見出し画像

この若手劇団を見よ! 2023 @東京

無名の劇団を観て批評する演劇クロスレビュー。
年末特別企画として、今年観た若手劇団と来年観たい若手劇団をそれぞれが書きます。今回三回目。去年の貼っときます。


ヤバイ芝居(観劇者)

正調演劇クロスレビューは1本しかできず企画物すら大晦日の仕事中に(ほぼ箇条書きで)殴り書く演劇クロスレビュー。ヤバい。来年こそなんとかしたいヤバイ芝居。

さて「今年観た」でいうと去年「来年観たい」と書いた劇団をヤバイくらいに演劇を観ない演劇アカウントa.k.a.ヤバイ芝居は観られたのか?(去年のコピペ)結果は4勝6敗(中止を含む)。負け越し。遂に遂に南極ゴジラを観られた!もうかわいい恐怖症になるくらいのかわい面白さ。猿博打を観た。やんちゃさと裏腹のプロフェッショナリズム。とにかく本公演が観たかったザジ・ズーも観られた。個人的に東京No.1若手演劇セット。メンバーが参加したサンバーチャイチャイもめちゃくちゃ面白かった。「最近おすすめのヤバい芝居はなんですか?」「令和座」という会話でお馴染み令和座も観た。来年もおすすめのヤバい芝居だった。
その他では公社流体力学レコメンドでド・パールシム(もう1回は観ると思う)を演劇クロスレビュー(なので詳しくはそちら)で幾何学おばけを観た。
贔屓である優しい劇団from名古屋は待望の東京公演!河川敷の野外公演に連日50人近く集めた熱狂と連日5時間くらいやる狂気。
狂気といえば、のあんじー。高円寺の街角で観た。もう市街演劇てか市街戦演劇だ。『演劇というか事件』てほんとにあるんだ
川合凛と細谷天歩のユニット公演『キキ』は中止もあって配信でしか観られなくて死ぬほど辛かったので死ぬまでにまたもう一度やってくれたらなあ。
大学演劇では『東京令和心中』と息切れカメレオン。前者は時代どころか全てを錯誤しながらの魂の探求と融合の作劇に痺れた。後者はユースカルチャー演劇まっしぐらの眩しさ。
いきなり「来年観たい」に飛びたいがもう仕事に戻るのでたぶん公社さんが書いてくれるの信じて王子小劇場『見本市』の参加劇団はなるべく観たい。
後、旗揚げを観られないの確定して泣いている劇団ヨゴト。高校演劇の頃から異彩を放ち注目していた異才・北條風知を中心にした集団。観たいよお
あ、来年こそ演劇クロスレビューをいっぱいやりたいてか読みたい。来年の大晦日こそ過剰書きしたい。皆様、よいお年を!

平井寛人(FUKAIPRODUCE羽衣/尾鳥ひあり/studio hiari/RunteMenka(n))

まず悪くない一年であったと思う。
主に私の知る東京都内の小劇場の現場では昨今特に多くの場合、「私たちは劇団です!」と名乗ることで劇団となり、周りがそう信じてくれるのを願ってその名前を看板に掲げている。個人が演出家や脚本家、役者であると名乗ることに比べると、劇団と自称することで劇団になることのハードルは低いようではあるが、つまりそのことは団体の在り方の曖昧さにも繋がりかねない。それを劇団員の自由度の高さといえば聞こえはよいが、座長からのトップダウン、上意下達の軽視が起こりやすく、様々な形の団体を劇団であると呼ぶことが容易になってくると、今度は烏合の衆となりかねず、多様性とは引き換えに偏見も向けられかねなくなる。そこでは所属した上での責任がよくも悪くも軽視され、慎重さと知識、経験のいずれかに欠けば、覚悟と引き換えに横暴さを咎めるリアルタイム性が獲得されにくい。
ほとんどの団体がそうではないにせいよ、今年活動を点々とさせていただいた中で、そうした要するにイベサー(イベントサークル)・イベンターと、いわゆる劇団であるということが、同じ「劇団」と呼ばれる中でも私の中で明確に区分されるようになり、私が特に後者の創るののの方に興味を向くのだと発見させられる一年だった。
また、様々な場所や観点で何かを讃える、評価するパフォーマンスが各地で起こる時期だとは思うが、今回のこの記事については全くそうしたものに属する気概はなく、単純に私が興味を抱いた若い劇団や作品を挙げていくに留めたいと思う。
加えて、「今年改めて作品を観て新たな一面に感激した」というものを除き、基本的には昨年の記事で扱った団体や取り上げず、ここで取り上げなかったものを損ねる意図はないということも加筆する。クライエンテリズムなアワードに私は一切の興味を持ちえないように、そうした側面もここでは削いだものとする。

