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父を描く「フェイブルマンズ」

そうか、私のごひいきのデビット・リンチが大監督ジョン・フォード役で出るかというので、スピルバーグの自伝的な映画フェイブルマンズを見に行った。
実は私はスピルバーグはインディ・ジョーンズ以降見ていない。子育てやらで映画どころでなかったからかな。最近はちょくちょく見る。
前作である「ウエスト・サイド・ストーリー」も見た。うん、悪くはなかったかな。歌は良かったです。
だから、迷ったのだけど、リンチが出るのなら。これがずっと泣いてしまった。映画では、ここんとこ泣けなかったのに。
ああ、そうか、だから未だにETが見れんかったのか。
映画館で見るというのは、自分の苦手を否応無しに見れるってことなんかなと思う。

「フェイブルマンズ」はそういうスピルバーグの母子ものの集大成だと思う
彼のユニークで魅力的な母はミッシェル・ウィリアムズが演じている。
スピルバーグが最初に見た大人の映画は史上最大のショーだった。
この映画は大好きなグレイテスト・ショーマンの主催者だった、バーナムとそのサーカスを描いたものだ。バーナムの妻役がウィリアムズだった。

ユダヤ系のエンジニアで後にコンピューターのIBMの重役に上りつめた父とピアニスト志望の母の間にスピルバーグは生まれた。しかし、父の愛は芸術家肌で奔放で不安定な母には届かなかった。四人の子供を持ち、二十年近い歳月を持ってしても二人は離婚にいたるのである。
その中でスピルバーグは映画を志す。

父親役はポール・ボノが演じている。この人は子役あがりで童顔で父というイメージじゃなかった。たぶん、ウィリアムズより年下だろうし。
感じとしては寅さんで有名な吉岡秀隆に似てる。

それが、それゆえに、だんだんと可愛そうになってくる。
父は純粋にロマンチックに妻を愛してたのですね。
映画は趣味だと言ったり、エンジニアを押し付けたり、ワーカホリックで、アリゾナのユダヤ系がいない地域に家族を住まわせたり、息子とギクシャクする。妻を追い詰める。

親友の男性と一緒に家族にキャンプに行った際、ウクライナ系のユダヤ人である彼らは懐かしいカリンカのうたを歌う。真面目に歌っている彼をからかって、爆発した妻は男とふざけだす。それを涙目で怒れない彼の哀れさよ。不器用で幼稚な男なんである。しかし、愛すべき男なんである。

昨今のウクライナの情勢も感じ泣いてしまったよ。
お父さんは辛いな、お母さんは辛いな。子供は辛いな。生きるのって大変だそんなことを感じて映画を見終わったのだった。

ハッピエンドだと思う。立派に大人に子供はなった。
デビット・リンチ演じるジョン・フォードは彼が映画の国に来たことを祝福する。


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