見出し画像

毎日読書メモ(24)『開かせていただき光栄です』(皆川博子)

皆川博子『開かせていただき光栄です』(ハヤカワ文庫JA)、時代感が日本人にはわかりにくいのでは、と思ったがなんのなんの。一気読みの興奮本でした。続編『アルモニカ・ディアボリカ』(ハヤカワ ミステリ・ワールド)も是非。

時代小説家だと思っていた皆川博子が、もっとぶっ飛んだ人だという噂はかねがね聞いていて、読もうと思って何年も寝かせてしまったこの本を読んでみたら、本当にぶっ飛んだ! 1770年ロンドン。街は町並みそのものも人心もそれぞれにどろどろしている。そこに上京してきたピュアな青年ネイサンの災難、ふとしたきっかけて知り合ったバートンズは、「開かせていただき光栄です」と言いながら、死体を解剖する医師と助手たち。汚職、詐欺、殺人、その中で謎解きをするフィールディング判事と助手のアン。あっと驚く本格ミステリーでもあり、どろどろの風俗を描く時代小説でもあった。最初は人間関係や、時代風俗に慣れずとまどったが、キャラが立っているのでどんどん感情移入しながら(でも人が簡単に殺されすぎ...)、食いつくように読んだ。大団円なのに、切ない終わり。なかなか読まずにいたら続編『アルモニカ・ディアボリカ』も出たのですぐ読む!(しかしこんなタイトルで売れるのか?)
(2016年3月)

#読書 #読書感想文 #皆川博子 #開かせていただき光栄です #解剖 #アルモニカディアボリカ #早川書房


この記事が参加している募集

#読書感想文

189,937件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?