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【読書】「死」宮崎学

勤務先の元上司に送らてきていた財閥系グループ広報誌に「メメントモリ」というコーナーがある。そのコーナーで写真家・宮崎学氏の「死」という写真集が紹介されいた。

お墓も戒名もいらない。私をおくる時はお経ではなくラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」でも流して欲しい。遺灰はふるさとの太平洋に撒いて欲しい。そんな死生観を持つ私にとってうってつけの一冊だった。

輪廻転生
目を背けてはならない、とおもいながら、ファインダーをのぞいていた。
鼻が曲がるかとおもわれるほどの死臭が漂うこともあり、
ハエやうじが体皮をやぶって湧き出してくることもある。
怯むことなく見つめていると、
そこにはふしぎはドラマが展開されていた。
「死は生の出発点である」
私は、自然の新しい摂理を、生きものたちから学んだ。

「死」宮崎学

三体の動物の死が紹介されている。
「秋の死・ニホンカモシカ」
「冬の死・ニホンジカ」
「春の死・タヌキ」

死を貪り食う動物たちも体毛までは食さないが、体毛は鳥たちの巣作りの材料となる。

人間様のとなえるSDGsは、このリサイクルの前では空しい。

三体の動物の死の中でも「冬のニホンジカ」の死は見事としか言いようがない。写真集の表紙になっていて、この記事の表題に用いた写真がそのニホンジカである。死後、死臭が漂う前にこの状態に遭遇できたようだ。このニホンジカが行きついた世界を紹介させて欲しい。

8月12日 シカの体毛の大部分が小鳥たちの巣材になり、残りはバクテリアが分解してしまった。ここに死体があった痕跡は、もうどこにも見あたらない。

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