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#28 ケノーシャ:2020年大統領選の縮図

8月23日、ウィスコンシン州ケノーシャで、自分の車に乗り込もうとした黒人のジェイコブ・ブレイクさんが、警察当局に背後から銃で7発撃たれ、半身不随となりました。

その後、ブラック・ライブズ・マター (BLM) の抗議デモが始まりますが、25日には、州外のイリノイ州から、17歳の少年カイル・リッテンハウス容疑者が不法に持ち込んだ銃をデモ行進者に向けて発砲。2人が死亡し、1人が重傷を負っています。

リッテンハウス容疑者は今年の1月、トランプ大統領の選挙集会に参加した際、最前列にいたことが確認されており、熱烈なトランプ信奉者だったとされています。

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リッテンハウス容疑者を擁護するトランプ大統領は、2日にケノーシャを訪れました。この訪問には賛否両論あり、共和党支持者はトランプ氏の来訪を熱烈に歓迎する一方、民主党支持者は抗議しています。

実は、大統領選という観点において、ケノーシャは非常に重要な場所です。

2016年にトランプ氏が民主党ヒラリー候補に大統領選で勝利したのは、ミシガン州・ペンシルベニア州・ウィスコンシン州で勝てたから、と言われています。

4分4秒から、NPR Politics Podcastのこちらのエピソードでも紹介されていますが、ウィスコンシン州ケノーシャ郡は共和党にとって、2016年の大統領選でトランプ候補のおかげで40年ぶりに奪還できた郡でした。しかも、ヒラリーとの得票差は、わずか255票

トランプ大統領としては、ケノーシャは2020年も絶対に手中に収めたい選挙区なのです。

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NBAコーチであるドック・リバース氏は、警察によるジェイコブ・ブレイクさんの銃撃を受けて、8月25日に記者会見を開きました。ジョン・オリバーが8月30日のLAST WEEK TONIGHT の放送で、13分10秒から紹介しています。

Just watching the Republican National Convention...and they're spewing this fear. All you hear is Donald Trump and all of them talking about fear. But we're the ones getting killed. We're the ones getting shot. We're the ones that are denied to live in certain communities. We've been hung, we've been shot, and all you do is keep hearing about  fear. It's...it's amazing why we keep loving this country, and this country does not love us back.
(共和党全国大会では、恐怖がまき散らされている。ドナルド・トランプ他全員が恐怖のことしか語っていない。だが、殺されているのは我々だ。撃たれているのは、我々だ。ある地域に住めなくさせられているのは、我々だ。我々は絞首刑にされ、撃たれ、それでも恐怖心についてしか聞かされない。我々がこの国を愛し続けていること自体が、不思議なことだ。そして、この国は我々に愛を返してはくれない。)

ジョン・オリバーは番組を、以下のように締めくくっています。

It also brings us to the fact that simply voting this November is, clearly, not going to be nearly enough. Because as much as I or the RNC would like to believe that Joe Biden will be an agent of radical change, there's just no reason to believe that.
(11月に投票しに行くだけでは、全く十分ではない。共和党全国大会はジョー・バイデン氏が急進的な変化をもたらす、と言ってはいるが、実際に彼がそのような存在になるか、確証はないからだ。)

 To the extent that change is possible through the ballot box this year, it will be if Biden is elected alongside progressive candidates all the way down the ballot from the Senate, to state legislatures, to city councils, to sheriffs. And even that will be very much a beginning, and not an end.
(今年、投票の結果、変化が起きる可能性があるとすれば、それはバイデン氏が当選すると同時に、上院、州政府、市議会、そして郡の保安官に至るまで、進歩的な候補者たちも同時に当選した場合だ。だが、仮にそうなったとしても、問題が解決したわけではない。ここからようやくスタートを切れるのだ。)

None of this is easy, but it has to begin, and now. Because our current situation is completely unacceptable. And the RNC this week actually ended up being a pretty good reminder that where we still might end up going is genuinely terrifying.
(今述べたことは、どれも簡単に成し遂げられることではない。だが、今こそ、始めなければいけない。なぜなら、この現状は到底容認できないからだ。その意味で、今週行われた共和党全国大会は、この先の未来が非常に恐ろしくなるかもしれないことを、改めて確認させてくれる、よい機会となった。)

Because it showed us one thing this week—it's the danger in continuing to be governed by an administration that encourages the ugliest forces in American society that lionizes threats of violence against peaceful protest, that tells us there is no conflict between supporting law enforcement and "our African-American neighbours" and that insists that the best is yet to come, which, given everything that we've seen in the last four years is sounding less like a promise and more like a fxxxing threat. 
(なぜならば、現政権による統治が続くのは危険であることが、今週の出来事を通じて露わになったからだ—現政権は、アメリカ社会の醜い力を奨励している。平和的な抗議活動に対して、暴力を使って脅すことをもてはやしている。警察を支援することと”アフリカ系アメリカ人の隣人たち”との間に対立関係はない、と我々に訴えている。そして、これから最良のことが起きる、と主張し続けているが、この4年間を振り返れば、彼らの言っていることは約束というより、もはや恫喝に近い。)

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いがらしじゅんこ:通訳者

#英語学習 #ジョン・オリバー   #ケノーシャ   #BLM   #人種問題 #共和党全国大会   #アメリカ大統領選   #トランプ大統領 #NPR








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