息子の失踪から10年、エレナは光をもとめて旅に出る。ひとりの女性の希望と再生への旅路が描かれた「おもかげ」

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ピザが無いと生きていけないとエンピツカフェの店員さんに噂されているアンです。今日もピザ、もぐもぐとほおばってます。
お気に入りの世界の映画を紹介しますね。

今回の舞台は、バカンス客でにぎわうフランスの、とあるビーチ。
主人公は、その海辺のレストランで働いているエレナさん。

緊張感高まる、主人公が息子を失う冒頭のシーン。

平穏なある日。スペインで暮らすエレナは、息子からの電話を受ける。
エレナさん「いまどこにいるの？」
6歳の息子「知らないビーチ」
エレナさん「パパは？」
6歳の息子「知らない」
エレナさん「一緒じゃないの？」
6歳の息子「うん、すぐ戻ってくるって言ってたのに」
元夫とフランスを旅していたはずだったのに、人気のないビーチで父親とはぐれてしまったという。
不安がる息子をなだめているうち、大きな危険が迫っていることに気がつく。
携帯電話の通信は途切れてしまい、もう二度と息子の声を聞くことができなくなってしまったエレナさん。

あの事件から10年。
エレナさんは息子が失踪したと思われる、フランスのビーチを歩いている。
息子の存在を近くに感じていたいと願い、バカンス客が訪れる、そのビーチのカフェで働いている。
そんなある日、息子の面影を宿したフランス人少年ジャンくんと出会う。
ジャンくんはビーチのカフェを頻繁に訪れ、エレナさんを慕うようになり、二人は急速に距離を縮めていく。

何よりも大切にしていた息子を守れなかった後悔と罪悪感。
息子の失踪とともに自分自身の人生も見失ってしまったエレナさん。
もうこれ以上、悲しみを感じたくないと心を閉ざしているエレナさんの希望となるかもしれない息子の面影を宿した少年ジャンくんという存在。

そんな二人は、ほんの一瞬で惹かれ合い、お互いのことについて知りたい、会いたいと思う気持ちが強くなっていく。

親子ほど年が離れていている二人。
ジャンくんには両親がいて、エレナさんにも恋人がいます。社会はそんなに寛容ではない。
二人の関わりはどうしても不適切な関係に見えてしまい、切なくもどかしい2人の関係は、周囲に混乱と戸惑いをもたらしてしまうというお話。

ジャンくんとエレナさん、お互いが一瞬で感じた「特別な絆」は、きっと本物よね。
でも二人の関係を「よく分からない関係」だと切り捨てようとする周囲の人々。
きっと社会は二人の関係が、友情や恋など「よくある人間関係」に当てはめることができないから、受け入れることができないのよね。
それでも、今日もどこかで「よく分からない関係」や「よく分からない感情」に、勇気づけられ救われている人たちがいる、そんなことを考えさせられる映画よね。

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