①新海誠作品について〜特徴と魅力〜

ここ数年で爆発的な人気を誇る新海誠作品。
私自身も彼の作品が好きで映画館や自宅で何度も鑑賞している。

映画から受け取る印象や感想は人によってそれぞれ違うものであるので、一概に称賛も批判も出来るものではない。その上で今回は私が新海誠作品を観て感じたことを述べていきたい。

まず彼の作品の大きな特徴として挙げられるのはストーリーの設定が細かな部分を除いて統一されているということである。

ストーリーの中心である男女の登場人物は立場や距離や年齢など様々な要素において「離れている」ことが多い。具体的な例を挙げると、都会×田舎、教師×生徒、人柱×普通の人間などである。このように一見すると交わることの無いような2人の人物が作中では惹かれあっていく様子が描かれている。では何が彼ら、彼女らを互いに近い存在にしているのだろうか。
それは「心のどこかに闇や不安を抱えている」というものである。彼らはたったその一つの共通点のみにより、解り合おうとし、互いを必要とするような関係にまで発展しているのである。ここに心を打たれる人も多いのではないだろうか。

さらに絵にも注目すると、(これはあくまで地方出身の筆者の自論であるが)小さい頃の自分の中の憧れの大都会がそのまま絵になっている。
キラキラとしていて、あらゆる物の最先端が集うとんでもなく楽しそうな街といったところだろうか。田舎の景色に関しては既視感を感じてしまうので新鮮さはないが、間違いなく自然の美しさや豊かさが丁寧に表現されている。都会出身の人間の中には、昔から思い描いていた美しい田舎の風景そのもののように感じる人もいるのではないだろうか。

挿入されるBGMに関しては、どこか切なく懐かしい雰囲気のものが多く、ジブリ作品における久石譲の音楽に似たものを感じる。

絵やBGMに関しては懐かしさや、そこからくる少しばかりの切なさなど、所謂「エモさ」のようなものが散りばめられているように感じた。

冒頭で述べた男女の儚く、それでいて美しい関係と後半で述べた絵やBGMの懐かしさや切なさなどが相まって、多くの人々の心を動かしているのではないだろうか。

続編の②では、この作品から感じ取れる「儚さ」に関しては述べていく。

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