12.マネジメント―基本と原則(P・F・ドラッカー)

仕事は均一に設計しなければならないが、労働には多様性を持たせなければならない

まず断っておきたいけれど、ドラッカーの著作の隣にカーネギーの『人を動かす』やコリンズの『ビジョナリーカンパニー』やジェニーンの『プロフェッショナルマネージャー』を置くような人間になりたくないと思ってきた、現に置いてはいないが。

今、ドラッカーの著作の隣には『風姿花伝』と『まなざしのデザイン』が置いてある。念のため、念のための断りである。

ドラッカーの定義するマネジメントは以下である

①自らの組織に特有の使命を果たす。マネジメントは、組織に特有の使命、すなわちそれぞれの目的を果たすために存在する。

②仕事を通じて働く人たちを生かす。現代社会においては、組織こそ、一人ひとりの人間にとって、生計の資(かて)、社会的な地位、コミュニティとの絆を手にし、自己実現を図る手段である。当然、働く人を生かすことが重要な意味を持つ。

③自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題について貢献する。マネジメントには、自らの組織が社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題の解決に貢献する役割がある。

マネジメントがなんであるかの前に、その組織が何を目指しているかという目的が掲げられているのが通常である。とはいっても、最初から孫正義のようにミカン箱の上で演説をするような人もいれば、なし崩し的に起業してだんだんと目的の解像度が上がるものもある。ただし、全体の効果性を考えたときには目的があったほうがよい。近年は、そういう意味や目的を個人レベルが問うようになっている印象がある。

そして、組織を企業と規定したばあい、水面下で必ず動くのは利益の追求である。こういうことを話すと、そこそこいい歳したおじさんが「いやいやそうではない、大事なのは目的やビジョンなのだ」という話をしてきた。ぼくの小言一つで数時間奪われたので、なんともコスパの悪いことか。まあ、ぼくなんぞには、やはり利益追求のほうが大事に思える。というのは、大きな企業に居たことが無いから、目の前で予算が削減されていく様子や、カネがなくて休みなく働かされてきた経験があるからなのかもしれない。でも、「頑張って」稼ぐほどにそれは美談になって、浮足立たせ、最終手段が残されているということから意識高い系の話に昇華される。

ドラッカーの言っているのは、競争原理のど真ん中に位置している働き手(実はもうちょっと上の管理職くらいがベストなんだけど)が、どうすればこの環境下で無理せず、成果を上げることができるのかという話でると思う。ぼくたち一介の働き手は、放っておくと簡単に無理をする仕組みになっている。仕組みを変えるのは幹部層だから時間が必要だが、自分をの行動を変えるのに時間はそうかからない。その組織が仮に健全に黒字経営を続けているのだとすれば、自分の役割の中で同じ成果を出すためにどのようにラクをするかを考える。ラクというのは手を抜くというよりは、自分の使い方を知っているかという話になる。今では当然と言える話であるにもかかわらず、単一作業はせざるを得ない作業として今もある。そういう、詰らなさを場所を変えず自分の行動を変えることで解決できるのならば、これからの詰らなさも、もしかするとやり方が変わってくるのかもしれない。




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