マガジンのカバー画像

月殿亭・名探偵倶楽部

11
みすてりぃ
運営しているクリエイター

記事一覧

雨・レクイエム・其の壱

 墨堤(ぼくてい)の桜が、ちらほら咲きはじめ、あたたかな日差しが降りそそいでいる、三月の…

月殿亭 
2週間前
21

雨・レクイエム・其の弐

 埜瀬治之警部が、警視庁にもどると、刑事部捜査第一課の神保(じんぼ)課長から呼ばれた。 …

月殿亭 
2週間前
12

雨・レクイエム・其の参

 上野・不忍池は、すでに午後の陽が傾きはじめている。埜瀬警部は、検視医とともに、弁天島の…

月殿亭 
2週間前
11

雨・レクイエム・其の肆

 一か月ほどまえ。  東京に名残雪が舞った日、ピアノリサイタルの準備に忙殺されていた和乃…

月殿亭 
2週間前
15

雨・レクイエム・最終章

 咲良が、不忍池で、凶器と思われる和かみそりを発見したころ、埜瀬警部は、保安課の課長から…

月殿亭 
2週間前
14

仇討(あだうち)・Ⅵ

 津田源一郎は、他の同僚たちとともに、不入屋から八回、金を借り、借用証文を渡していた。そ…

月殿亭 
1か月前
16

仇討(あだうち)・Ⅴ

 事件の容疑者は、陸軍省の軍人や事務方だけでも五十人近い。そのなかから、殺人犯を見つけねばならない。  一睡もせずに朝を迎えた彦四郎が、おしまの敷いてくれた寝床に入ろうとしたとき、小文たちがやってきた。 「眠いのだ。出直してもらってくれ」  おしまに言いかけたところへ、廊下から足音が聴こえてきた。   部屋の前で、数人の足音がとまり、廊下から、小文の声が、聞こえてきた。 「彦四郎さま、お見せしたいものがあるのです」  来客は、小文、咲良、小吟と玉喜だった。  彦四郎の眼は、半

仇討(あだうち)・Ⅳ

 彦四郎が、鍛冶橋の司法省警保寮から、浅草にある屋敷へもどると、家人の桐戸半蔵が、 「神…

月殿亭 
1か月前
16

仇討(あだうち)・Ⅲ

 同じころ、政府の太政官正院に所属する監部という密偵機関でも、極秘に「おとき殺害事件」の…

月殿亭 
1か月前
15

仇討(あだうち)・Ⅱ

 二日後。午前十時をすぎている。  本所深川にある武蔵屋藤兵衛の別宅まえで、二台の人力車…

月殿亭 
1か月前
15

仇討(あだうち)・Ⅰ

仇討(あだうち)  ある晴れた、九月初旬の早朝。東京市・本所深川大和町。平久(へいきゅう…

月殿亭 
1か月前
21