・劇団お片付けパフェ
・劇団ヅッカ
・B子
・帽子プリン
・う潮
・yoowa
・長澤脚本河原演出企画
・カハタレ
・ネモノ会
・優しい劇団

今年初見であった若い劇団の、私の好みであった団体を上から10ほど今思い浮かべようとしたところ、これらが挙がったため、私からはこれらについてさらっと触れたい。
また、ダンスカンパニーではBALAという団体が確か旗揚げであったながら、かなり良く、徹底された異次元の、しかし引き込まれて気持ちよくなれそうなリズムやその押し込み方が、全く芸術鑑賞として私に望ましい体験を供給してくれたもので、今後も楽しみにしている。

帽子プリンは、「骨太のドラマ性かつ随所のエンタメ性のある小技を外さずに、長編をやりきる中でセンスと感性、集中力、思考力の高さをこれだけ精度高く表出するSFの若い創り手がいるのか」といたく興奮した記憶がある。きゃっぷりん、と読むらしい。『A.I ~AIと遺伝子についての考察~』というタイトルで、攻めと優しさ(私はユーモアを優しさだと思っているので以後もそのように使う)の両方の手つきに満ちた、私の人生にとって優れた作品だった。今週、近作2つを劇団のYoutube チャンネルにて公開したようだ。
恐らく1年に1度ほどのペースで制作をしており、私が今年観た作品を第3回公演としながらも今結成4年目である。主宰さんにお話をお伺いしたところ、無理なくやっていこうとしていて、という旨のお話をお聞きした。是非健康的で強要の無い形で、本作のような必然性における作家の手つきを感じられる作品を今後も立ち上げていっていただき、私も健康にその上演を楽しんでいければと感じている。

