公社流体力学

公社流体力学

マガジン

最近の記事

  • 固定された記事

小劇場演劇 賞レース受賞歴一覧1988〜2024

小劇場演劇にまつわる賞の受賞結果と それに類する上演企画の選出劇団をまとめました。 趣味で作った物なので私の趣味である東京小劇場界隈に偏ってます。東京より西の方は別の方がやればいいと思います。スタートが1988なのはパル多摩が始まった年だからです。 なお、受賞結果が発表されるたびに毎年更新されます。趣味なので。 記事公開記念イベントとして 『公社流体力学が、1988年以降の演劇賞レースを語る』 をやりました(動画6分から)。 目次 2024年岸田國士戯曲賞 池田亮(ゆう

    • ひなたごっこ『みちなる』 の感想。

      作・演出/松森モヘー(会場:元映画館) 『みちなる』という演劇の制作過程。作・演出を担当する人物がいなくなってしまったため急遽作品を作らないといけなくなったが脚本は迷走。 日本大学芸術学部在籍中の藤田澪と山本愛友による演劇ユニット。学生劇団の旗揚げだが、旗揚げ公演は演劇界の呪術師松森モヘーが手掛ける。 山本が松森による『せいなる』に参加したことで今回が実現したとのこと。 演劇を描くメタ演劇は松森が得意としている手法であり、今回も得意の作風である。だが、マンネリに陥るどころ

      • ミセスフィクションズのファッションウィーク の感想

        (会場:駅前劇場) ショーケース番長Mrs.fictionsによる3団体によるショーケース。15 Minutes Madeシリーズと違い今回はファッションをテーマにした3作でまとめられている 上演作品すべてが傑作というとんでもない当たり企画。 チケットが洋服のタグのようなデザインで、お洒落。 舞台には大量のハンガーにかかった服が左右に並び洋服屋のような状態そんな中、音楽が流れ男女二人が登場。Tシャツを着ていて後ろを向くとそこには劇団名とタイトルが なかないで、毒きのこち

        • 盛夏火『熱病夢見舞い』 の感想

          作・演出/金内健樹 (会場:ときわ座) 今年の閉館を発表したイベントスペースときわ座。築60年以上の木造建築を生かした空間は、WEBメディアが偲ぶイベントを開催。60年以上前に建てられた物件が寿司屋から雀荘、生花店、そしてイベントスペースとなった歴史を振り返り。そんな中ゲストで呼ばれた劇作家は59年前に起きた未解決失踪事件が気になるよう。  今年でときわ座が閉館と言うリアルを、作品のギミックとして組み込み、本当の歴史とイマジネーションを混ぜたフェイクドキュメンタリー。  現

        • 固定された記事

        小劇場演劇 賞レース受賞歴一覧1988〜2024

        マガジン

        • 公社流体力学の公演
          2本
        • 観劇感想(2024)
          10本
        • 演劇感想(~2023)
          62本
        • 演劇シーンの紹介とかランキングとかの企画モノ
          11本
        • 毎月の見たい演劇
          20本
        • 公社流体力学賞
          5本

        記事

          公社が10月に見たい演劇

          東京にこにこちゃん『RTA・インマイ・ラヴァー』 10/2~6(会場:駅前劇場) どんどんメインストリームを突き進むウェルメイドナンセンスコメディ劇団。今回は、RTA(リアルタイムアタック、ゲームクリアまでのスピードを競う競技)がテーマだが、どうやら競技を描くわけでなく、RTAを人生に置き換えた物語。最速でハッピーエンドへ辿り着こうとする男とは。 謎音研究所『謎音 水底から鳴る鐘』 10/2〜6(会場:東向島駅付近) 原因不明の音声・音に係る現象を「謎音」と命名し調査する機

