11.人はみな妄想する―ジャック・ラカンと鑑別診断の思想(松本卓也)2/2
前回までの議論振り返り前回までの議論を簡単に振り返る。
ラカンが行おうとしたのは構造主義のスタティックなフィールドに、実存主義のダイナミズムを導入することであった。また、神経症と精神病を鑑別しすることが―そして神経症と精神病の諸症状を鑑別するためにソシュールやヤコブソンやレヴィストロースらの概念を精神分析の場に導入することでフロイトの鑑別を再構築することによって―正しい治療に繋がると考えていた。しかしラカン自体が難解だと言われるように、ラカン自身の関心や鑑別手法が年代の中でさ