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人間の体にはさほど個性はないから、他の人にできることは当然、自分にもできると思っていい~初レッスンの思い出~打楽器Wさん~

打楽器のWさんから、学生時代にプロの奏者からレッスンを受けた際の思い出について教えて頂きました。

当時の青年Wさんと、プロの先生の素敵なお話です。ぜひ、ご一読ください。



初めてプロの先生にレッスンを受けたときに言われた、印象に残っている言葉があります。

「人間の体にはさほど個性はないから、他の人にできることは当然、自分にもできると思っていい」

その日はレッスンの開始早々、先生がスネアドラムで短いソロの曲を見せてくれました。
もちろんそれは信じられないほど素晴らしい演奏で、自分の担当楽器はこんなにすごいことができるのか!と目を開かせてくれるものでした。
と同時に、目の前で見ていても何をどうやってるのか全く分からない、これは人間業ではない、という強烈な印象も受けました。

完全に圧倒されている私の顔を見て、先生は次のことを話してくれました。


・楽器から音が出るのは魔法じゃなく物理なんだから、スティックが打面に当たる角度とスピードを同じにできれば、誰がやったって同じ音が出る

・人間の体は関節が付いている箇所しか動かすことはできない。体にある関節の数と位置、可動方向は誰しも同じなんだから、誰だって同じ動きができる

そして先生は突如、まるで阿波踊りを途中で止めたような不思議なポーズをとり始めました。

左右の腕は高く上げられ、それぞれの肘や手首があらぬ方向に不自然に曲げられています。
両足はねじりを加えながら前後に開かれ、静止しているのが苦しそうな体勢です。

「ほら、真似して!」


中年男性(先生)と男子大学生(私)が向かい合って謎なポーズをとっている様子はとても人に見せられたものではなかったと思いますが、完璧にポーズを一致させようと思うと、一つ一つの関節がどの方向にどれだけ曲がっているか、意外にじっくり観察する必要があるということはよく分かりました。

「プロの演奏を見るとき、漫然と全体を見て、すごいなぁ!なんて思っていたらダメだ。自分でマネするために、楽器と体の位置関係や、体の関節のどこがどの順番に動いているかを細かく分析しなさい」

・・・こんな感じで始まった初レッスンでしたが、この日の一番大きな収穫は、いつかきっと自分にもできる、という気持ちを持てたことだったと思います。
その頃の私は合奏では毎回周囲に大迷惑をかけていたので、長く続けられる自信はありませんでした。
自分は打楽器に向いているのか、という漠然とした不安を話すと、先生はこんなことを言いました。

「スターウォーズに出てくるような、頭から目玉が飛び出していたり、ヘンな触手しかないような生き物に訊かれたら、ちょっとキミには向いてないかもね!って言うかもしれないけど。人間の体を持つ君が、俺と同じことができるようになるのに疑いの余地はないと思う」

そうして言われたのが冒頭の言葉でした。

先生は当時、関西のプロオケでティンパニ首席をされていた第一線の方でしたが、プロとアマチュアに本質的な差はない、と普段から仰っていました。

自分にできることは他の人もできるようになるし、他の人がやっていることは自分もできるようになる、という信念が、自分に対する自信と、アマチュアを含めた全ての演奏者へのリスペクトに繋がっているような方でした。

その分、要求レベルもアマチュアだからという容赦は全くなかったですが、厳しさとともに自信もつけてもらえたことにとても感謝しています。

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アンサンブルSAKURA第39回定期演奏会
日時:2023/3/19(日)昼公演
会場:浅草公会堂
指揮:高石治
曲目:
ビゼー/カルメン組曲
久石譲/オーケストラストーリーズ組曲「となりのトトロ」ほか

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