          公社が10月に見たい演劇

          TeXi's『ファジー「ours」』 の感想

          作・演出/テヅカアヤノ(会場:STスポット) 家の解体工事中、作業員たちは現場に馴染めない作業員と仲良くなろうとする。やがて彼らの姿に引きこもりの子供を抱える家族がオーバーラップしていく。 男女二元論の解体を描く三部作。女性キャストによる第二部。 男性キャストによる第一部の感想はこちら 第一部は劇場の空間を使い走り回り、巨大なフレームが動き回るダイナミックな演出で家族性の解体を物理的に描いた。 それに対し、会場が狭くなっている今回は家のフレームはそのままでダイナミックな動

          TeXi's『ファジー「ours」』 の感想

          ガチゲキ!! 復活前年祭(伏線編) の感想

          (会場:アトリエ春風舎) 共通のテーマで作品を提出するコンペ形式のフェスティバル。10年ぶりの開催となるが、これは2026年の本格復活に備えての前年祭。 なので今回はコンペ形式ではないが、これはこれで特殊な形式での上演。 月9をテーマに3劇団が長編のイントロにあたる短編を伏線偏としてショーケース上演し、翌週から本編にあたるネタバレ編を上演すると言う企画。試食してから本公演を見れる。 なお、公社はネタバレ編の観劇が台風によって吹き飛んでしまったので伏線偏のみの感想を書く。観劇

          ガチゲキ!! 復活前年祭(伏線編) の感想

          王子小劇場中高生演劇サマースクール2024『夏はみちづれ!』 の感想

          作・演出/笠浦静花(やみ・あがりシアター) 会場:王子小劇場 サマースクールで出会った学生たちの手元に、突如現れた切符。それは夏の間だけ好きな場所へ行ける不思議なチケット。ジャングルに行ったりヨーロッパ横断したり、宇宙を目指すなどそれぞれの夏を過ごす。 ひと夏の冒険、のあとも人生は続く。ひと夏よりもずっと長い時間を縮こまることなくより奔放なイマジネーションで描く。 王子小劇場の毎年のお楽しみ、中高生ワークショップ。それの公演コースは毎年無料で上演をしている。一般公募で集ま

          王子小劇場中高生演劇サマースクール2024『夏はみちづれ!』 の感想

          秘密のユニット『愛、逢い、合い、哀、飢え、上、を。』 の感想

          作・演出/新成亜子(会場:ときわ座) 生花店を営んでいた母の葬式。親戚や近所の人々が集まり忙しない中で母との思い出が溢れて 宇宙論⭐︎講座の看板女優としても活動する、新成亜子の本業ユニット。 元生花店のときわ座。会場の中央に巨大な大があってそこにたくさんの花が飾られている。 受付に行くと、大きな張り紙が。演劇を見に来たと言うか、香典を渡しに来たかで劇中に観客が組み込まれるか組み込まれないか変わってくると言うシステム。私が香典ですというと香典返しでアイスを一本くれた(会場はク

          秘密のユニット『愛、逢い、合い、哀、飢え、上、を。』 の感想

          ゴキブリコンビナート『あばれヤーコン』 の感想

          作・演出/Dr.エクアドル (会場:BuoY) 突如若者が狂暴化する事件が多発する。その真相を探るため、狂暴化した人間が徘徊する迷宮を進む。 お化け屋敷形式での上演がBuoYに上陸。 裸足で進む道は、小さいランプがあるだけの薄暗さ。急な階段を登ると丸太でできた橋を渡る。歩くよりも四つん這いで進んだ方が安全な道でまだ芝居が始まっていないのに大冒険。 ようやく広い場所に出たと巨大な滑り台から落ちてきた男が思ったら女性が襲われている。凶暴化している兄によって暴力を振るわれている

          ゴキブリコンビナート『あばれヤーコン』 の感想

          劇団さいおうば、アーの人&the Amazing Actors の感想

          (会場:池袋新成館シアター) 名前のない演劇祭は、1劇団30分の短編x2で1セットの上演を行っておりお目当ての劇団を見に行くと思わぬめっけもんを見つけることがある。 劇団さいおうば『変人、苦心、献身。』 作・演出/寺腰玄 無名の作家、フランツ・カフカを編集者に紹介しようとする友人だがカフカは風邪をひき、更にへそも曲げてしまい部屋から出てこようとしない。何とかカフカを世に出したい友人は、帰ろうとする編集者を引き留めたいがあまり、強盗がカフカを人質に取って立てこもっているとデ

