思うけれど、ワクワクした。
障害のある人なんだって言う誰かの報告もあったように思う。
夜店好きで誰かに頼まれていたんだとも聞く

それからしばらくして夜が深まると商店街の出口付近の通りに夜

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父とゴッドファーザー

父とゴッドファーザー

父は麻雀仲間からゴッドファーザーの評判を聞いて、私と弟を映画館に誘ってくれた。父は、何回か、ひとりで友人とゴッドファーザーを見に行ったらしい。
その友人の誘い言葉がずっと心に残っている。
ゴッドファーザーは光と影の映画だ。影に色んな色がついていて美しい。
なんと素敵な案内だったんだろう。麻雀仲間は次々と映画館にいざなわれたらしい。

父は、当時、梅田にあった大きく豪華な映画館OS 劇場のレイトショ

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父を描く「フェイブルマンズ」

父を描く「フェイブルマンズ」

そうか、私のごひいきのデビット・リンチが大監督ジョン・フォード役で出るかというので、スピルバーグの自伝的な映画フェイブルマンズを見に行った。
実は私はスピルバーグはインディ・ジョーンズ以降見ていない。子育てやらで映画どころでなかったからかな。最近はちょくちょく見る。
前作である「ウエスト・サイド・ストーリー」も見た。うん、悪くはなかったかな。歌は良かったです。
だから、迷ったのだけど、リンチが出る

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生き汚くても生きる 遠藤周作「沈黙」

生き汚くても生きる 遠藤周作「沈黙」

狐狸庵先生、遠藤周作というとコーヒーのネスカフェのCMだった。
実際、狐狸庵先生シリーズは人気で宝塚ごっこをしたりするおじさんというイメージだった。
関西出身の作家たちはみんな仲良く、多分、同人誌的なのりがあったのだろう、田辺聖子と司馬遼太郎と藤本義一と言ったジャンルが違う人たちの交流を楽しませていただいたりした。
しかし、田辺聖子が亡くなったとき芥川賞前後の小説を読んで唖然とした。
こんなにも暗

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