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ダブルケアからトリプルもある今の時代に人のつながりやネットワークの大切さ

こんなに急に老いるとは思わなかった。
高齢の母から歩けないと電話があった日のこと、普段から動くのが嫌いな人なので、またかという気持ちが正直あった。いよいよ我が家でも介護や実家じまいが始まりそうだ。


実家に久しぶりに電話をかけてみたのに、何度かけても応答がなく行ってみたほうが良いのではと思っていたら、やっと電話口に母の声。どうしたのか聞いてみると、正月まで元気だった父は認知が急に進み、母親は足が思うように動かずに困っていた。小学生を頭に4人の子育て中、30代の自分にはまだ先のことと思っていたのに、現実を目の前に突き付けられたという話を聞いたばかり。

私たち夫婦は、自分たちも老後を考える年齢で、数年前から自分と親のこれからをシュミレーションを重ねている。それでも、冒頭のように衰えが急にくると、予測不能なタイミングで、昨日までできていたことが全くできなくなるのだと知っておろおろした。

誰にでも老後は来る。
自分が思っているようにはなってくれない。
親は老いていくし、自分たちも年齢を重ねていく。

仕事を通して感じてはいたけれど、当事者になるというのはこういう気持ちになるものか。

私は結婚のお世話をしている。いわゆる婚活アドバイザーだ。
この仕事を通じて、変化していく社会の動きを日々思い知らされる。
コロナ禍以降はとくに厳しさを感じている。

この数年ほどで、結婚・仕事・生き方など、自分らしさく選択できるようになった。その一方で、これが幸せのカタチだよ。というようなローモデルは存在しなくなった。当たり前だけれど、自分で考え選択しその行動に自分で責任持ち、自分で自分の人生をもまる必要がある。「普通や当たり前など存在しなかったよね」ということをコロナ禍に痛いほど味わった。

自分の生き方を自分で選び、自分らしい人生を創造していく時代になった。女性はキャリアを積んで自己実現しやすくなった。

都の卵子凍結費用の助成や少子化対策など、結婚出産育児へのサポートに注目が集まる。都の助成を利用した理由を、いまは仕事に集中したいので時期が来たら子供を持ちたい。と話していた。

結婚したい時が適齢期。したいことをしたいときに叶えられる。結婚も出産も周囲にせかされることもなくなった。時期も形も自分で選べる時代だ。
けれど、いつか、そのうち、は危険な考えだと私は思っている。

リミットがあるから、あるタイミングで真剣にこの先の人生を考えざるを得なかったのは事実で、それがあるから考えた人も多い。少なくても私はそうだった。25歳過ぎた女性はクリスマスケーキに例えられた時代に、30歳の壁をまえにこの先どうやって生きていくか真剣に考え、そのタイミングで出会った人と家庭を持つことを選んだ。

縛りがないいまの世の中で、自分のライフプランをしっかり描いている人はどのくらいいるのだろう?5年前までは、アラフォー婚活というキーワードがあったがいまは聞かなくなった、晩婚という言葉さえ少なくなったと感じる。基準がないから、自分で人生の流れをつくり指標を立てる必要がある。

何も考えなければ、ぼーっとしている間にあっという間に老後はやってくる。自分で人生の舵をとれない人には厳しい時代だと思う。


アラフォー婚活が流行のようになっていたころ、うちでも40代後半の男性や40代の女性も多かった。

40歳までは、男だし自分で何とかなると思っていた、そろそろ婚活でもしようかと思った頃、家業を担っていた父親が病に倒れそれ、入院している父の世話と家業の手伝いでそれどころではなくなった。数年後父親が亡くなり家の整理が終わった時には、50歳が見える年齢になっていた。40歳で父親にそろそろ、と言われたときに結婚をしていたら、子どもがいる家庭を持っていただろう、もう少し早く真剣に考えていたら。その言葉を、なんど聞いただろう。

39歳の女性は看護師だった、リミット。そう言って婚活を始めた彼女は、子どもを設けたいと言っていたのに、コロナ病棟へ配属されて婚活をしている場合ではなくなった。と言って婚活をやめて職場へ戻っていった。

40歳で結婚した女性は、42歳で女の子を出産した。産めるけど子育てが大変と言いながら元気にやっていたけれど、40半ばで親の介護が始まり夫の入院と子供が1年生に上がると、今度は更年期が始まって病院通いをしている。

ぼんやりしていたら、自分の老後と親の介護も同時にやってくる。
それならまだよいけれど、結婚や子育てを先送りしていると、全部同時にやることになる。そういう人を何人も見てきた。

卵子を凍結しても、出産から子育てが始まる。自分の人生と子供の人生が同時に走り出す。産んで終わりじゃないんだよね。


子育てにはある程度のゴールがあるけれど、介護や看護は先が見えない。自分だけではどうにもならない事もあるし、誰かに話を聞いてほしいときもある。育児中には、温かい手を差し伸べてくれる人がいたら、また頑張れる。自分のカラダを休めてほっとできる時間があれば、元気も出る。

ひとりじゃない、安心感と拠り所が今こそ必要なのだと思うのです。いざという時に、頼れる場所があるという心のゆとりがあれば、乗り越えられることもある。24時間365日休むことができないのが介護や看護や育児。物理的なサポート心のケアがなければ、家族は共倒れになる。

20代は社会に出たばかり、仕事に自分に必死。家族を持つ経済力には不安がある。30代、任される仕事も増え部下もでき安定するころ結婚も、気力体力十分で経済力もついて出産育児を考えた時、仕事の責任タイミングを考えると踏み切れず、まだ大丈夫、結婚、出産はもう少し後でも大丈夫かもと迷う。気力体力経済力も安定する30代、産みたいけれど産めない環境に悩む人も少なくない。企業努力で、夫婦で育休産休を取りやすくなっても、それだけでは負担が大きい現状。

つい先延ばしにしてしまうけれど、大事なことは後回しにしてはダメ。明日があるなんて、いつかが来るかなんて誰にも分らない。


結婚したい人は結婚しよう。
子育てしたい人は出産育児ができる体制をつくろう。
結婚も仕事で実現したいならできる方法を考えよう。

いますぐに。

自分の人生で夢や希望を叶えたいなら、後回しにしない事だ。
社会人になったら、自分の人生のプランを描いてみることも大切だ。
キャリアプラン、ライフプラン、マネープラン、設計をしたら2~3年おきには見直しをすれば、流されたりブレていても軌道修正は容易になる。
もう少し早く、なんて言わずに済むのだ。

やりたいことは先延ばしにしない。
そして、地域で社会で、子育て・介護ダブルケア、トリプルケア世帯を支えられる仕組みが求められる。

誰かと繋がっている安心感、困った時にここへ相談をしようと思える場所、これからの時代こそ、つながりとネットワークの仕組みが求められている。人と人がつながり、お互いの才能を生かして助け合う優しい社会でありたいと思う。

掬乃ジュンコ

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