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毎日読書メモ(108)オダギリジョーのドラマ「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」を見ていて、志賀直哉「剃刀」を思い出す

NHKの金曜22時のドラマ枠で、オダギリジョーが脚本を書いた「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」というドラマを放映していた。永瀬正敏が出演していて、主題歌がEGO-WRAPPIN’で、まるで「私立探偵 濱マイク」のテレビドラマ版みたい、な-んて思ったが、主演は池松壮亮とオダギリジョー。そして、共演者が豪華すぎて目の前がキラキラしている。

その中で、第1話では何のために出てきたのか全くわからない、神々廻 ししば 役の橋爪功が、理容店で細野晴臣に髭をあたられながら、同じように理容店で髭を剃られている途中で顔から血が出る映画があって、なんてタイトルの映画だったっけな、と細野晴臣にも、その後乗っていた車を運転していた甲本雅裕にも話しかけ続けているのだが、ドラマ終わった後友達とLINEしていて「アンタッチャブルだよ!」と画面に向かって叫んでいた、と言われ、あー、そんなシーンあったね(ってか冒頭のシーンだよ)と、友達に言われて思い出したわたしが、この橋爪功のシーン見て思い出していたのは、映画ではなく志賀直哉であった。

志賀直哉に「剃刀」という短篇があって、技術に自信のある理髪店主が、心身の調子が悪い時に客の髭をあたっていて、これまで一度も客の顔に傷をつけたことはない、という矜持があったのに、すっと客の顔を切って血を出してしまう。そこで自我が崩れて、という、一気に大変怖い結末になだれこむ物語である。

初めて読んだのが中学生の時で、主人公の苛立ちをなぞりながら読んでいたのに、血を見るという転換点で一気にカタストロフィが来る展開に頭がついていかず、何故? 何故?、と思った記憶が甦る。小説の神様ってこんなもの? 神様に付いていけない気分に。

もう少し大人になって読み返したら、もう少しは腑に落ちたけど、それでも怖い。

でも、テレビドラマの橋爪功と細野晴臣見ながら志賀直哉を思い出すとは思わなかった。本当はロバート・デ・ニーロを思い出すところだろ...。


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