          劇団さいおうば、アーの人&the Amazing Actors の感想

          鶴の一声×ロ上派 『ロ上のU霊』 の感想

          脚本・演出/峯川遼子 (会場:早稲田小劇場どらま館) 突然交差点の幻にトリップする病を持つ数学者の男。精神科医にかかるが彼女は拳銃自殺をしてしまう。亡くなった主治医がきっかけとして、彼は謎の壁がある街へ旅行する。ホテル従業員や植物園の園長と過ごす穏やかな日々を死が侵食する。 早稲田の学生による団体 ロ上派 の旗揚げ企画。 ゆったりとした筆致でとある田舎町の過疎化したホテルでの風変わりな交流を描く。奇妙でも日常の範囲だった生活はやがて幻想性が顔を出し始めて、唐突で呆気ない死

          鶴の一声×ロ上派 『ロ上のU霊』 の感想

          B子 12時間ノンストップ上演(佐藤佐吉演劇祭)の感想

          作・演出・出演 B子(会場:王子小劇場) 今年の佐藤佐吉演劇祭最大の異端がオルタナティブ演劇のB子の選出。 一人芝居専門の演劇人が選出されるのは史上初。一体何をやるかと思ったら1時間の4作品をノンストップ上演。しかも3回ループ。 脅威の12時間連続上演。 再演2本に新作二種類の4本立て。 最初の4時間を無料公開中。本編はもちろん鳥皮ささみ(なかないで、毒きのこちゃん) イトウシンタロウ(NICE STALKER))参加の1周目アフタートークも収録。 会場に入ると、四角形に

          B子 12時間ノンストップ上演(佐藤佐吉演劇祭)の感想

          いいへんじ『友達じゃない』 の感想

          作・演出/中島梓織(会場:北とぴあ ペガサスホール) 路上弾き語り歌手の追っかけをしている女性は、ある日のライブで一人の女性と出会う。彼女は自分と違って明るくて社交性があって、強引だけどそのおかげで二人は仲良くなって。こういう日々がずっと続くと思っていたけど・・・。 傑作。 これがほかの傑作と違うのが、佇まいが軽いという所だ。物語構造がとてもシンプルで小ぢんまりして凝った展開はない。登場人物は複数いるが、ほぼ二人芝居のシンプルな作り。 それでも、泣きたくなるほどの作品。と

          いいへんじ『友達じゃない』 の感想

          ヒミツミ 『熊野』『班女』 の感想

          作/三島由紀夫 演出/坂本樹(wokome、オトズレ) 病の母の元へ行きたい女と手元に置こうとする富豪の会話劇『熊野』 一人の男を待つ狂女へ注がれる女流画家の歪な愛情を描いた『班女』 演劇ソムリエとしての活動もする女優、伊藤優花がプロデュースする演劇企画。第0回を経ての旗揚げ公演は三島由紀夫の近代能楽全集より2本を上演。 演出として抜擢したのは坂本樹、wokomeとオトズレという二つの団体で活動し演出家として視覚的ギミックを使って物語を増幅させる作品を作る。 その一方で詩人

          ヒミツミ 『熊野』『班女』 の感想

          公社が9月に見たい演劇

          劇団天動虫 『天動虫版ロミオとジュリエット〜宣託〜』 9/4〜8(会場:シアター711) ロミオとジュリエットのアレンジ作品。今回はジュリエットの選択が正しかったのかどうかという部分に主軸が置かれるのだが、最大の特徴はジュリエットは登場せず周囲の目線でのみ語られるというアイデア作品。外縁をなぞることで、より上演では不在のジュリエットを浮かび上がってくるのだろうか。 内藤ゆき企画  炊飯器でお米を炊いて炊けたら終わる演劇 『夏の毛になる 』 9/5〜7(会場:スターダスト)

          公社が9月に見たい演劇