yoowaと長澤脚本河原演出企画は、私が勤務している王子小劇場での公演で、どちらも優れて特に私には好ましかった。
yoowaは「vol.0」とされた公演『スプリング・スプリング』で『ミュージカル・ミーツ・現代アーツ』というテーマを掲げており、小劇場で若手がミュージカルを立ち上げるということに対して、かなりリリカルな姿勢で臨んでいたように感じられ、かつその完成度が高いもので、私からすると圧巻の作品であったと感じられた。彼彼女らは「小劇場ってこういうふうに楽しもうよ」という独善的かつ偏執的な態度で臨む偉そうなクライアントに向かってその入り口から作品を持っていく姿勢は微塵もなく、かつ誰でも楽しめるはずだという演劇の魔法をふんだんに使い、作品に深みと熱を生んでいたのが、全く尊ばしい傑作と作品をなしえていたと感じている。脚本と演出それぞれ別の方が努め、単にそれぞれで仕事をして何がぶつかって起こるかと投げ出すいうタイプというよりも、私からは、それぞれが歩みあい絡みあい、相互の声に呼応して高めていったようなチームワークが感じられる成果を生んでいた。全体として分業がなされたワークが各種よく、主宰さんのセンスや能力が特に光る事業でもあるように私には思えた。私からすると岩井俊二みのあるウェットな脚本が、その印象で終わるのではなく今に呼応して動いているものであり、そこを演出家がかなり上手く綱回ししていたように見え、広がるイメージの、そこに乗って観た時、非常に夢のある演劇の魔法をあの地のあの時に輝かせていた貴重なひとときであったと思う。
私は今年危険みの強い作品を特に多く観た気の強い年であるなと感じていたのだが、その中でも長澤脚本河原演出企画は、特に変態性の強いと私が感じた作品だった。なんか出来ればいいよね、出来れば面白いし、という姿勢に振り切ったものは観ていて気持ちがよい。同様の感動を覚えた。多分彼らは焦ることもなく、これからも作品を創るとすれば、また優れた作品を生んでいくのだと感じる。関係者の腕力が全く感じられた。彼らの焦る事の無く、というのは、彼らは恐らく何かを作らなくても、その生きている途上は、常に表現者としてあり得てしまう種の、才ある人たちであり、そうした人間の創るものは、常として興味深いものであると私は感じる。脚本もあるのか無いのか、なにか危険なことを放り込んでいるような気配もありながらはっきりはさせきらなかったり、彼らにとって演出がなんなのかと感じられるアプローチが作品に対する彼らのそしてスマートな演出を表しており、それを証明する随所のセクションが、文学的かつ演劇的なスターによる演劇LIVEを私に体感させてくれたものと思う。

劇団お片付けパフェは、旗揚げ公演で3本の短編を創り、2本ずつの上演であるため3本観るにはどれかを2回観ないとならないというストロングスタイルをとっており、また初期HPがとても素敵だったことから興味を惹かれ、観劇した。
2本目も可愛らしい、器用な物語性のある作品であったが、私は特に新井ブリュレ氏の『Sterdy,As She Goes』に目を見張るものを感じた。「兄は弟を殺してしまう。しかし実は弟は死んでいなくて――。繰り広げられる兄と弟の共同生活、この2人は一体どうなっているのか」というあらすじを、全く回りくどく、しかし正確に詩的に(詩情たっぷりということではなく)表現してみせた。見易さやどうこうというものは、かなり簡単に解決できると予見されるもので、それよりもその奥にある美しい作家の手つきや狙いが、面白かった。弟や兄の気持ちの流れを戯画的に捉えて、端的にやるべき仕事を果たしている演出家の姿勢は、作品からくだらないクライエンテリズムをそぎ落とし、真摯にその姿を感じ取った者に、必ず素晴らしい景色を提供してくれる。私はそれを信じていたいし、そうした観劇者も多くいるため、今後もシンプルに自分の仕事の成果として生み出された演出作品を、私は受け取らせてもらいたいように感じた。作中にある物事を的確に捉えて、遊ぶ能力にきっと優れている人だと私は思った。

B子はそれ自体が劇的な結晶であるように感じられて、すごいものだと思う。
カハタレも良いチーム。

う潮はかなり不器用なように私は感じられながらも、役者の使い方におもしろみのある人だと感じた。ネモノ会はシリアスな物語であっても感覚的に入れられる悪ふざけが良い味をして良かった。優しい劇団は川原でやっている上演を観たが元気で良かったし、脇の固さが良い意味で感じられる作品を受け取らせてくれるので興味を強く持っている。劇団ヅッカは器用で行為がフランクな団体だと思う。

来年の演劇もたのしみ。
来年はどっしりと構える、未見の団体と出会い、探して見つけ出し、作品を観たい。他人の目に負け、アピールのために焦って自称〇〇であることに固執するものものよりも、他人にどう思われるかや、どうアピールするかの術を教授することを生業にするのではない、自分たちが何者かを知り、その美しい才の表出を純粋に露わにする、ただ演劇をやりたいからやる劇団という結晶を私は特に評価し、応援していく姿勢を取り行動にしていきたい。やりたきゃやりゃあいいとも思うが、劇団や表現者のいる道はひとつではないことを忘れてはいけず、外れた道を偽っても決してならない、と、この界隈にいる私個人は思う。傾向なんてアテにならないでしょ。胸打つかどうかで。焦らず、創れたら見せてみて、みたいな気持ち。

