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【ぐるっとパス2024・2周目1】泉屋博古館東京/歌と物語の絵

まさか「ぐるっとパス2024」を2回目購入するとは思わなかった。1回目は結局7,700円分の展覧会・施設巡りをした。元を取ろうと必死になったわけではなく、行きたいところを(仕事をぶっちぎりつつ)行った結果。

現在(2024年6月)開催中の「歌と物語の絵~雅やかな やまと絵の世界」に学芸員トークに合わせ行ってきた。実は、6月8日に開催された特別講演会の予約をミスってしまい、既に満席となったときのがっかり感といったら、、、。次なるターゲットの学芸員トーク日に仕事を午後半休できた。学芸員トークの事前予約は不要だが、当日配布の観覧券は必要で、開始20分前には既に「配布完了」だった。(私が偶々目にしたのが20分前だったのだが、完了はもっと前だったのかもしれない)。

前置きが長くなってしまった。
印象深かった作品を。


★重要文化財「上畳本三十六歌仙絵切あげだたみさんじゅうろっかせんえぎれ 藤原兼輔ふじわらのかねすけ

藤原兼輔は紫式部の曽祖父。大河ドラマの影響か、最近、この紫式部の曽祖父・兼輔の御尊顔を拝する機会が多い。5月に行った五島美術館でも彼を描いた作品が展示されていた。

兼輔のとなりの2行が彼が詠んだ和歌。
人のをやのこころはやみにあらねとも
こをおもふみちにまよひぬるかな
子をもつ親の心は闇というわけではないが
子どものこととなると道に迷うかのように惑ってしまうことだ

この歌は兼輔の歌の中でもつとに有名で、「源氏物語」でも(歌そのものを引用するわけではないが)何度も引用されている。

★「柳橋柴舟図屏風りゅうきょうしばふねずびょうぶ」伝 土佐広周ひろちか 17世紀・江戸時代

フライヤー裏面

右隻から左隻にかけて春夏秋冬が表現されている。
川に橋、柴舟、水車などのモチーフから京都・宇治が描かれているとわかるそうだ。へぇ、である。
この日は学芸員トークがあった日だったが、会期早めの平日だったせいかそれほど混んでいなくて、この作品は細部ももちろん美しいのだが全体を見渡せるように、引きで見て欲しい。人が画と自分の前をあまり横切らず、配置の関係で引きで見ても他の人の迷惑にはならないだろう。


★この時代のマンガ!?重要文化財「是害房絵巻ぜがいぼうえまき」伝 土佐永春 14世紀・南北朝時代

唐の天狗是害坊が、比叡山の僧との法力競べ に敗れて怪我をし、タンカで運ばれる場面、
お風呂に入れてもらい介抱してもらう場面など、
天狗の呟きともに描かれている。
学芸員さんの呟きの解説も面白かった。
「やさしく介抱してくれ」、
「ついでに痒いところをかいてくれ」
など絵から醸し出される可笑しみに拍車がかかった( *´艸`)。
この絵巻は『今昔物語』を取材したものだそう。
お風呂で介抱してもらっている場面は、「お風呂を描いた現存最古の絵画作品」ということで引用許可の依頼が多い、とのこと。


★「伊勢物語図屏風」宗達派 17世紀・桃山~江戸時代

この屏風の中では「高安のむすめ」も描かれていたが、そういえばこのテーマの絵は「山種美術館」でも見たな、と思っていたら、公式ページで詳しく紹介されていた。

屏風ではご飯の「てんこ盛り」は、絵具が剥落していてわからないが、山種美術館の絵ではご飯の「てんこ盛り」がよく分かる。この姿に男は幻滅して、会わずに帰ってしまうのだが、何に幻滅したかというと、この時代お姫様は自らご飯なんて盛っていけない、その慎みのなさに幻滅したそう。ご飯は別にてんこ盛りのモリモリ、でいいらしい( *´艸`)。

伊勢物語ではお約束の「八橋」の場面も描かれていた。
日本画を見に行くたびに度々登場するこのモチーフ。「伊勢物語」、現代語訳だけど全文を読もうと思った。


★「源氏物語図屏風」宗達派 17世紀・江戸時代

右隻
桐壺、帚木、空蝉、若紫、紅葉賀、末摘花
「若紫」はこの場面以外ないでしょうの、「北山の僧庵で雀を追う少女(のちの紫上)を垣間見る光源氏」。紫上は「山吹色」を着ていたのでこの屏風画もその色。やはり「皇居三の丸尚蔵館」の屏風画の方(赤色)がイレギュラーなんだろうな。

左隻
絵合、少女、朝顔、葵、胡蝶、蛍
「葵」もやはりの車争いの場面。私が知り得る限りの絵では六条御息所のお顔を拝めるものはないが、この絵ではそのお顔が見られる。
学芸員曰く、
「この時代の興味に応えて描かれているのでしょう」
とのこと。

★「紫式部観月図かんげつず」狩野常信 18世紀・江戸時代

左右に花をあしらった掛け軸を従えての堂々の3幅の真ん中。

Timeout:https://www.timeout.jp/tokyo/ja/news/the-elegant-world-of-yamatoe-061024


併設されている「Hario Cafe」は美術館利用者は10%引きになる。

クラシックショコラセット1,700円が1,530円
この日は朝からコーヒーを我慢してこの一杯に備えた。
雑味がなくてとても美味しいコーヒーだった。

ぐるっとパス2024で2周目、行ったよ
1.泉屋博古館東京 1,000円

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