公社流体力学(美少女至上主義者)

今年、喜劇悲劇が今後の演劇界の担う若手12人という面白記事を書いたので、
それに便乗して選んだら思いのほかバズった

んで、去年。2020年代結成若手劇団四天王というのを作ったが、今年アップデート。四天王のうち三組は去年書いたが、一組入れ替わった。
TeXi‘s
劇団ヅッカ
キルハトッテ
B子

12人は担うというところを重点にチョイスしたためにその煽りで外れたB子が、こちらでは四天王入り。
B子『JAPONICA』は、女性の恋愛遍歴をメタファーを含んだ魅力的なセリフで描く現代口語一人芝居である。静謐だが所々挟み込まれるシュールなイメージで独自性。しかし、『冬夏』では一転して人殺しを隠蔽する男の無軌道な日々を描いたオフビートなサスペンスで、こちらでは倫理観の外れたギャグ台詞も多用。B子の脳内世界を描いていてもテイストがガラッと変わっている。
面白いが、孤高の演劇人として業界を担うことなく独自の道を邁進してほしいということで12人から外したが、なんと佐藤佐吉演劇祭に選出され今後業界を担うかもしれん。面白。

12人の中で今年初観劇したのは
ダダルズ
2022年の企画で、平井さんが挙げていた。私も感想は聞いており面白い会話劇をする団体との評判から気になっていた。今年始めた主宰・大石恵美の1人芝居シリーズ。その一作目である『ダダルズ袋7月号』を見に行ったところ、とんでもない面白さ。生きづらさを奇妙なユーモアで包んだマシンガン。オルギア視聴覚室でも爆笑を掻っ攫う。シリーズ最終作『袋破裂』は、奇妙なユーモアはありながら火だるまになりながら叫び続ける壮絶な姿に、吹っ飛ばされた。

上記12人の内、この企画の昨年版に描かなかった団体がある。どちらも平井さんの劇的な昨夜というショーケースで知った団体。
令和座
沈黙を使った独特な劇団。去年見た作品が沈黙の暴力劇で面白かったが特筆するほどではないと思った。しかし、『ゲルニカの聖水』が一転して沈黙を生かしたナンセンス劇であって、昨年は過小評価と反省。そして『大麻を吸おうよ』が令和座というジャンルとしか言いようのないジャンル。『SEVEN』は同じあらすじ同じ設定の人物で、不条理劇とサスペンスという全く違う2本の演劇(長編)を作り上げた。人間ドラマもナンセンスコメディもこの作品を表すには狭すぎる。
ザジ・ズー
は、破天荒な前評判を聞いていたが2022年に見た短編では、正統派アングラ劇で悪くはないが止まり。所が、『結ぼれ』ではありがちな幽霊譚をティラノザウルスが暴れバイトヘルが響くエネルギー過剰劇へと変貌。メンバー全員が作・演出を務めるため作品ごとに誰が主導するかで変わるという。CLAMPみてー。『ZAZI・ZOO JAPAN TOUR 2023 FINAL』は、各メンバーがそれぞれ作品を制作し、出身地で公演。その作品をつなぎ合わせた公演でエネルギー溢れた内容。

今年、発見した中で特筆すべきのは5組。
ハカランダの犬
は、今年旗揚げしたユニット。『暴力(仮)』暴力に関する考察を奇妙なイメージと音楽ライブをつなぎ合わせた作品を上演。暴力を具現化したビニールシートお化けが常に存在しており、手堅い現代口語劇を不思議な感覚へと昇華させる。あくびがうつるという劇団を主宰する森田諒一が構成を務めており、そもそも固定の作・演出がいるのかどうか分からず、どいう形態の集団が分からない。、次作が気になる。
太郎物語
は、女優二人によるユニット。『第五回太郎物語の準備体操』は、3つの断片を紅白ベースのキッチュなヴィジュアル、ハイペースなリズム、抜群の二人のコンビ技で描く。鮮やかな場面切り替え、観客にとって気持ちのいい演出を知ってる。自信満々な二人のキャラクター性で最後は歌って踊るアイドル性。脚本は未熟であるものの、kawaii-POP演劇というべき魅力たっぷり。過去には南極ゴジラと対バン公演も、なぜこの逸材が埋もれていたのか。
宮森みどり
厳密には演劇人ではなく現代美術家。他人を演じるということを主題にした作品を制作。『Tarce a Day vol.1研修医』は、実在する研修医の実際の1日を宮森が再現するパフォーマンス。そして、先輩ドクターなどの端役を演じるのが研修医本人(つまり毎日会っている同僚の演技をしてる)。何も起きない日常だが。宮森演じる研修医と研修医本人の演技や人物性が真逆、情報の欠落があると研修医が指摘をする。他人を描く時に失われる・変質する情報を可視化していて面白かった。
『「わたし」役を降板しよう』というパフォーマンスはバーで3つの権利を販売。①バーの滞在中くじで引いた嘘をつき続ける、②くじで引いた人物になりきる、③購入したお客様を宮森が演じて他のお客様に対して自己紹介。私は見ておらず、本人のレポートを読んだだけだが、とあるお客様はうそをつく権利を買ったうえで宮森が代理で自己紹介する権利を買ったそう。宮森は今日初めて会ったお客様の嘘の自己紹介を本人になりきってする訳だ。
今年はそのほか、インスタレーションや映画を発表しておりかなり精力的。
カレーカレーグループ
「もういい風」は、現代口語的な静かな会話劇。だが、超能力で何とかしようとする恋人、一切の説明なく現れる友人の幽霊。最後は語られた竜伝説どおりに、男が巨大なドラゴンに変身して舞台を埋め尽くす。会話の奇妙な空気感が面白く、まだこれからの団体だが作品を重ねるうちにこのセンスや技術がどう洗練されていくか
劇団さいおうば
は、今年の東京学生演劇祭優勝劇団。『アキスなヨシオ』は空き巣に入ったら家主が返ってきて家主のトラブルに巻き込まれてしまう展開を、抜群の人物描写と切れ味鋭いギャグの連発で描くシチュエーションコメディの傑作。人物出し入れが上手い、展開を次々差し込み飽きさせない。そして洒落たたラスト、完成度の高さに唸る。
『超人の友人』は、今年の旗揚げ公演をYoutubeにアップしたものだが、これもワンシチュエーションの佳作。往年の超能力者の秘密を打算渦巻くテレビスタッフ達を主役に描いている。アキスよりは洗練されておらず粗削りだが、ギャグの完成度は抜群。それぞれのキャラを生かした展開の連続は後半にかけてアクセルが入り、ラストの締め方もいい。シチュエーションコメディの新星。
あとは、
田中優笑は凜×天歩企画『キキ』内の短編「ドーナッツの輪、古墳の縁」が、卑弥呼とドーナッツと円周率が円環構造となっている奇妙な少女演劇で面白かった(なお、キキのもう一本は四天王ヅッカの劇作家マツモト作品)。手塚の劇団は猟奇的な人物の描き方と喪失の悲しみを抱えたドラマティックの組み合わせが面白かった。STAy(東京学生演劇祭)はラノベ的少女たちの不条理青春劇をドストレートに上演していて良かった。

では2024年で観たい若手劇団はどこか。
まぁ最初は「見本市」メンバーだろう。王子小劇場が主宰となり、活動最初期の団体のみで作るショーケース。職員が選んだ王子小劇場お墨付きの若手劇団たち。
三転倒立
ちょっとはいしゃく
ふわふラプニカ
企画山
演劇ユニットタイダン
ヨルノサンポ団
あくびがうつる
渋谷/もしくは/私/たち/は/何も知らない
山口綾子の居る砦
全然知らない劇団もいれば、2021年の記事で取り上げた山口綾子(その記事の時に、山口さんって誰だよって書いたがメンバーの好きな苗字と名前を合体させた架空の人物、同姓同名の怪談師と関係ないらしい)、
毎月の見たい演劇記事で取り上げたタイダン、ハカランダの犬でも名前が出たあくびがうつる、関西で名を挙げているヨルノサンポ団、今年に見事な『DOLL』を上演した近現代の名作戯曲専門のちょっとはいしゃく、
など。しかし、過激な内容らしいふわふラプニカ、マクベスに怪獣を出すらしい企画山、素晴らしい劇団名の渋谷など。気になる。
そこ以外では
のあんじー
女優二人による野外演劇専門ユニット。カフカの『変身』をアレンジした作品を深夜に高円寺の路上で上演するなどかなり尖った活動をしている。2024年上演作品は野外ではなく屋内。岡本かの子原作だが電動お色気演劇と題して『ロボ妓抄』を上演。原型はあるのか。
老若男女未来学園
は、かながわ短編演劇祭に選出され上演した『シーユーレーター』が非常に個性的で面白い作品だったらしい。名古屋から東京へ初進出する『球(kyu)
』では、東京演劇人として佐藤昼寝(昼寝企画、ex.中野坂上デーモンズ)と新山志保(盛夏火)を客演として呼ぶという、このセンス。気になるねぇ
劇団ド・パールシム
2023年に旗揚げした劇団だがリアルに描く不条理劇団ということで面白そう。見てー見てー言ってたらヤバ芝さんが先に見に行った。2024年上演の『流れる羊』は戦時中をテーマにした作品らしいのだが、どう不条理劇にしていくのか。
Ne Na lab
は二人のダンサーによるユニット。2023年の公演でハンバーグが付いてくるという企画に興味惹かれたが、岩渕貞太キュレーションのラボ20#23に選出されるなどきちんと実力派。
さかさ舟
は受賞歴多数のジャグリングパフォーマーなどが集まったサーカスユニット。オドリバのショーケース企画に選出されたが、公演が年間ベスト級だったらしく、見たかった。見たい。

来年も、若手劇団見たいし彼らの集客が一人でも増えるようなってほしい。みんな演劇で金持ちになろう。

執筆者の紹介

ヤバイ芝居
(1971生。ヤバいくらいに演劇を観ない観劇アカウント。since2018秋。Twitterでヤバイ芝居たちを応援していたら九龍ジョーに指名されて『Didion 03 演劇は面白い』に寄稿したのが、人生唯一のスマッシュヒット。
noteを始める。)

平井寛人
(演出家、脚本家、作曲家。尾鳥ひあり主宰。FUKAIPRODUCE羽衣所属。studio hiari代表。RunteMenka(n))。普段は、事態が膿んで膿ませてぐっじゅぐじゅになったところから思うままにやってみる、というテーマで表現活動をしている。佐藤佐吉演劇祭初のショーケース「見本市」、バーで行う演劇ショーケース「
劇的」のプロデュースも行っている。)

公社流体力学
(2015年旗揚げの演劇ユニットであり主宰の名前でもある。美少女至上主義啓蒙公演を行い、美少女様の強さを知らしめる活動をしている。やってることが演劇かどうかは知らんが10代目せんがわ劇場演劇コンクールグランプリ。来年、新作『上演したら死ぬ演劇』をやります。
note

演劇クロスレビューは執筆者を募集しております。東京近郊在住で未知との遭遇に飢えている方を求めております。(一銭にもならない活動ですので、その点はご了承ください)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?